13日(日本時間14日)ラスベガスでのGMミーティングが閉幕し、30球団の首脳陣はこのオフの見取り図をより明確にして帰路についた。
今週はフリーエージェント(FA)やトレードで大きな合意はなかったが、ストーブリーグが本格化したいま、今後数週間で動きが出る可能性がある。
野球界は約3週間半後にフロリダ州オーランドで開催される恒例のウインターミーティングで再集結する。ひとまず、今週の会合から得られた4つのポイントを見ていこう。
意外な買い手候補
予想どおり、今週もFA市場の常連買い手、ヤンキース、メッツ、ドジャース、フィリーズ、ブルージェイズが、目玉選手とセットで数多く取り沙汰された。
一方で、例年は消極的な球団の中にも、今オフは動きを強める可能性があるという。
関係者によれば、パイレーツとマーリンズがFAでの補強に動く見込み。カイル・タッカー、コディ・ベリンジャー、アレックス・ブレグマンら最上位層の獲得に参戦するわけではないにせよ、今オフのFA層は比較的厚く、予算規模が大きくない球団にもチャンスがある。
特に、歴史的に大物FAへ積極的ではなかったオリオールズが、今オフは大胆に動く可能性がある。先発投手の上位層(ディラン・シース、マイケル・キング、レンジャー・スアレス、フランバー・バルデス)に加え、ピート・アロンソ級の強打者獲得にも名乗りを上げるかもしれない。
「彼らはこのウインドウを活用しなければならないと理解している」と、ある関係者は語った。
「ガナー(・ヘンダーソン)は今季が年俸調停1年目で、(ジャクソン)ホリデー、(コルトン)カウザー、(ジョーダン)ウェストバーグはまだ調停資格すらない。いずれ彼ら全員が高額になる」
トレードの気配
GMミーティングで大型トレードが成立することは稀だが、首脳陣が対面でじっくり話せるこの場が、交渉の土台となることは多い。
サンディ・アルカンタラ、ジョー・ライアン、マッケンジー・ゴア、ミッチ・ケラー、パブロ・ロペス、エドワード・カブレラら、いずれも少なくとも2027年まで保有権があり、球団コントロール下の先発に放出の噂があるものの、実際に今オフ動くのはごく一部だろうというのが首脳陣の肌感だ。
「妙に聞こえるかもしれないが、来夏のほうが見返りを大きくできる可能性がある」と、ア・リーグのある幹部は語る。
「いまはFAもトレードも選択肢がある。だが7月にはFAという選択肢が消える。90〜100試合消化後に、有力球団が投手を必要とすれば、トレードの緊急性がやや無茶な決断を後押ししうる」
昨夏のトレード期限に多数の取引を行ったツインズは、今オフはジョー・ライアンやパブロ・ロペス、さらにはバイロン・バクストンも放出候補と見られ、完全解体を行い、本格的な再建へ進むとの見方があった。だが関係者によれば、今オフに適切な補強を施せば来季も十分戦えるとの認識で、よほどの破格オファーでない限り、上記3人の放出は現実的ではないという。
一方、トレード市場で積極的な動きが見込まれるのがカージナルスだ。2027年まで保有権のあるベテランのノーラン・アレナドとソニー・グレイは、契約に29球団へのトレード拒否条項を持ちながらも、移籍の公算が高い。
「ノーランについては、より適した環境を見つけるのが最善だというのは誰の目にも明らかだ」とカージナルスの編成本部長就任1年目のハイム・ブルームは語る。
「ソニーは少し事情が違う。うちとサインした理由があり、これまで満足していたと思う。ただキャリアの段階や、われわれの目標が長期的であることを踏まえ、以前より別の可能性も考えている状況でもある」
年俸調停があと2年残る内野手ブレンダン・ドノバンへの関心も強く、放出の可能性が高い。移籍先候補としてはヤンキース、ドジャース、ロイヤルズ、ガーディアンズなどが挙がる。
2年連続でア・リーグのサイ・ヤング賞を受賞したタリク・スクーバルも、FAまで残り1年という状況から、この冬のトレード候補として取り沙汰されるだろう。だが、タイガースは絶対に断れないオファーでもない限り、2026年の勝負へ向けてエースを保持する見込みだという。
一方で、今オフに動かないと明言された選手もいる。ナ・リーグのサイ・ヤング賞受賞者ポール・スキーンズに関して、パイレーツのベン・チェリントンGMは、保有権があと4年残るエースを放出する考えはないと述べた。
QOを受けるべきか、否か
クオリファイング・オファー(QO)を受けた13選手は、受諾か拒否かを18日までに決めねばならない。大半は拒否すると見られる一方、会場では1〜2人は受諾するかもしれないとの見方もあった。
「〔カイル〕タッカー、〔カイル〕シュワーバー、〔ボー〕ビシェットら、大物たちは当然拒否するだろう。だが、もし自分が〔トレント〕グリシャム、グレイバー〔・トーレス〕、〔ブランドン〕ウッドラフなら、慎重に考える」と、ア・リーグの幹部は語った。
2012〜2024年にQOを受けた144人のうち、受諾したのは14人のみ。QOを拒否すれば新契約交渉にドラフト指名権補償が付くため、グリシャムやトーレスのような選手は、指名権放出をいとわない球団を見つけにくくなる恐れがある。
“投手力こそ正義”は不変
FA市場のトップ5は全員が打者で、絶対的エースこそ少ないものの、先発投手市場の厚みは十分で、注目を集める。30球団すべてが、2026年以降に向けて投手陣の底上げを目指す状況にあるからだ。
今オフ、先発補強を求めているとされるのは、タイガース、オリオールズ、ジャイアンツ、ブルージェイズ、カブス、ヤンキース、パドレス、レッドソックス、メッツ、アストロズ、ブレーブス、エンゼルス、ダイヤモンドバックスなど。ほかにも該当球団は少なくないはずだ。
野手は、どの球団にも、全ポジションの空きがあるわけではないため、投手に比べて需要が限定的になりがちだ。一方、投手はリーグ随一の陣容を誇る球団であっても、先発層の厚みを足す、エース格を連れてくるなど、常に上積みの余地がある。
「勝つチームを見ればわかる。総じて投手が良い。今年は〔ゲリット〕コールや〔山本〕由伸のような存在はいないかもしれないが、優勝候補を確実に強化できる先発が十数人は市場にいるはずだ」とナ・リーグの幹部は語った。
