【ドジャース7−0ダイヤモンドバックス】フェニックス/チェイスフィールド 6月3日(日本時間4日)
大谷翔平がまた歴史を動かした。
ダイヤモンドバックス戦に「1番・投手兼DH」で先発出場し、6回無失点の快投で防御率を0.74まで下げると、打っても3安打2四球で5度出塁し、チームを勝利に導いた。
大谷はこの試合で打率を開幕戦以来初めて3割台に乗せた。投げては6回を2安打6三振、1四球の無失点。打っては5打席で3安打2四球と、まさに投打で主役となった。
MLBによると、1900年以降で「6回以上を無失点で投げ、なおかつ1試合で5度以上出塁した選手」はわずか4人しかいない。大谷のほかは1964年のメル・ストットルマイヤー、1951年のメル・パーネル、1920年のホッド・エラーのみだ。(※ただし、その3人はいずれも完封勝利を挙げての達成記録。大谷だけが完封ではなく6回で降板して達成)
かつては投手が降板すると試合から退くルールだったため、投手が5度も出塁するには完投、あるいは完封がほぼ条件だった。しかし2022年に導入された「大谷ルール」によって、先発投手が降板後も指名打者として打席に立ち続けることが可能になった。
そのルールを生み出した張本人が、今度はその恩恵を最大限に活用している。
試合後、女房役のウィル・スミスは大谷についてこう語った。
「彼は地球上に存在した中で最高の選手だ。毎日ああして競争している姿を見るのは本当に楽しい。6回を無失点に抑えて、何度も出塁する。そんなことを毎日できる選手なんていないよ」
前回登板では先頭打者本塁打を放ち、6回無安打投球を披露した大谷。この日は本塁打こそなかったが、3安打2四球で出塁を重ね、投打両面で隙のないパフォーマンスを見せた。
しかも、この日の5度の出塁のうち4度は、自身がまだ投手としてマウンドに上がっている間のものだった。休む暇もない二刀流の働きぶり。それでも大谷は、その常識外れのプレーを当たり前のように続けている。
大谷は試合後、「塁にもたくさん出ましたし、四球もありました。自分としては点を取ってもらえると投手としてはすごく助かるので、それはよかったです」と振り返った。
立ち上がりから圧巻だった。打者11人を連続で打ち取り、前回登板から数えると34打者連続で被安打なし。4回2死からガブリエル・モレノに右翼線への二塁打を許し、連続無安打は9回2/3で途切れたものの、その後も崩れることはなかった。
モレノの二塁打で初めて得点圏に走者を背負ったが、後続打者を打ち取った。さらに六回にも走者2人を出しながら無失点で切り抜け、防御率は0.74まで向上した。
MLBによると、1913年に自責点が公式記録となって以降、シーズン最初の10先発終了時点で大谷より低い防御率を記録した先発投手は、2021年のジェイコブ・デグロム(0.56)と1966年のフアン・マリシャル(0.59)の2人しかいないという。
デーブ・ロバーツ監督は大谷の投球姿勢について、こう語った。
「多くの先発投手は試合に入りながら調子を探り、序盤に失点してもそこから立て直していくものだ。でも翔平を見ていると、1点1点に対する執着が違う。毎試合完封しようとして投げているように見える。すべての先発投手がそういう考え方を持っているわけではない」
ドジャース移籍後の大谷は、登板日に打撃成績がやや落ちる傾向があったが、この日は投手として出場したレギュラーシーズンの試合では移籍後初となる3安打を記録。さらに投手として出場した試合で5度出塁したのは、キャリア2度目の快挙となった。
投打でフル回転した一夜を終え、翌日は休養日となる予定。それでも大谷は、必要とあれば準備は怠らない。
「明日はできるだけ負荷を抑えて過ごしたいと思っています。試合終盤で重要な打席が回ってくる可能性に備えて準備はしておきたいです」
二刀流としての負荷と向き合いながらも、勝負どころでチームを助ける準備だけは決して欠かさない。その姿勢こそが、大谷翔平を唯一無二の存在たらしめている。
