大音量の音楽と、スタンドを埋めるファンのざわめきを、金属的な衝撃音が切り裂いた。その音の正体を目にした球場の人々からは、すぐさまどよめきと歓声が沸き起こった。
大谷翔平(31)が、ドジャースタジアムの場外へと打球を運んだ。
11日(日本時間12日)のジャイアンツとのカード初戦、プレーボールの約2時間前。大谷はバットを手にグラウンドに現れ、外野席へ次々と打球を叩き込んだ。そのうちの一発はライトスタンド後方の屋根を越え、昨年のナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦、伝説的な二刀流の活躍を披露した一戦を彷彿とさせた。
試合での本塁打は、4月26日(同27日)を最後に10試合にわたって快音が途絶えている。直近の106打席で、本塁打はわずか1本にとどまっている。
大谷が屋外で打撃練習を行うことは、極めて稀なことと考えられてきた。昨季のポストシーズン、驚異的な活躍でナ・リーグ優勝決定シリーズのMVPに選出された第4戦の2日前、ドジャースタジアムのフィールドで打撃練習を行ったが、それは記憶にある限り初めてのことだった。ワールドシリーズ前にも同様に屋外で打撃練習を行っている。
当時、大谷は通訳のウィル・アイアトン氏を通じてグラウンドでしかできない、確認したいことがある、などと説明していた。詳細は明かさなかったが、ドジャースの打撃コーチ陣は、打球の軌道を空中で確認できることは、打席での感覚を模索している打者にとって有益であると指摘している。
2026年シーズンが約4分の1を消化した現時点で、大谷はすでに3度、グラウンドでの打撃練習を行っている。11日(同12日)の試合前の時点で、大谷の今季成績は打率.241、出塁率.374、長打率.418、6本塁打。直近の16試合では60打数12安打(打率.200)、長打はわずか4本とさらに冷え込んでいる。
デーブ・ロバーツ監督は次のように語った。
「メカニックの問題かどうかは分からない。ただ、左飛やポップフライが多い。状態が良い時なら、それらは二塁打や本塁打になる打球だ。長打が出ていない時は、状態が良いとは言えない。通常、大谷がボールを前に飛ばす時は長打になる。今はタイミングが合っていないだけだ」
ドジャースは、大谷の出遅れに直面しても、1番打者から外す考えはない。しかし、打線の中心が機能していない時、残りの打線にも波及効果が及ぶ。スター軍団であるドジャースの攻撃は大谷だけではない。チームの打撃が長期的な不振に耐えている中、他の選手たちが奮起しなければならない。
通常、ドジャースは大谷がトップで勢いをつけることを期待できる。しかし、今季ここまでは本来の基準に達していない。
デーブ・ロバーツ監督(53)は次のように語った。
「全体のスタッツ(成績)を見れば悪くはない。しかし、本来の能力やこれまでの実績を考えると、明らかに下回っている。大谷がこれまで通りの働きをすることは、間違いなく助けになる。そのエネルギーが他の選手を楽にする。だが、他にも能力の高い選手が8人いる。多くの選手の調子が、本来あるべき状態を下回っていると言えるだろう」
大谷にとって、3度目の屋外打撃練習が「三度目の正直」となり、試合前の取り組みが期待通りの結果につながることが期待される。
