【カブス6-0レッドソックス】シカゴ/リグレー・フィールド、7月19日(日本時間20日)
「自分が良い球を投げても相手が上回ったスイングをしてくる可能性もある。それでも僕ができることは、自分の強みを生かしたボールを投げ続けることなので、それがフライアウトになってくれて良かったです。ただ、どんどん技術を磨いていく必要があると思います」
打線も今永を初回から援護した。オールスター前、最後のシリーズで行った打順変更のまま、3戦連続でマイケル・ブッシュを1番で起用すると、見事に期待に応える先頭打者本塁打をマーク。続くカイル・タッカーも18号ソロを放ち、カブスにとって今季11度目となる連続本塁打を記録した。
終盤にも一発攻勢で畳み掛けた。七回にマット・ショウ、八回にはピート・クロウ=アームストロングとイアン・ハップがそれぞれソロ本塁打を放ち、試合を決定づけた。
今永の一番のピンチは初回だった。先頭打者に二塁打を許すと、続く打者の内野ゴロの間に三塁へ。しかし、その後を2者連続三振に切り、見事な切り替えを見せた。
「初球を打たれると精神的な打撃があるんですけど、その後も決して無失点ではなく1点を取られたとしてもアウトを積み重ねることの方が大事というマインドで投げていました。僕にとってはそれが投げミスにつながらない考え方で、1点取られても良いんだという気持ちで投げた結果がゼロに収まったので、それが自分をコントロールするコツです」
クレイグ・カウンセル監督もこの日の今永を絶賛した。
「初回は少し苦労したが、そのあとは回を重ねるごとによくなった。単純に素晴らしかったよ。制球が良くて、スプリットも走っていたし、直球も良いコースに決まっていた」
カウンセル監督の話にあったスプリットについて聞かれた今永は、ピッチングコーチとの練習について言及した。
「スプリットがよくない時もあったんですけど、その度にピッチングコーチ3人と話をして、いつしか試合が発表会のようで、楽しい瞬間ができるようになってます。それは本当にピッチングコーチのおかげだと思いますし、今日も教えてもらったことを試合でできるかというのがすごく楽しみでした」
こういった精神的な安定と充実はそのまま波のない投球にもつながっている。
「(先発した時は)32勝10敗と聞いた。間違いなくエース級の記録だ。すごく高いレベルで投球していて、シーズン中盤戦になって、試合を重ねて調子を上げてきているように見える」とカウンセル監督も絶賛するように、チーム内での存在感は増すばかりだ。
先発した42試合での32勝は勝率75%超えを意味する。勝利の象徴のような存在になっている今永だが、周囲のサポートへの感謝を示し、謙虚な姿勢を崩さなかった。
「そういう数字が残っていること自体は光栄な気持ちです。ただ、僕が悪い投球をしたとしてもサポートしてくれる選手、スタッフそして通訳もいますし、僕にとって悪い登板をするということが怖いものではなくなったので、いつも思い切って試合に臨むことができています。それがそういう結果につながっているとしたら、これほど嬉しいことはないですね」
「決して自分に自信を持っていないわけではないんですけど、それでもいつもアドバイスをくれるジェイム(タイオン)、(マシュー)ボイド、(ジャスティン)スティールのように、メジャーで成功している選手の話を聞くことが、自分のキャリアにつながっている。そういう人たちに囲まれているのが、自分を心地よくさせてくれるので、そういうみんなの存在のおかげかなと思っています」