テイラー・ウォードをめぐり、数年前からトレードの噂が飛び交っていた。31歳の外野手は、いつかトレードされる可能性は承知していた。それでも、18日(日本時間19日)にエンゼルスのペリー・ミナシアンGMからの電話で、右腕グレイソン・ロドリゲスと1対1のトレードでオリオールズへの移籍が決まったことを知らされた際には、驚きを隠せなかった。
23日(同24日)、オンライン会見に臨んだウォードは「全く知らなかった。まさに予想外の出来事だった。オリオールズが僕に興味を持っているとは知らなかったけれど、この機会に感謝しているし、オリオールズでプレーできることを楽しみにしている」と語った。
一方で、オリオールズ側はかなり前からウォードの獲得を狙っていた。マイク・エライアス編成本部長は「テイラー・ウォードには多くの魅力がある。特に右打席からのパワーに惹かれ、少なくとも2~3年前から獲得を狙っていた」と明かす。さらに「外野陣に安定感をもたらし、打線全体の成績向上にもつながることを期待している」と、ウォード加入によるプラス効果に大きな期待を寄せた。
今季75勝87敗と期待を裏切る成績に終わったオリオールズは、2026年シーズンの巻き返しに向けて、積極的なオフシーズンを過ごそうとしている。ウォードの加入は、4年間で3度目のポストシーズン進出を狙うチームにとって大きな戦力補強となる。
ウォード自身はオリオールズを詳しくは知らないが、過去4シーズン、対戦相手のダグアウトから見たチームの堅実さに感銘を受けたという。「若い選手が多く、ラインナップに貢献できるのが楽しみだ」と語り、ポストシーズン進出を目指すチームの一員になることへの意欲を示した。
ウォードは正左翼手として起用される可能性が高く、打線の中軸として期待される。今季は二塁打(31)、本塁打(36)、打点(103)、四球(75)の各部門でキャリアハイの成績を残した。
しかし、メジャー9年目のシーズンを迎えるウォードの実績はそれだけではない。2022年にブレークしてレギュラー定着を果たし、過去4シーズンで合計545試合に出場して打率.251、98本塁打、OPS.783、WAR10.2(ベースボール・リファレンス版)を記録している。
ウォードは選球眼の良い打者として知られており、カウントを巧みに操り、ボール球に手を出すことも少ない。また、今季は長打力が一段と増し、これまでのキャリアハイを11本も更新する36本塁打を放った。
「僕はメカニクスを強く信じているんだ。メカニクスが上手く機能していれば、すべてが上手くいくと考えている。本当に小さなことがメカニクスには大きな影響を与えるけれど、今シーズンはおそらく、これまでで最も安定していたと思う」とウォードは語る。
「まだまだ、もっとできると思う。打率を上げ、三振を減らすなど、まだ成長できる部分がある。オフシーズンはメカニクスと安定性の向上に集中する」と今後の目標にも言及した。
ウォードは移籍が決まるとすぐに、オリオールズのスタッフ陣とのコミュニケーションを開始している。トレードが決まった日の夜、クレイグ・アルバーナス監督と電話で話し、ダスティン・リンド打撃コーチとも何度も会話を交わしたという。両者とも2026年からオリオールズに加わる新顔で、ウォードは両者を「熱い男たち」と表現した。
エンゼルスとオリオールズのトレードで注目されるのは両選手の契約状況だ。ロドリゲスは球団の保有権があと4年残っている一方、ウォードは年俸調停期間の最終年を迎え、2026年シーズン終了後にフリーエージェント(FA)となる。ウォードが活躍すれば、クオリファイングオファーの対象となり、2027年のドラフト補償指名権をオリオールズにもたらす可能性もある。仮にそうならなくても、好成績を残せばFA市場での契約交渉を有利に進められる。
しかしウォードは契約のことは意識しておらず、新天地オリオールズで攻守両面の実力を発揮し、チームの勝利に貢献することだけに集中している。「自分がやるべきことは変わらない。考え方もシンプルで、細かい部分を改善し、良い球を打つことに集中してメカニクスを維持すれば、あとは自然とうまくいく」と語り、新天地でも自然体でプレーする姿勢を見せた。
