冬の終わりには必ず「どのチームがオフシーズンで勝ったか?」という質問が投げかけられる。その時点ではほとんどが憶測に過ぎない。しかし、2025年シーズンが2カ月以上経過した今、どの移籍が実際に効果を上げているのかが見えてきた。
今週末、ア・リーグ東地区の対決でヤンキースとレッドソックスが激突する。どちらのチームも積極的にオフシーズンに動き、その成果がみられる。ヤンキースの大補強は、地区首位を維持するのに大きく貢献している。レッドソックスは同じような勢いは見せていないが、オフシーズンの動きがプレーオフ争への鍵となっている。
ヤンキースとレッドソックスが今シーズン初めて対戦する前に、オフシーズンで最も効果的な移籍をしたチームをランキングした。これは単なる順位ではなく、選手個々のパフォーマンスやチーム全体を考慮し、2025年シーズンに大きな影響を与えている移籍を取り上げたものだ。
1.シカゴ・カブス
カブスはオフシーズンに最も積極補強に動いたチームの一つで、4年ぶりのポストシーズン進出を目指して、ほぼ全ての新戦力がプラスの影響を与えている。中でも大きなインパクトを与えた選手が数人いる。
シカゴの打線は今シーズン非常に強力で、MLBトップの1試合平均5.72得点を記録している。クロウ-アームストロング、鈴木誠也、ブッシュら既存選手の活躍もあるが、wRC+(どれだけ得点に貢献したかを示す指標)でトップ2の選手は昨年チームにいなかった選手たちだ。1人はアストロズからトレードで加入した外野手タッカー、そしてもう1人は2年契約1150万ドル(約16億5500万円)でカブスに加わったキャッチャーのケリーだ。
カブスの投手陣にも新戦力が活躍しており、先発のボイド、スイングマン(先発とリリーフを兼務する投手)のレイ、リリーフ陣のティールバー、プレスリー、ケラーが安定した投球を見せている。特にボイドは左肘を手術してスティールのシーズン終了後、ローテーションで重要な役割を果たしており、12先発で防御率3.01としている。
2.ボストン・レッドソックス
レッドソックスは現在、勝率5割を少し下回っているが、オフシーズンに補強した選手たちがいなければ、状況はもっと悪化しているはずだ。ボストンは現在、ア・リーグのワイルドカード圏内まで4ゲーム差としており、その新戦力が大きな貢献をしている。レッドソックスのWAR(勝利への貢献度)トップ4のうち3人がオフシーズンで加入した選手で、三塁手ブレグマン(2.5 WAR)、左腕クロシェット(2.4 WAR)、キャッチャーのナルバエス(2.0 WAR)がその中心だ。また、クローザーのチャップマンも9セーブを記録し、防御率1.80を誇る。
クロシェットは特に大きなインパクトを与えており、ボストンのローテーションにおいて欠かせない存在となっている。防御率1.98でイニング数(82イニング)と三振数(101三振)でア・リーグトップを誇る。
3.ニューヨーク・ヤンキース
ジャッジは依然としてヤンキースの中心選手であり、その活躍がア・リーグ東地区首位を支えているが、新加入選手たちも大きな貢献をしている。ソトがフリーエージェントでメッツに移籍した後、ヤンキースは先発左腕のフリード、一塁手のゴールドシュミット、外野手のベリンジャー、リリーフのウィリアムズ、クルーズを獲得した。
フリードはコールがトミー・ジョン手術で欠場した中で、ヤンキースのエースとして活躍しており、防御率1.92、75イニングで70三振を記録している。ゴールドシュミット(打率.323、wRC+141)は37歳にして復活し、昨年ヤンキースにとって大きな弱点だったポジションを強化している。ベリンジャーはシーズン序盤は遅れを取っていたが、最近は打率.313、5本塁打、OPS.943を記録し、外野の守備力で大きな貢献をしている。
ウィリアムズはシーズン序盤に苦しんでいたが、直近の12試合では防御率2.45で16三振、2四球と調子を取り戻している。最近では、ウィーバーが左太もも裏を痛め負傷者リスト(IL)入りした後、九回を任されている。また、クルーズの加入も大きな助けとなり、24回2/3で38三振、防御率2.92を記録している。
4.ニューヨーク・メッツ
ソトの歴史的な15年7億6500万ドル(約110億円)の契約の初年度は少し不安定だったが、スーパースター外野手はチームの打線にプラスの影響を与えており、今後はソトの復調とそれにともなうチーム成績の向上が予想される。メッツはアロンソを再契約したことでも評価されるべきだ。アロンソはメッツの最優秀打者で14本塁打、19二塁打、53打点、wRC+166を記録している。
メッツの投手陣の補強も大きな効果を上げており、モンタス、マナエア、A.J.ミンターのケガにもかかわらず、リリーフのホームズを3年3800万ドル(約54億7000万円)で再契約し、先発投手に転向させたことが見事に成功している。ホームズは12先発で防御率3.07を記録している。キャニング(防御率2.90 )をエンゼルスからトレードで獲得したこともスターンズ編成本部長にとっては大きな手柄だ。ホームズとキャニングは、メッツがMLBトップのチーム防御率2.83に貢献しており、チームがナ・リーグ東地区の首位に立つ要因となっている。
5.デトロイト・タイガース
2024年に驚くべき後半の巻き返しを見せてプレーオフ進出を果たしたタイガースは、今シーズンも順調にスタートしており、球団記録となる105勝ペースを維持している。何より、チームの既存選手たちが好調の鍵となっており、スクーバルやグリーンは昨年の成功を継続し、トーケルソン、マイズ、バエズは期待を大きく上回っている。
だが、タイガースのオフシーズンの補強も大きな影響を与えており、ロースターを深める手助けとなっている。二塁手のトーレスは打線を活性化させ、打率.270、出塁率.383、長打率.404の成績を残し、四球(31)と三振(24)のバランスが素晴らしい。先発右腕、フラハーティはドジャースからタイガースに戻り、ローテーションにプラスの影響を与え、防御率3.72で65回1/3を投げ、76三振。カンリーはベストとともに強力なクローザーコンビを形成し、カンリーは8セーブ、防御率1.35の好成績だ。
6.ヒューストン・アストロズ
ブレグマンがフリーエージェントになり、6年1億5600万ドル(約224億5000万円)の残留オファーを拒否し、タッカーが2025年末にフリーエージェントとなるため、アストロズはオフシーズンにいくつかの難しい決断を下さなければならなかった。最終的には、タッカーをカブスにトレードし、代わりにコーナーインフィルダー(一塁手と三塁手)のパレデス、トッププロスペクト(有望株)のスミス、投手のウェスネスキーを獲得するという積極的な選択をした。アストロズはさらに、ベテランの一塁手ウォーカーを3年6000万ドル(約86億3400万円)で契約し、左腕リリーフ投手オケルトもマイナーリーグ契約で獲得した。
現時点では、その結果は決してまちまちだ。ウォーカーは打撃で苦しんでおり、ウェスネスキーはトミー・ジョン手術を受け、タッカーはシカゴで素晴らしいシーズンを送っている。しかし、パレデスはブレグマンの代わりに三塁をうまく埋め、60試合で12本塁打、wRC+127、1.7 WARを6マークしている。スミスはタッカーの役割を引き継ぎ、以前は一度も守ったことのない右翼手としてプラスの守備をし、オフェンスでは平均を少し上回る成績(wRC+103)を残している。オケルトはブルペンで素晴らしい働きをしており、アストロズは例年通り、ア・リーグ西地区の優勝争いに加わっている。
8.サンディエゴ・パドレス
すでに多くの大きな契約がチームにある中で、パドレスはオフシーズンに大きな補強をしなかった。これは、GMのA.J.プレラーの通常のやり方とは異なる。実際、オフシーズン中の多くの議論は、パドレスのスター選手たちをどのようにトレードして、いくつかの重要な選手の穴を埋めるかというものであった。
しかし、春季キャンプがすでに始まった後、先発投手ピベッタと契約し、この補強が予想以上に効果的だった。ピベッタは素晴らしい結果を出しており、シースの不安定さやダルビッシュとキングの負傷離脱によって苦しむローテーションを支える役割を果たしている。
ピベッタと契約する直前に、パドレスは控えめな補強としてシーツをマイナーリーグ契約で獲得した。シーツは、2025年シーズン前まで生涯打率.230、出塁率.295、長打率.385の打者だったが、パドレスの打線に必要な左のパワーヒッターとして活躍。11本塁打、wRC+129と貢献している
