その日の午後、ロジャースセンターのスタンドでバザーナは試合展開を注視し、「まるで自分がそこに立っているのを、見ているかのよう」だと感じた。メジャー昇格まであと一歩に迫る23歳は、「近いと感じる」と思った。
その翌日、バザーナは26日(同27日)、メジャー昇格の報を受けた。ガーディアンズは28日(同29日)にバザーナを昇格させ、本拠地プログレッシブフィールドでのレイズ戦でメジャーデビューを飾った。「7番・二塁」で先発出場し、2打数無安打、2四球。チームは0―1で敗れた。
両親のジェニーさんとゲーリーさんは、コロンバス(マイナー戦)での試合を観戦するためにオーストラリアから米国へ向かっている最中だった。26日(同27日)、バザーナは予定が変更になったことを報告した。
バザーナは「母は笑いながら泣いていた。すごく興奮していて、感情があふれ出していた。父は驚いていたが、とても喜んでいた」と語った。
バザーナ家とガーディアンズにとって大きな瞬間であり、クリーブランドにおいては2015年6月14日(同15日)のフランシスコ・リンドーア(当時21歳)以来、最も期待されたメジャーデビューとなった。約9年後、トラヴィス・バザーナ(23)は球団史上初となるドラフト全体1位指名選手となった。「球団の顔」となる可能性を秘めた選手に与えられる栄誉だ。
バザーナはオーストラリア野球界の顔であることも含め、自身の経歴に伴う重みを理解している。また、それを自ら受け入れてもいる。
「それは素晴らしい側面の一つ。期待やプレッシャーがある場所にいられるよう、懸命に努力してきた。子供の頃も今も、常に自分自身に最高の結果を求めてきた。周囲のどんな期待も、僕が自分自身に抱いている期待と同じくらい大きなもの。だから、これからも自分に対して高い基準を持ち続ける」と語った。
バザーナは練習熱心なことで知られている。スティーブン・クワン(28)は数年前、それを間近で目撃していた。クワンとトレバー・ラーナック(29)はオフシーズンの打撃練習のため、母校のオレゴン州立大を訪れた。当時、バザーナは同大の1年生だった。バザーナはクワンとラーナックに対し、練習を見学させてもらえないかと願い出た。
1時間半の練習が終わった後、バザーナはクワンとラーナックの元へ行き、2人の練習について洞察に満ちた多くの質問をした。
クワンは「その場ですぐに『野球を本当によく理解している』と感じた。私たちが意識している細かな点に気づいている。しかも1年生で18歳。本当に成熟していると感じた。そこから成長し続けている。あの時から、何か特別なものがあると分かっていたと思う」と当時を振り返った。
バザーナは、細部へのこだわりは野球への愛と情熱、そして競争心から来ていると指摘した。常に自分自身がどうすれば最高の状態になれるかを考えている。2025年は、右脇腹の負傷で約2カ月間欠場し、84試合に出場した。離脱した際、「どうすれば前に進み続けられるか」と考えた。
バザーナは7月に負傷者リスト(IL)から復帰し、8月10日に3Aコロンバスへ昇格した。招待選手としてメジャーのキャンプに参加し、ワールドベースボールクラシック(WBC)ではオーストラリア代表としてプレー。コロンバスでも素晴らしいスタートを切った(24試合でOPS.937)。
バザーナは完成品ではない。初めてメジャーに昇格した時点で完成されている選手はいない。しかし、次の課題への準備ができていることを証明しており、ガーディアンズには二塁でプレーする機会がある。
スティーブン・ボート監督(41)は「チームには少し刺激が必要だった」と語った。「しかし同時に、適切なタイミングだった。当然、多くのスタッフらが働き、評価しており、今がその時だということで意見が一致した。私たちは本当に興奮している」と期待した。
バザーナは今春、ガーディアンズの組織に大きな印象を与え、スーパースターのホセ・ラミレス(33)から素晴らしい激励を受けた。キャンプでは、2人は打撃練習で一緒に打ち、バザーナはラミレスを見るだけで自身のスイングが良くなったと感じた。
バザーナは「(ラミレスから)『バザーナ、準備はできているな。準備万端だ』というようなことを言われた。そして『それは最高だ』と思った」と振り返った。
物心ついた頃からメジャーリーガーになることを夢見てきた。オーストラリアで5、6歳だった頃、MLB.comで憧れの選手のハイライトを見ていたことを覚えており、10代になる頃には野球に全力で打ち込み、限界まで挑む決意を固めていた。
クリーブランドで期待通りに成長すれば、長くチームに留まるだろう。
バザーナは「球場に来てくれるファンや、テレビで見てくれるファンのために全力を尽くす。クリーブランドの野球に長きにわたって大きな影響を与えたい」と意気込んでいる。
