ブルージェイズvsマリナーズALCS第3戦、注目ポイント3選

October 15th, 2025

7回戦制のシリーズで本拠地2連敗から逆転勝ちした最後の例は、ウラディミール・ゲレーロJr.が生まれる2年半前にさかのぼる。1996年のワールドシリーズで、ヤンキースがブレーブスに逆転勝ちしたときだ。ちなみに、当時マリナーズの現監督ダン・ウィルソンは唯一のオールスター出場を果たしている。つまり、それほど長い期間、起きていないということだ。

ブルージェイズはア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)第3戦に向け、熱狂に包まれるシアトルで戦う。巻き返しへの道のりは長いが、その第一歩は15日(日本時間16日)に始まる。一方でマリナーズは、球団史上初のワールドシリーズ進出まであと1勝に迫る可能性がある。

ALCS第3戦で注目すべき3つのポイントは以下のとおりだ。

1.ブルージェイズは攻撃の流れをつくれるか?

少なくともブルージェイズは、シリーズ序盤の立ち上がりは悪くない。第1戦ではジョージ・スプリンガーが初回に本塁打を放ち、第2戦でも初回に2点、二回に1点を奪った。問題はその後だ。どちらの試合でも三回以降は無得点に終わり、それが0勝2敗の最大の要因といっていい。

ヤンキース投手陣を相手に地区シリーズ(ALDS)では打率.338、出塁率.373、長打率.601を記録した強力打線が、このシリーズではわずか打率.131、出塁率.232、長打率.197に沈んでいる。

さらに驚くべきことに、マリナーズの救援陣はALDS第5戦の延長15回で疲弊していたはずなのに、ここまで9イニング連続無失点。ブルージェイズは沈黙によって、歓声を上げ続けたかったトロントの観客を静まり返らせてしまった。もし再び2026年より前にあの歓声を聞きたいのなら、二回以降の眠りから目を覚ます必要がある。

2.「ジョージ・ボンズ」の勢いは続くか?

愛称として「ジョージ(Jorge)・ボンズ」は決して派手ではない。だがマリナーズの両打ち内野手ホルヘ(Jorge)・ポランコは、この10月にあまりにも強烈な存在感を放っており、バリー・ボンズ級の打撃を見せるポランコをチームメートがそう呼ぶのも不思議ではない。

ポランコは直近3試合連続で決勝打。ポストシーズン史上3人目、過去10年ではエリック・ホズマー以来の快挙となった。いずれの打点も五回以降に生まれている。しかも先週のALDSでは、タリク・スクーバルから2本の本塁打を放っている(ポストシーズンでスクバルから2発を放つ選手はそうそう現れない)。

マリナーズには、まだ波に乗り切れていない打者もいる。1番のランディ・アロザレーナは今ポストシーズン出塁率.278、エウヘニオ・スアレスも打率.138と低迷中だ。それでもポランコが中軸に加わり、打率.357と好調のカル・ローリー、そして勝負強さを発揮しているフリオ・ロドリゲスが並ぶことで、マリナーズ打線はポストシーズン屈指の破壊力を誇っている。次戦の相手シェーン・ビーバーは本来の球速にまだ戻っておらず、前回登板では三回途中で降板した。そんな投手が、この“ボンズ”を避けて通ることはできない。

3.シアトルの観衆は存在感を示せるか?

ご存じのとおり、マリナーズはまだワールドシリーズに進出したことがない。ALCSで2勝を挙げたのも、1995年、2000年、そしてまさに今、2025年の3度だけ。つまり次の1勝は、球団史の新たな到達点になる。T-モバイルパークの観衆は今ポストシーズン最大級のトピックの一つであり、毎晩、歓声と喜びと涙が渦巻く壮観をつくり出している。直近では、延長15回の死闘を制してシリーズ突破を決めた試合で、その熱狂が頂点に達した。

あの試合以降、マリナーズは敵地で2勝0敗とリードし、残り5試合で2勝すれば、ここ15年間苦しめてきた「ワールドシリーズ未到達の唯一の球団」という烙印をついに外せる。つまり、シアトルの観衆は、これまでにない大音量でチームを本拠地へ迎え入れることになる。

このチームには、しばらく前から「何か特別なことが起きている」という空気が漂っている。
それが本物かどうか。その答えが、これからの2〜3日で明らかになるかもしれない。