ポストシーズンでの大谷の起用法、常識外の(?)6プラン

September 25th, 2025

ドジャースは今年もポストシーズンに進む。打線の核に大谷翔平(31)が座るのもまた同じだ。だが、どう起用するのか。どの役割で。あるいは複数の役割で?
唯一の「二刀流」登録であり、投打とも高水準へ戻した大谷は、デーブ・ロバーツ監督に多くの選択肢をもたらしている。

昨年10月は、シーズンを通して登板できなかった。トミー・ジョン手術からのリハビリ中。起用はるかに単純だった。ドジャースはポストシーズンで16試合を戦い、大谷はそのすべてでDHとして出場した。ワールドシリーズ第2戦の終盤に負った左肩の負傷を抱えながらの出場だった。先発陣に大きな問題を抱えていたため、投手として起用する案も浮上したが、最終的に実現はしなかった。

今季は違う。大谷はマウンドに戻り、高水準の投球をしている。一方でドジャースの投手陣は昨季から一変し、いまは健康で層が厚く優秀な先発陣がある反面、リリーフ投手陣が不安定だ。

エンゼルス時代には大谷が在籍していても一度もポストシーズンに出場できなかったため、健康体の二刀流を10月に見るのはこれが初めてだ。

このように多様な役割を担える選手がいるなら、どの起用が実際に起こり得るのかを少なくとも検討しておくべきだ。ここでは、最も無難な案から最も突飛な案まで順に見ていく(かなり、いや相当大胆だ)。これらが現実的だと言っているわけではない。実際、そうではないかもしれない。だが、ルール上どれも可能ではある……はずだ。

(1)DH専念、登板はしない

ここから話を始めておくべきだろう。というのも、昨季はそうだった。そして、今季も大半の試合でDHとして稼働しているからだ。24日の試合前時点で大谷は今季142試合でこの起用(=投手兼任ではなくDH専任)をこなしている。DHとしての打席数はメジャー最多。しかも、いまのドジャース先発陣は充実している。山本由伸とブレイク・スネルはポストシーズンの第1ラウンド(ワイルドカード・シリーズ)で先発が確実。タイラー・グラスノーやエメット・シーアンも有力、そしてクレイトン・カーショウも“最後の挑戦”に臨む。昨季のように無理に大谷をローテに組み込むことを検討する必要はない。

シンプル。イージー。堅実。……退屈。

だが、明らかにこの案は採用されない。直近4先発で大谷は19回2/3を投げ、1失点、27奪三振。ドジャースで最もいい投手か、少なくとも山本と肩を並べる存在だ。そんな切り札を10月にマウンドで使わない確率は、カーショウが現役最終戦で捕手としてスタメンする確率と同じだろう。

(2)先発し、その後はDHで出場を継続

6月16日にマウンドへ復帰して以降、大谷が続けている起用法がこれだ。2022年のルール改定(両リーグDH制)により、先発投手兼DHとしてスタメン出場した選手は、投手を降板しても打者として試合に残ることができる。大谷はまさにそのルールでプレーを続けている。

今季すでに14度の実例があり、最も蓋然性の高いシナリオだ。加えて、大谷は前回登板、9月23日のアリゾナでのダイヤモンドバックス戦から中6日で、30日のワイルドカード・シリーズ第1戦の先発に回る見込みでもある。

ここでの主な懸念は、山本由伸とブレイク・スネルも先発すると仮定すると、タイラー・グラスノーを外すか、あるいは救援に回す必要が出る点だ(グラスノーが救援を担ったのは2018年が最後)。もっとも、これは「ぜいたくな悩み」と言える。グラスノーやエメット・シーアンを待機させ、イニング頭から投入する起用ができる。大谷が回の途中で降板した場合は、ワンポイントの救援でつないでから、次の回頭に入れる方法もある(シーアンは7月12日と7月30日にこのやり方で投球している)。

結論として、先発して可能な限り打席にも立ち、登板間はDH専任、という最も想定どおりの起用になる公算が高い。

……だが、ここで議論は終わらない。ほかにも選択肢はある。ここから踏み込んでいく。

(3)DHで出場し、その後にリリーフ登板

この案は以前から取り沙汰されてきた。先発ローテの選手層が厚く、対照的にリリーフ投手陣に補強を要する今の事情を踏まえれば、魅力は明白だ。第3先発をグラスノーに任せ、シリーズが伸びれば第4先発はシーアンかカーショウ、という起用もできる。2023年のWBC(ワールドベースボールクラシック)決勝で大谷が九回に救援登板して当時の同僚マイク・トラウトを三振に仕留め、日本に優勝をもたらした場面を覚えているだろう。あの感覚を本拠地のポストシーズンで再現できたら、というわけだ。

少なくとも可能性の範囲内ではある。とはいえ、メジャー移籍後、大谷のリリーフ登板はそのWBCのときだけ。準備の難しさもある。例えば、ブルペンでウオーミングアップしなければならないタイミングで打順が回ってきたらどうするのか。さらに、先発なら「複数イニング」を期待できるのに対し、抑えに回すなら「1イニング」。加えて、大谷が救援で登板して試合を締め切れずに交代した場合、DHは失われる(2022年のルール改定は、先発投手兼DHでスタメン出場した場合にのみ適用され、途中からの登板には適用されない)。

もっとも、「10月の入り方」ではなく「締めくくり方」として、こうなる余地はあるのかもしれない。

「ポストシーズンの過程で変わる可能性は? あるかもしれない」

ロバーツ監督は9月16日にそう述べた。

「だが今は、先発として見ている」とも付け加えた。

いずれにせよ、この選択肢を本気で温存しているなら、レギュラーシーズン中に一度は試していてもおかしくない。実際には試していない。割に合わない可能性が高いだろう。

面白いアイデアではある。だが、おそらく採用はされない。それでも「不可能」ではない。この先に出てくる案よりは、まだ現実味がある。

(4)DHで出場し、その後にリリーフ登板し、さらに外野へ

念のため断っておくが、これは記者側の思いつきではない。大谷本人が「いろいろな人と話をしてきたし、もちろん(この案も)出ている」と公言しているからだ。
「選手として、行けと言われた場所に行けるよう準備したい。マウンドはもちろん、外野の可能性もある」

大谷は最近そう語った。

前例がないわけではない。2021年にエンゼルスで大谷は外野で7試合出場している。これは当時のルール上、投手を降板するとDHとして試合に残れなかったためだ。昨春、ドジャース移籍1年目で今季は登板できないと分かっていた段階でも、腕の状態が整えばシーズン後半に外野起用の可能性がある、という話題は少なくとも存在した。

結局それは実現しなかった。2021年当時と違い、いまはルール改定によって「登板後も打線に残す方法」を模索する必要はない。したがって、この案が意味を持つのは、大谷をリリーフで起用し、なおかつマウンドで試合を締めずに交代する場合に限られる。かなり限定的なシチュエーションだ。

(5)先発投手、かつDH、さらにクローザー

よし、ここからが“お楽しみ”だ。以下はすべて、公認のルール内で成立する想定である。

ステップ1:大谷が先発投手兼DHでスタメンに入る。これは簡単だ。ワイルドカード・シリーズ第1戦のような登板日は、ほぼ確実にこうなる。

ステップ2:数イニングを投げた後、リリーフ投手に交代し、自身はDHとして出場を続ける。これもほぼ確実だ。今季は登板のたびに、降板後もDHで打線に残っている。

ステップ3:九回、大谷がマウンドに戻って最後を締める。さあ、どうなる。

想像してみてほしい。仮に大谷が先発して快投し、6回無失点でリードを保ったまま降板(打線にはDHで残留)。その後、ブルペンが少しずつ点差を削られ、九回を4―3のリードで迎えたとする。ロバーツ監督はどう動くのか。

仮定はこのへんにしておこう。ちょうど23日のダイヤモンドバックスバックス戦がそうだった。八回をアレックス・ベシアが無失点でつないだ後、ロバーツ監督はシーズンを通して不安定なタナー・スコットを送り込んだ。スコットは5人と対戦して1人しか打ち取れず、試合は4―5で逆転サヨナラ負け。リリーフ投手に黒星がつく試合は7試合連続となった。

別の手はどうか。ベシアはすでに投げた。ジャック・ドライヤーも使った。ブレイク・トライネンもスコットと大差ない。カービー・イェーツは“信頼の輪”には入っていない。九回の開始とともに照明が落ち、新投手がブルペンではなくベンチから現れる。そんな演出を想像してみてほしい(実際には、こっそりブルペンで投げ直してから出てくるかもしれないが)。

確かに、この起用をすればドジャースはDHを失う。それでも、野球の歴史でも指折りの“マニアック”な可能性に挑む障害にはならないはずだ。そもそもこのケースは、リードしていて残り3アウトを取り切るだけ、という場面に限られるのだから。

「前例はあるのか?」

DH要素まで含めれば、まったく同じ例はないかもしれない。それでも、先発した投手が試合を締めつつ完投ではない、というパターン自体は珍しくない(サム・マクダウェルは、この例で一塁に回ってから再登板している)。

このケース(先発投手が試合の頭と最後を務めつつ、全イニング(全ての投球)を投げ切らない)は、歴史上わずか6度しか起きていない。直近の例は1970年のサム・マクダウェルで、同年に2度記録している。

歴史を通じて少数の例はあるが、ほとんどは数イニングではなく1〜2人の打者に対処するための一時的なものだ。

最近の顕著な例としては、2009年7月の試合がある。左腕ショーン・マーシャルが9回に1人だけ打者と対戦し、その後は右腕アーロン・ハイルマンが1人に投じる間、マーシャルはレフトへ移り、再びマウンドに戻ってイニングを締めた。これは「3打者対戦ルール(交代した投手は最低3打者と対戦するまで降板できないルール)」導入前の出来事だが、ここで述べている趣旨は変わらない。

1986年にはメッツが退場者続出で野手が不足し、延長5イニングを左腕ジェシー・オロスコと右腕ロジャー・マクダウェルがマウンドと両翼を入れ替わり続けた試合がある。2016年にはジャイアンツの右腕コリー・ギアリンが打者間で一時的にレフトの守備へ回り、1987年にも同じくジャイアンツの左腕キース・コムストックが同様の状況に置かれている。

さらに2012年には特筆すべき一戦があり、両軍のDH(オリオールズのクリス・デービス、レッドソックスのダーネル・マクドナルド=元のDHデビッド・オルティスに代走で出場)がそろってDHからマウンドへ上がった。デービスは“まさか”の勝利投手にもなっている。

いずれにしても、かなり特殊な状況が必要だ。今、検討しているのはまさにそういう選択肢だ。せっかくここまで来たのだから、もう一段踏み込んでみよう。

(6)先発投手、かつDH、さらにクローザー、そして外野

ここまでの前提をすべて重ね、そのうえで「試合が終わらない」状況を加える。大谷がリードを守れなかったか、ビジターで九回裏に追いつかれたか。リリーフとしての大谷をマウンドから降ろすことができれば、ドジャースはDHの権利を失う。シンプルにそうすればいいのかもしれない。その日の役目は十分果たした、と。次にDHの打順が回ったら代打を送ればいい。

……だが、それでは面白くない。

延長戦に入れば、あらゆる打席が極めて重い。代打に切り替えたときの“打力の落差”、例えば最悪の場合、ベンチメンバーを使い切って投手が打席に立つような事態などは計り知れない。何としても大谷のバットは残したい。だが彼はもう投げておらず、DHの資格もない。

ならば、取れる手は一つだ。今月、本人が口にしたとおりのやり方。外野へ回す。先発し、打ち、リリーフ登板した後で、レフトかライトの守備につかせる。欲張って言えば、そこで美技を見せるかもしれないし、余分に回ってきた打席で一撃を放つかもしれない。

起こる可能性はきわめて低い。だが不可能ではない。大谷が関わるなら、断言できないことのほうが多い。