激戦のワイルドカードシリーズから、手に汗握る7戦のワールドシリーズに至るまで、2025年のMLBポストシーズンでは傑出したパフォーマンスを見せた選手が数多くいた。
打席、マウンド、そして守備において、スター選手たちは重要な局面で本領を発揮した。プレーオフを通してチームの命運をつなぐべく、決定的な一打を放ち、ここ一番でアウトを奪った。
MLBネットワークが選出した、2025年ポストシーズンのトップ20選手は以下の通りだ。
1. 山本由伸(ドジャース、先発投手)
山本の活躍は、ドジャースの2025年ワールドシリーズ連覇に大きく貢献した。この右腕はブルワーズ戦(ナ・リーグ優勝決定シリーズ第2戦)とブルージェイズ戦(ワールドシリーズ第2戦)で2試合連続完投を達成。ポストシーズンの連続する先発登板で完投した2001年以来初の投手となった。ワールドシリーズ第6戦で勝利を挙げた後、第7戦では「中0日」で救援登板して勝利投手となり、延長11回までもつれ、た勝利の最後2回2/3を投げ抜いた。山本は2025年のポストシーズンを37回1/3、防御率1.45、33三振で終え、ワールドシリーズMVPに輝いた。
2. ブラディミール.ゲレーロ.Jr.(ブルージェイズ、一塁手)
14年総額5億ドル(約750億円)の延長契約を結んでから初のポストシーズンで、ゲレーロJr.はブルージェイズに大きな見返りをもたらした。打率.397、出塁率.494、長打率.795という成績と1回のポストシーズンとしては歴代2位タイとなる8本塁打を放ち、素晴らしい10月を過ごした。ゲレーロはプレーオフ最初の3試合ですべて本塁打を放ち、ワールドシリーズの第4戦と第5戦でも一発を放つと、12試合連続安打でポストシーズンを終えた。1993年以来となるトロントの優勝には導けなかったものの、ゲレーロは近年の打者として最高のポストシーズンの一つを演じた。
3. 大谷翔平(ドジャース、先発投手/DH)
二刀流のスーパースターは、たった1試合の活躍だけでトップ20入りを果たせたかもしれない。それは、6回無失点、10三振に加え、3本塁打を放ってスイープを決めた、ブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦だ。だが、記憶に残る夜はその1日だけではなかった。大谷はポストシーズン全体を通じてその名を刻んだ。ワイルドカードシリーズ第1戦とワールドシリーズ第3戦でそれぞれ2本塁打を放ち、プレーオフ合計で8本塁打を記録した。打率.265、OPS 1.096をマークし、マウンドでは20回1/3を投げて28三振、防御率4.43を記録した。二刀流選手として臨んだ大谷の初のポストシーズンは、間違いなく期待通りのものだった。
4. トレイ・イェサベージ(ブルージェイズ、先発投手)
イェサベージはレギュラーシーズンでわずか3試合に先発しただけでポストシーズンの激戦に投入されたが、堂々たる結果を残した。新人右腕は当初から圧倒的な投球を見せ、ア・リーグ地区シリーズ第2戦のヤンキース戦では5回1/3を投げ、無安打、11三振に抑えた。ア・リーグ優勝決定シリーズ第6戦のマリナーズ戦で重要な勝利を挙げると、ワールドシリーズでは第1戦と第5戦の両方で先発を務めた。イェサベージは第5戦で7回を投げてドジャースから12三振を奪い、わずか1失点に抑えた。強烈なスプリットを武器に自身初のポストシーズンを印象的な27回2/3で終え、防御率3.58、39三振をマークした。
5. アーニー・クレメント(ブルージェイズ、三塁手)
クレメントは、2025年のポストシーズンで最大のブレークスターだったかもしれない。主に卓越した守備で知られる内野手は、打席でも本領を発揮し、10月を通してブルージェイズを支えた。クレメントはプレーオフで73打数30安打(打率.411)という驚異的な数字を残し、18試合で10度のマルチヒットを記録して、1回のポストシーズンにおける最多安打記録を樹立した。ア・リーグ地区シリーズの第2戦から第4戦にかけては、11打数で本塁打を含む9安打を放った。さらにワールドシリーズでは31打数12安打(打率.387)を記録し、同シリーズの全試合で安打を放ったほか、第7戦では3安打をマークした。
6. アディソン・バージャー(ブルージェイズ、外野手)
ブルージェイズのバランスの取れた強力な攻撃陣の一員として、バージャーはトロントのリーグ優勝への道のりで多大な影響を与えた。左の強打者は、デビューとなったポストシーズンで一躍脚光を浴び、68打席で打率.367、出塁率.441、長打率.583、3本塁打を記録した。それらの本塁打の中で最大の1本はワールドシリーズで生まれた。第1戦の均衡を破る6回、代打で登場し、左対左の状況から満塁本塁打を放った。ワールドシリーズ史上初となる代打満塁本塁打だった。クレメントとともに、バージャーはブルージェイズ打線の下位を、上位と同じくらい脅威的なものにした。
7. ジョージ・スプリンガー(ブルージェイズ、外野手)
スプリンガーは信じられないような復活の1年を送り、ア・リーグMVP投票で7位に入り、その成功をポストシーズンにも持ち込んだ。プレーオフ期間中、打率.284、OPS .899を記録した。その中には、10月を通してブルージェイズにとって最大の一打、ア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦の七回に放った勝ち越し3ランも含まれている。スプリンガーは驚異的な回復力も見せた。右脇腹の違和感によりワールドシリーズ第3戦を途中交代したが、第6戦と第7戦では負傷を押して出場した。ワールドシリーズの最後の2試合で10打数5安打を記録し、第6戦ではチーム唯一の打点を挙げ、第7戦では最初の3打席で安打を放った。
8. アーロン・ジャッジ(ヤンキース、外野手)
2025年、ジャッジはヤンキー・スタジアムで、長らく待ち望んでいたポストシーズンを象徴する瞬間を迎えた。ア・リーグ地区シリーズ第3戦、スーパースター外野手が左翼ポール直撃の同点3ランを放ったことは、ヤンキースの大逆転劇における決定打となり、ブルージェイズとの第4戦へと勝負を持ち込んだ。ニューヨークのシーズンはそこで終わったが、それはジャッジの責任ではない。ヤンキースのキャプテンは7試合で打率.500(26打数13安打)、OPS 1.273をマークし、1試合を除くすべての試合で複数安打を放った。2025年を迎えるまでのポストシーズン通算OPSが.768だったジャッジにとって、それはプレーオフでの圧倒的な力を見せつける喜ばしい活躍だった。
9. ホルヘ・ポランコ(マリナーズ、二塁手)
野球界最高の投手の一人から、1本だけでなく2本の本塁打。ア・リーグ地区シリーズを制する延長15回のサヨナラ打。ア・リーグ優勝決定シリーズ第1戦での2本の適時打。同第2戦での勝ち越し3ラン。ポランコはこれら4つの偉業を1週間余りで成し遂げ、シアトルが初のア・リーグ優勝まであと1勝に迫る中、何度も勝負強さを発揮した。最終的なポストシーズンの成績(打率.208、出塁率.269、長打率.417)はそれほど印象的なものではなかったが、ポランコは間違いなくここぞという場面で結果を残した。ア・リーグ・サイ・ヤング賞受賞者のタリク・スクーバルからア・リーグ地区シリーズ第2戦で放った2本塁打と、タイガースを敗退させたサヨナラ打は、マリナーズのポストシーズンにおける最高の名場面の一つだった。
10. タイラー・グラウナウ(ドジャース、先発投手)
先発か? ロングリリーフか? クローザーか? 役割にかかわらず、グラウナウは2025年のプレーオフでその任務を見事に果たした。先発として3試合、ブルペンから3試合の計6試合に登板。ベテラン右腕は防御率1.69、21回1/3を投げて25三振を記録した。フィリーズとのナ・リーグ地区シリーズ突破を決めた第4戦では、わずか被安打2で6回無失点と好投。その後、ワールドシリーズの第6戦と第7戦では救援として登板した(第6戦ではセーブも挙げた)。ドジャースはグラウナウが登板したプレーオフの全6試合に勝利しており、これはグラスナウのポストシーズンでの重要性を明確に物語っている。
11.ジャクソン・チューリオ(ブルワーズ、外野手)
チューリオは、メッツに敗れたワイルドカードシリーズで11打数5安打、1試合2本塁打を記録した2024年のルーキーイヤーの活躍をそのまま再現した。カブスとの2025年ナ・リーグ地区シリーズ第1戦では3打数3安打、3打点を記録し、続く第2戦では3ランを放った。チューリオはナ・リーグ優勝決定シリーズ第2戦でも、山本から初球先頭打者本塁打を放った。これはキャリアわずか10試合でのポストシーズン通算4本目の本塁打であり、すべて22歳の誕生日を迎える前に記録したものだ。2025年のプレーオフを打率.303(33打数10安打)、OPS .890で終え、その年齢と限られたMLB経験を考えれば、非常に印象的な数字を残した。
12.タリク・スクーバル(タイガース、先発投手)
MLB最高の左腕先発投手は、2025年のポストシーズン開幕からかつてないほどのすごみを見せた。ア・リーグ、ワイルドカードシリーズの初戦でタイガースのポストシーズン1試合最多記録に並ぶキャリアハイの14三振をガーディアンズから奪い、チームに勢いをもたらした。ア・リーグ地区シリーズ第2戦のマリナーズ戦では、7回を投げて2失点、9三振を記録すると、シアトルで行われた最終第5戦でマウンドに上がった。スクーバルは6イニングを投げ、驚異的な13三振を積み上げ、マリナーズ打線から7者連続三振を奪ってポストシーズンの連続三振記録を樹立した。総じて、スクーバルのポストシーズンの数字は目を見張るものだった。わずか20回2/3を投げただけで、防御率1.74、36三振を記録した。
13.ジョシュ・ネイラー(マリナーズ、一塁手)
ネイラーはア・リーグ地区シリーズの最初の3試合で安打が出ず、13打数無安打に終わった。しかし、その後は猛烈な勢いを見せた。エウヘニオ・スアレスとともに、トレード期限にシアトルが獲得した2人の重要な補強選手の一人であるネイラーは、マリナーズのプレーオフ最後の9試合で、驚くべきことに4度も1試合3安打を記録した。ア・リーグ優勝決定シリーズ第2戦ではリードを広げる2ラン本塁打を放ち、敗れた第4戦と第6戦でも一発を放った。スロースタートの後、34打数16安打(打率.471)を記録したことで、ネイラーは打率.340、出塁率.392、長打率.574、2盗塁、そして一塁での堅実な守備という好成績でポストシーズンを終えた。
14.佐々木朗希(ドジャース、救援投手)
佐々木は負傷者リスト入りによる長期離脱を経て、シーズン終盤にブルペンからわずか2度登板しただけで、救援投手としてのMLBでの経験はほとんどなかった。だが、この日本の怪物はプレーオフで重圧のかかる役割に見事に適応し、ドジャースの救援陣はまさにその力を必要としていた。レッズとのワイルドカードシリーズ第2戦で九回を無失点に抑えた後、フィラデルフィアで行われたナ・リーグ地区シリーズの第1戦と第2戦を締めくくった。同投手はナ・リーグ優勝決定シリーズの第3戦と第4戦で最後を投げ、ワールドシリーズの第3戦と第6戦でも重要なアウトを奪った。佐々木は力強い投球で合計10回2/3をわずか1失点に抑え、ポストシーズンの防御率は極めて優秀な0.84を記録した。
15.アンドレス・ムニョス(マリナーズ、救援投手)
ムニョスのキャリアハイの1年は、過酷な登板過多の中でもポストシーズンへと続いた。この剛腕クローザーは、マリナーズのポストシーズン初戦で6つのアウトを任され、2019年に記録したキャリア最長登板に並んだ。シアトルが延長11回に敗れるまで、タイガースを寄せ付けなかった。同投手はア・リーグ地区シリーズの第1戦、第2戦、第3戦、第5戦に加え、ア・リーグ優勝決定シリーズの第1戦にも登板し、プレーオフ序盤はほとんど休息がなかった。ムニョスは(ア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦の最後の登板で許した)わずか2安打しか打たれず、ポストシーズンの8回1/3を無失点に抑え、2セーブを挙げた。
16.カル・ローリー(マリナーズ、捕手)
ローリーはシアトルにとって歴史的なレギュラーシーズンを送り、球団記録となる60本塁打を放って、ア・リーグMVP投票で2位に入った。ポストシーズンでさらに素晴らしい活躍を見せた。スイッチヒッターの捕手は、マリナーズのプレーオフ12試合で打率.304(46打数14安打)、5本塁打を放った。ア・リーグ地区シリーズ第3戦、およびア・リーグ優勝決定シリーズの第1戦、第3戦、第5戦、第7戦でそれぞれ1本ずつ記録した。第5戦の八回に放った同点本塁打は、スアレスの満塁本塁打のお膳立てとなり、マリナーズにシリーズ3勝2敗のリードをもたらした。第7戦の五回に放ったソロ本塁打は結果的に実を結ばなかったが、この才能ある捕手にとって、あらゆる面で信じられないような1年を締めくくる一発となった。
17.マイケル・ブッシュ(カブス、一塁手)
ブッシュは、パドレスとのナ・リーグ、ワイルドカードシリーズを第3戦の七回にダメ押しとなるソロ本塁打を放って締めくくると、ナ・リーグ地区シリーズでも序盤から躍動した。第1戦ではブルワーズのフレディ・ペラルタを攻略して先頭打者本塁打を放ち、第3戦でもクイン・プリースターから再び先頭打者本塁打を放ち、同じ偉業を繰り返した。カブスがシリーズ0勝2敗の劣勢から巻き返す中、ブッシュはナ・リーグ地区シリーズ第4戦の八回に、このポストシーズン4本目となる本塁打を放った。この一塁手は、自身初のポストシーズンを打率.296(27打数8安打)、OPS 1.128で終えた。
18.フレディ・フリーマン(ドジャース、一塁手)
ワールドシリーズの開幕から4試合連続で本塁打を放ち、2024年の同シリーズMVPに輝いたフリーマンは、ドジャースの連覇に貢献するために再びその力を発揮した。2025年のプレーオフでは打率.221、OPS .720にとどまったが、2年連続でワールドシリーズの延長戦をサヨナラ本塁打で決着させた。今回は18回に及ぶ死闘となった第3戦での一発だった。フリーマンは他にも3試合で複数安打を記録しており、ミルウォーキーで行われたナ・リーグ優勝決定シリーズ第1戦が含まれる。この試合では、六回に放った本塁打が0−0の均衡を破った。また、ナ・リーグ地区シリーズ第2戦の最後には一塁で重要な捕球を見せ、フィリーズに対してシリーズ2勝0敗のリードを確保した。
19.ニコ・ホーナー(カブス、二塁手)
レギュラーシーズンで打率.297を記録したホーナーは、プレーオフではまさに安打製造機だった。カブスのポストシーズン全8試合ですべて安打を放ち、31打数13安打(打率.419)、1本塁打、OPS .972を記録した。キャリア2度目となる二塁手としてのゴールドグラブ賞を受賞したホーナーは、プレーオフ期間中、そのバットでシカゴのためにチャンスをお膳立てした。同選手の好調な打撃はカブスの躍進を支え、ナ・リーグ地区シリーズではブルワーズを決着となる第5戦まで追い詰めた。
20.キャム・シュリットラー(ヤンキース、先発投手)
シュリットラーはポストシーズンデビュー戦で圧巻の投球を見せ、ヤンキースタジアムで行われたワイルドカードシリーズ第3戦でレッドソックスを翻弄した。このルーキーは8回を無失点、12三振、無四球に抑え、ポストシーズンの1試合でこれら3つの基準をすべて満たした史上初の投手となった。ブルージェイズとのア・リーグ地区シリーズ第3戦でも6回1/3を投げ抜き、自身初のポストシーズンを14回1/3で防御率1.26、14三振、無四球で終えた。1
