クレイグ・スタメン(42)がナショナルズパークに戻る。そこはメジャーデビューした場所だ。メジャーで自身の地位を確立した場所だ。キャリアの最初の7シーズンを過ごした場所でもある。
そして今、ナショナルズパークでの新たな「初めて」に向けて準備を整えている。対戦相手の監督として臨むことだ。
スタメン監督率いるコーチ陣には、元ナショナルズのコーチや選手が多くいる。スタメン監督は「コーチ陣の数人が、ずっと前からマークしていたシリーズだ」と語り、「長い間ホームと呼んでいた場所に戻れることを楽しみにしている。(中略)良い思い出がたくさんある。戻れるのはうれしい」と続けた。
パドレスの監督に就任して2カ月が経過した。完璧とは言えない。しかし、コーチ経験すらない新人監督としては、これ以上ないほど順調に進んでいる。
この2カ月間の情報から、戦術的な好みが浮かび上がってきた。
1.打順を頻繁に組み替える
指揮官自身がここまで打順を組み替えたいと望んでいるわけではないだろう。チーム全体の打撃不振が招いた結果だ。
だが、就任初日から打順を頻繁に変更することは明らかだった。しかも小規模な変更ではない。フェルナンド・タティスJr.(27)を上位1番から5番の間で動かしている。1番打者も大幅に入れ替えた。おそらく、打順が固定されているのはマチャドくらいだろう。
何があっても固定打順にこだわったマイク・シルト前監督(57)とは対照的だ。そして、シルト前監督ともう1つ大きく異なる点がある。
2.守備よりも攻撃を重視する哲学
タティスJr.はパドレスのレギュラー二塁手だ。これだけで全体的な哲学が十分に伝わるはずだ。
繰り返すが、もしチームが打ち勝っていれば状況は違っていたかもしれない。しかし、現実はそうではない。そこから2つの考え方が生まれる。失点を防ぐことに全力を注ぐか、失点をある程度覚悟して得点を狙うかだ。
スタメン監督は後者を好む。今月上旬、右翼手ニック・カステヤノス(34)のミスが致命傷となった夜、プラチナグラブ賞を受賞した正右翼手(タティスJr.)が二塁に立っていた状況について、監督は次のように語っている。
「得点を奪いにいっている。序盤は攻撃的に攻めてリードを奪い、終盤に守備固めを入れたい。それが私の考え方だ。常に両方を兼ね備えることはできない」
確かに両立は不可能だ。そして、どちらを優先しているかは明白だ。
3.セオリー通りの采配
リリーフ投手起用に関して、スタメン監督は主に相性やセオリーに忠実だ。しかし、今季は特に重要な局面において、直感を信じる瞬間が何度かあった。
先週のドジャース戦を例に挙げる。1点差で、走者を背負って大谷翔平(31)を迎えた。マウンドにはジェイソン・アダム(34)。大谷に対して左腕のエイドリアン・モレホン(27)を準備させていたが、アダムの投球内容を評価し、セオリーに反して続投させた。アダムは大谷に単打を許したもののドジャースに得点を与えなかった。
新指揮官は、直感に従うと言っても、それは情報に基づいた決断だと強調する。
アダムの球速は上がっていた。次打者には右打ちのムーキー・ベッツ(33)が控えていた。大谷にとってアダムは極端に相性の悪い投手ではなかった。
大半はセオリーに頼りつつも、臨機応変に対応する余地を残すというバランスを見出しているようだ。
4.選手を信頼している
スタメンの決断が裏目に出たとき、それを「ミス」と呼ぶことには躊躇する。決断自体が正しかったこともあれば、そうでないこともあったからだ。ただ、共通して言えることがある。選手を信頼した、あるいは信頼し過ぎたということだ。
今季、明らかな代打の場面で代打を送らなかったことが何度かあった。功を奏したこともあれば、失敗に終わったこともある。ブルペン起用についても同じことが言える。投手交代を1打者分早まったことはほとんどない。しかし、1打者分遅れたかもしれないという場面は複数ある。
しかし、新監督は序盤のミスから明らかに学んでいる。適応し、リリーフ起用のコツをつかんだようだ。これは監督のスタイルとして重要な点も示している。学び、調整する意欲があるということだ。
5.レギュラー陣の休養を強く重視する
パドレスのベストな先発メンバーは、三塁にミゲル・アンドゥハー(31)、中堅にブライス・ジョンソン(30)、遊撃にソン・ソンムン(29)ではない。
しかし、5月にベストな先発メンバーを必要としているわけではない。必要としていることは、9月と10月にレギュラーが万全な状態でいることだ。昨年はそうだっただろうか。そう主張するのは難しい。
そのため、レギュラー陣、さらにはスーパースターの休養を重視している。マチャドは昨年、9月中旬まで休養日がなかった。今年は4月中旬に最初の休養日を与えられ、すでに4試合でDHとして出場している。ザンダー・ボガーツ(33)、ジャクソン・メリル(23)、そしてタティスJr.も定期的に休養日を与えられている。
今季のパドレスが、1年前の同時期と比べてはるかに強力な控えメンバーを擁していることもプラスに働いている。そして、スタメンがその控えメンバーを積極的に起用していることも助けとなっている。
