デーブ・ロバーツ監督は以前、ユーティリティー選手のトミー・エドマンをこう評したことがある。
「チームの勝利に貢献する影の立役者」と。
時には大きなヒットや派手なプレーもある。だがエドマンの価値は、小さなプレーをきちんとこなす日々こなす能力にある。
試合を見ていると、そういったプレーを見落としがちになるが、エドマンがケガで不在の間、多くの人がエドマンの重要性に改めて気づかされた。
それを一番痛感したのは、ロバート監督だ。
「(エドマンが)いないんだな、と改めて気づかされたよ。これまでの勝利の一つ一つを見れば、エドマンがどれだけチームの勝利に貢献しているか分かる。スコアに残っているかどうかは関係ないんだ。そういう選手が大好きだし、彼もそれを誇りに思っているはずだ」
エドマンは右足首の炎症で5月前半を欠場し、18日(日)に負傷者リストから復帰。早速好調なスタートを切っている。20日(火)は予定通り休養日だったが、八回に代打で出場すると、延長十回に無死2塁からレフトへのタイムリー2塁打で1点差に追いつき、チームはそのままサヨナラ勝ちを収め、連敗も4でストップした。
プレーそのものがチームに付加価値を与えている。内野と外野を守り、打線の歯車として毎日プレーできる能力は、現在のドジャースには欠かせない存在だ。
19(月)、テオスカー・ヘルナンデスも負傷者リスト(IL)の復帰で、野手陣は万全の状態になったが、ヘルナンデスとエドマンの2人が欠場する前とは少し様相が変わった。ベテラン捕手のオースティン・バーンズは、有望株のダルトン・ラッシングのポジションを確保するために指名解除となり、野手のクリス・テイラーはキム・ヘソンをロースターに残すために事実上解雇された。
これらはチームがさらに強くなるための可能性を秘めているが、同時に、二塁と外野の出場時間配分に関しては、パズルのような組み替えが必要になる。チームは暫定的にその計画を立てているが、鍵を握るのがエドマンだ。
エドマンが必要に応じて二塁とセンターを守れなければ、フロントの計画は事実上、機能しなくなる。エドマンは2021年に二塁手でゴールドグラブ賞を受賞。今季も素晴らしい活躍を見せているが、メジャーリーグでのキャリアを通して、一度も特定のポジションに収まったことはない。
今季も開幕当初にはおそらく正二塁手では、と予想されていたが、エドマン自身、春季キャンプ中にシーズン中にポジションが変わる可能性を示唆していた。
「内野、外野両方でしっかり練習を積まないといけない。常にフレッシュな状態を保たないといけないからね。シーズンを通して色々なことが起こるから、どんな状況にも対応できるように準備しないといけない」とエドマンはすでに今の状況を予想していた。
スイッチヒッターで内野も外野も守れるユーティリティ選手として、エドマンはすでに究極の万能選手だが、その存在感は日に日に大きくなり、ロバート監督も絶対の信頼を置く。
「トミー(エドマン)はチームの主力選手の一人だ。彼の多才さは、間違いなく我々に選択肢を与えてくれる」