山本萩子が歴史の目撃者に スタジアム全体が“揺れる”ワールドシリーズの興奮

November 20th, 2025

ロサンゼルス・ドジャースが4勝3敗でトロント・ブルージェイズを下し、21世紀初の連覇を達成して幕を閉じたワールドシリーズ。「史上最高」との呼び声も高かった全7試合の激闘を、現地で観戦もした山本萩子さんに振り返ってもらった。

杉谷拳士さんの記事はこちら

山本萩子さんプロフィール

1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。キャスター・タレントとしてNHK BS『ワースポ×MLB』、日本テレビ『ZIP』、YouTube『野球いっかん!』などに出演。現在はスカパー!『スワローズ研究所』にレギュラー出演中。趣味は野球観戦、音楽鑑賞。

現地で観た延長18回の死闘――「格別」の思いで見届けました

――ドジャースが劇的な形で連覇を果たした今年のワールドシリーズ。山本さんは現地でも観戦されたんですよね?

はい、ドジャースタジアムで行われた第3~5戦までの3試合を現地で観させていただきました。私自身、初めてのワールドシリーズ、初めてのドジャースタジアムだったんですけど、本当にもう……素晴らしい経験をさせていただきました。

――過去にMLBを現地で観戦した経験は?

今回はシアトルで行われた2023年のオールスターゲーム以来の現地観戦でした。オールスターも「お祭り」ですし、MLBの雰囲気や空気感を存分に味わったつもりだったんですけど、やはりワールドシリーズという舞台の1球への集中力や、スタジアム全体が一気に“揺れる”瞬間を体感できたのは、格別でした。「こんな場所がこの世にあるんだ」と感じましたし、本当にすごかったです。

――ドジャースタジアムでの3試合ということは、あの「延長18回の激闘」も現地で体感されたんですよね?

そうです。私にとって初めてのワールドシリーズ観戦があの試合でした。スタジアムの演出も雰囲気も、「一個一個の毛穴からすべて吸収したい」と思えるほど素晴らしい時間だったんですけど、試合が全然終わらなくて(笑)。気付けば日付をまたぎそうな時間にもなっていました。あの日は特に寒かったんですけど、スタジアムの熱気も相まって寒さを忘れてしまうような、そんな試合でした。

――引き分けも、タイブレークもない、MLBのポストシーズンでしか起こりえない試合でした。

本当にそうですよね。延長が進むにつれて両チームのピッチャーもいなくなってきましたし、私自身にも試合の途中である種の”覚悟”が生まれました。これはもう、歴史に残る試合を観ているんだ、どんな結末であっても私の人生において絶対に忘れられない試合になるから、最後まで見届けようって。終わったときは、もちろんクタクタでしたけど(笑)。

――あれだけ長い試合だと、結末を見届けずに帰宅される観客もいたのでは?

私が見る限り、途中で帰ってしまう人はあまりいなかったですね。むしろ、ドジャースが敗色濃厚だった第4戦、第5戦のほうが、終盤に席を立つ人が多かった印象です。スタジアムにいたほとんどの観客が私と同様に覚悟を決めて、最後まであの試合を見届けたかったんだと思います。

――最後はフレディ・フリーマン選手(36)のサヨナラホームランという劇的な幕切れでした。

打球がバックスクリーンへ飛び込んでいく瞬間は、本当にスローモーションのように見えて、地鳴りのような歓声と、誇張なしでスタジアムが“揺れて”いたので、絶対に忘れることのない瞬間になりました。

カーショウの投げる姿に号泣――現地で体感したMLBらしさとは?

――今回のワールドシリーズは連覇を果たしたドジャースはもちろん、対戦相手のブルージェイズの強さも印象的でした。山本さんは、どう感じましたか?

シーズン中のデータを見ても分かるように、まずはコンタクト率が高い――つまり、空振りをしない。それでいてハードヒット率も高い。ボールを引き付けて、強くスイングするということが、チーム全員に徹底されている印象は現地で試合を観ていても感じました。加えて守備もすごかったですよね。ポストシーズンを通してチーム全体の失策が4つという数字が表すように、あれだけ競った試合、緊迫感のある局面を繰り返しながらミスが少ない。本当に「強かった」なって。ワールドシリーズの7試合をみても、ほぼすべてのチームスタッツでブルージェイズがドジャースを上回っていますし、今回のワールドシリーズがあれだけ素晴らしいモノになったのは、おっしゃる通りドジャースだけでなく、相手がブルージェイズだったからこそだと思います。

――そんな「強い」ブルージェイズを破ったドジャース。山本さんが個人的にMVPを選出するとしたら誰になりますか?

もちろん、実際にMVPを受賞された山本由伸投手(27)の活躍が素晴らしかったのは言うまでもありません。大谷翔平選手(31)の投打での活躍もすごかったです。でも、あえて私がひとり選ぶとすればウィル・スミス選手(30)ですかね。キャッチャーとして、あれだけ緊迫感のある試合でマスクを被り続けて、なおかつ打席では大事な局面で一発を放つ。特に第3戦、延長18回の死闘で最後まで交代せずに次から次へと出てくるピッチャーのボールを受け続けた姿には感動しました。観ている私があれだけ疲弊したのに、試合に出続けて、しかもキャッチャーという重責を担い続けたワケですから。

――ワールドシリーズでの7試合を通して、特に印象的だったシーンや選手は?

やっぱり実際に現地で観た第3戦からになってしまうんですけど、一緒に行かせていただいた杉谷拳士さんもおっしゃっていましたが、トミー・エドマン選手(30)の守備ですね。彼のプレースタイルも含めた一瞬の判断、打球に対する動き、カバーリング、中継プレーでのボールへの入り方、野球IQの高さ、身のこなし……。スタジアムで実際に観たことで、テレビでは気付けないすごさに改めて気づくことができました。あの試合では3つほど、勝利を手繰り寄せるような素晴らしいプレーがありましたが、目立つ部分はもちろん、それ以外のプレーでも要所でエドマン選手の魅力を堪能することができたんです。

――現地でワールドシリーズを観戦して「これぞMLB」という経験はされましたか?

私はもともとクレイトン・カーショウ投手(37)が大好きだったんですけど、結果的に彼の現役最後のマウンドになった第3戦の延長12回、2アウト満塁の場面を抑えた瞬間、感極まって号泣してしまったんです。すると、後ろの席に座っていた女性が何も言わずにハグしてくれて。私がカーショウ投手のユニフォームを着ていたからだったと思うんですけど、言葉も、国籍も違う、知り合いでもない方からそういう優しさをもらえて、改めて野球の素晴らしさ、MLBの魅力を感じることができました。

――それは、素晴らしい経験ですね。もし山本さんが今後、再びMLBを現地で観戦するとしたら、行ってみたいスタジアムはありますか?

セントルイス・カージナルスの本拠地ブッシュ・スタジアムです。観客の方たちが本当によく野球を知っていて、決して派手で分かりやすいプレーでなくてもチームに貢献したり、良いプレーを見せると拍手や歓声が起こると聞いたことがあって、そんな雰囲気を一度、味わってみたいなって。それこそ、先ほどお話ししたエドマン選手も以前はカージナルスでプレーしていて、彼のような選手に賛辞を贈る、そういうスタジアムの空気を肌で感じてみたいです。

――ありがとうございます。最後に、今回のワールドシリーズという特別な試合を通して感じたMLBの魅力を、日本のファンの方々に伝えていただけますか?

打撃も、投球も、守備も、ひとつひとつのプレーがすべてトップレベルで、それを体現する舞台が用意されているのがMLBだと思います。特に今回のワールドシリーズも含めたポストシーズンは、観ている人たちの感情を鷲づかみにして、揺さぶって。そんなスポーツってなかなかないと思うんです。改めてMLB、野球というスポーツは素晴らしいと感じましたし、きっと来年以降も同じように素晴らしい試合を観せてくれるはず。レギュラーシーズンもポストシーズンもそれぞれの楽しみ方があるので、日本のファンの方にもぜひ、MLBの魅力を存分に浴びて、楽しんでほしいです!

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