打者としても投手としても、一流のプレーでチームを勝利に導く。野球というスポーツにおいて、それ以上に価値を生むことはほぼ不可能で、それを実現しているのが大谷翔平というスーパースターだ。
13日(日本時間14日)、全米野球記者協会(BBWAA)の投票によって、大谷はナ・リーグ最優秀選手(MVP)を満場一致で受賞した。フィリーズのカイル・シュワーバー(2位)、メッツのフアン・ソト(3位)を抑え、3年連続にして通算4度目のMVP、そしてドジャース移籍後2年連続、の受賞となった。
オプタスタッツによると、北米4大プロスポーツ(MLB、NBA、NFL、NHL)の歴史上、「加入から2年連続でMVPと優勝を同時に達成した選手」は大谷が初めてである。
もちろん大谷が唯一無二である証はそれだけではない。BBWAAによるMVP選出が始まった1931年以降、約1世紀にわたり数々の受賞者が生まれてきたが、「4度の受賞」は歴史的な領域だ。
- 大谷はメジャー史上、4度MVPを受賞した2人目の選手で、もう1人は歴代最多7度を誇るバリー・ボンズ。3年以上連続でMVPに輝いたのは、2001〜2004年のボンズと大谷のみだ。満場一致でのMVP受賞もこれが4度目。1931年以降、全会一致での受賞は通算24例あるが、複数回それを達成したのは大谷だけである。
- 昨年、大谷はフランク・ロビンソン(1961年レッズ、1966年オリオールズ)以来となる「両リーグでのMVP受賞者」となったが、両リーグで複数回の受賞を果たしたのは史上初である。
- また、「2年連続でMVPとワールドシリーズ制覇を達成した」のは、大谷とジョー・モーガン(1975〜76年)の2人だけ。さらに「MVPとワールドシリーズ優勝を同一年に複数回達成」したのも、大谷を含めモーガン、ジョー・ディマジオ(1939・41・47年)、ミッキー・マントル(1956・62年)の4人しかいない。
- さらに「シーズンMVPと、ワールドシリーズまたはリーグ優勝決定戦(LCS)のMVPを同年に受賞した」選手も、ジョシュ・ハミルトン(2010)、マイク・シュミット(1980)、ウィリー・スタージェル(1979)、レジー・ジャクソン(1973)、ロビンソン(1966)、サンディ・コーファックス(1963)に続く快挙となる。
2024年に2度目の右肘手術からリハビリ中だった大谷は、史上初の「フルタイムDHとしてのMVP受賞者」となった。そして2025年、打者として再び驚異的な成績を残す一方で、マウンドにも復帰し、完全な二刀流として再び頂点に立った。
大谷はOPS1.014、OPS+179でナ・リーグトップ、さらにキャリア最多の55本塁打を放ち、同リーグではシュワーバー(56本)に次ぐ2位だった。得点はメジャー最多の146で、ロサンゼルス移転後のドジャース記録を更新(球団史上では1890年の記録にあと2点)。
シーズン開幕前から、先発ローテーション入りが正式発表された後も、大谷は肘のリハビリを並行して行っていた。実戦登板は約2年ぶり。6月の復帰までに打者相手のライブBPを3度行っただけだった。
大谷は事実上、メジャーの舞台でリハビリ登板を行ったが、さび付きはほとんど見せなかった。丁寧な登板制限のもと、14試合(47回)で1勝1敗、防御率2.87、62三振、9四球、ERA+145(平均が100)という好成績を残した。
打者・投手双方の貢献を合わせると、総合的な勝利貢献を示すWARはファングラフスで9.4(全体2位)、ベースボールレファレンスでは7.7(全体3位)を記録し、いずれもメジャー屈指の数字となった。
ドジャーブルーに袖を通した初年度に続き、2年目の大谷はその伝説に新たな章を加えた。フィールドに立つたび、ファンは特別なプレーを期待する。そして大谷は、常にその期待を超える。
