記憶はやや曖昧だが、かつて「コーヒーの味がわかる男」を指して「違いのわかる男」というコピーのCMがあったように思う。
メジャーリーグにも、コーヒー好きは多い。毎朝、あるいは試合前に一杯を欠かさない選手は珍しくない。それだけでも十分「コーヒー好き」だが、そのさらに上をいく選手たちも多い。
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ロッキーズの先発投手マイケル・ロレンゼンは、遠征の際に「マイコーヒーセット」を持参する。首の長いポットにカップ、フィルター、そして携帯用グラインダー。豆はオーガニックスーパーで手に入る無農薬のライトローストをいろいろ試すのが楽しみだという。
「試合前には2杯飲むんだ」
多少荷物にはなるが、このコーヒーセットだけは絶対に欠かせないという。
「挽いてあると湿気でカビることもあるし、フレッシュな豆を挽いて飲むとやっぱり美味しいよね」
グラインダーの使い方まで丁寧に説明してくれて、思わずサイトでポチッと購入してしまった。
パドレスのジョー・マスグローブも本格派だ。本拠地クラブハウスのロッカーにはコーヒーカートが設置され、「Java Joe」とカフェのサインもある。カート上にはガラス製の「ドリッパー兼サーバー」のケメックスや豆が並び、かなり本格的な「コーヒー空間」が広がっている。マスグローブの両親がサンディエゴで「Cafe Adesso」というカフェを営んでいることもあり、本人のコーヒー愛も相当なものだ。
ロレンゼンにマスグローブのクラブハウスにあるカートの話をしたところ、「それはすごいな。対戦した時にコーヒーを注文したら、ベンチに届けてくれるかな」と冗談交じりに応じた。コーヒー好きとしては、興味津々の様子だ。
ヤンキースの外野手トレント・グリシャムもケメックス派だ。週末のデーゲームの朝、丁寧にコーヒーを淹れ、クラブハウスにいい香りを漂わせる。思わず「一口ください」と言いたくなるが、まだその機会には恵まれていない。
ドジャースの中島トレーナーは、ウィル・アイアトン氏が作陶したカップを愛用。ドジャースは遠征先にエスプレッソマシンと10種類以上の豆を持参するという。レイズの福田紳一郎トレーナーもマイカップを持参派だ。
遠征が続き、自宅でゆっくりとコーヒーを飲む時間さえままならない日々だからこそ、使い慣れたカップにこだわる気持ちは、痛いほどよくわかる。
記者自身も、挽いた豆を持参し、フィルターで一杯ずつ淹れるのが習慣だ。試合前に食事を済ませ、自分で淹れたコーヒーをゆっくり飲みながら開始を待つ時間は、何にも代えがたい。ちなみに豆はロレンゼンに勧められたスーパーの無農薬を使っている(豆ではなく、挽いてあるものですが)。
記者席でコーヒーを淹れていると、ふわりといい香りが漂うのか、「おいしそうですね」「丁寧な暮らしをされていますね」と声をかけていただくことがあるけれど、丁寧な暮らしを目指しているわけではない。ただ単に、おいしいコーヒーが好きなだけだ(笑)。
勝手に発足している「MLBバーチャル・コーヒー部」。どの選手がどんな一杯を楽しんでいるのか。これからもクラブハウスの片隅で、コーヒーを愛する選手たちを観察していきたい。
※クラブハウス内は撮影禁止のため、ロレンゼン、マスグローブのコーヒー活動の様子の写真は撮れませんでした。