歴史的一戦、WS第3戦5つの注目ポイント、第4戦の見どころ

October 28th, 2025

ドジャース6x-5ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月27日(日本時間28日)

フレディ・フリーマンが延長18回にサヨナラ本塁打を放ち、ドジャースがワールドシリーズ(WS)第3戦で歴史に残る激闘を制した。ドジャースが対戦成績2勝1敗とリードした。

ここでは、そんな試合の注目ポイントと、第4戦の見どころを紹介する。

1)大谷翔平が絶好調、ブルージェイズはもう勝負を避けるかもしれない
またしても10月のドジャースタジアムの夜に、大谷翔平(31)が記録に残るパフォーマンスを見せた。

ドジャースのスーパースター、大谷はこの試合で2本の本塁打と2本の二塁打を放った。WSで4本の長打を記録したのは、1906年のホワイトソックスのフランク・イズベルに次いで史上2人目となる。

試合が終盤に差しかかるころには、ブルージェイズはもはや、まともに勝負しようとしなかった。大谷は最後の5打席すべてで四球となり、そのうち4打席は申告敬遠だった。ポストシーズンで1試合に7度出塁した選手はこれまで存在しなかったが、大谷はこの試合で9度出塁した。

驚異的な夜だった。大谷自身の基準から見ても特別な一戦だ。
これをどう超えるのか。それは次戦で明らかになる。大谷はWS第4戦で、自身初のワールドシリーズ先発を予定している。

2)ドジャースのリリーフ投手陣の踏ん張り
救援陣には不安の声もあったが、圧巻だった。合計でリリーフ投手9人が登板し、13回1/3を1失点。WSで起用された救援投手の人数としては史上最多となった。

終盤にはブルージェイズが代走を4人起用し、打線の脅威がやや薄れたことも追い風になったかもしれないが、それでも見事な内容だ。ウィル・クラインが4回無失点で勝利投手となった。

そして、一番重要だったアウトは、クレイトン・カーショウの1球。通算18年のキャリアでも屈指の1打席と言っていい。12回2死満塁で登板したカーショウは、8球の攻防の末にネイサン・ルークスをセカンドゴロに打ち取った。

カーショウは今季限りで引退する。もしこれがメジャーのマウンドでの最後の登板だったとしたら、最高の締めくくりだ。

3)この試合の余波は第3戦だけにとどまらない
第3戦は3連戦の初戦で、続く第4戦と第5戦が控えている。両軍とも5人の救援投手が1イニング以上を投げた。

第4戦の先発はどうか。ブルージェイズはシェーン・ビーバーがビジターブルペンで軽く肩を作り始めた。一方の大谷は、WS初先発の前夜、6時間超の試合で9打席に立った。

さらに言えば、第6戦の先発予定である山本由伸(27)もウォーミングアップをしており、試合が延長19回に入っていれば登板していた可能性が高い。

4)走塁死が続出。ただし大半は計算されたリスク
特に走塁で荒れた一戦だった。合計で6人が走塁死となったが、その多くはリスク覚悟の走塁で、両軍が守備でそれに応えてみせた。

最初のケースは例外だ。ボー・ビシェットは、ドールトン・バーショーが四球を選んだと勘違いして牽制死。最終的には、球審マーク・ウェグナーのストライク判定するコールがわずかに遅れたことで生じたミスでもあった。

しかし、残る5つは、守備を称えるべきだ。トミー・エドマンは2本の完璧な送球で挽回(その前の失策がアレハンドロ・カークの3ランにつながっていた)。
さらに、カーク、ブラディミール・ゲレーロJr.、アディソン・バージャーも走者を刺す好送球を見せ、バージャーはワールドシリーズの試合でスタットキャストが計測した中で最速の送球による補殺を記録した。

これらの判断のいくつかは検証に値するが、いずれも度を越した無謀さではなかった。

5)スプリンガーの離脱はトロントにとって痛手になる
象徴的な意味合いも大きい。ジョージ・スプリンガーはブルージェイズ打線を引っ張るベテランで、ポストシーズン最多の経験を持つ選手だ。ア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)第7戦で決勝3ランを放ち、この舞台にたどり着いた最大の功労者でもある。

第3戦の七回、スプリンガーは打席の途中で交代。球団発表は「右側の違和感」だった。MRI検査を受け、シリーズ残り試合を欠場する可能性もある。

その場合、左膝を痛めているボー・ビシェットがDHで出場する道が開けるかもしれないが、スプリンガーの働きを埋めるのは容易ではない。スプリンガーはこの試合前時点でポストシーズンOPSが.931。スプリンガー交代前にブルージェイズの得点が、ほとんど生まれていたのは偶然ではないだろう。