バットを放り投げるドミニカ共和国の強力打線とバットに触れさせない投球をするポール・スキーンズ(23)の投球。
結束を深め、優勝以外は失敗と心得ているアメリカの緊張感と強打を誇り、陽気なパフォーマンスで盛り上がるドミニカ共和国の開放感。
多くのファンが待ち望んだワールドベースボールクラシック(WBC)の準決勝。まさに世界最高峰の対決だ。
15日夜(日本時間16日)、マイアミで国の誇りと決勝進出をかけたスター選手の競演が行われる。人口3億4000万人を超えるアメリカが、史上最強とも称される代表メンバーを揃えた。一方、人口1100万人強のカリブ海の小国ドミニカ共和国も、アメリカを倒す実力を備えたメンバーを編成した。
日本代表が前回王者として警戒される中、出場20チームでアメリカとドミニカ共和国ほどメジャーのスターが揃ったチームはない。
現在のアメリカには、昨季のア・リーグMVPであるアーロン・ジャッジ(33)をはじめ、スキーンズ、カル・ローリー捕手(29)、ボビー・ウィットJr.(25)、バイロン・バクストン(32)、カイル・シュワーバー(33)、ピート・クロウ=アームストロング(23)、ブライス・トゥラング(26)、ウィル・スミス(30)らMVP投票で得票した9人がメンバー入りしている。
ドミニカ共和国も同様にフアン・ソト(27)、フリオ・ロドリゲス(25)、フェルナンド・タティスJr.(27)、ブラディミール・ゲレーロ・ジュニア(26)、マニー・マチャド(33)、ケテル・マルテ(32)、ヘラルド・ペルドモ(26)、ジュニア・カミネロ(22)、クリストファー・サンチェス(29)ら9人だ。
MVP投票で得票した41人のうち18人が一つの球場に集結する。オールスター戦をはるかにしのぐ緊迫した一戦となる。
これだけのスターがそろえば、さまざまな物語が生まれる。だが、最大の注目はスキーンズだ。元空軍士官学校候補生からサイ・ヤング賞右腕となった23歳が、WBC記録に並ぶ14本の本塁打を放ち、楽しみながら打ちまくっているドミニカ共和国打線に挑む。
対決の見どころは以下の通り。
チーム成績:アメリカ代表は1次ラウンドで不測の事態に見舞われたが、ドミニカ共和国はここまで圧倒的な強さを見せている。
アルバート・プホルス監督(46)率いるドミニカ共和国は、1次ラウンドの対戦相手を41-10で圧倒。準々決勝の韓国戦でも10-0で七回コールド勝ちした。打線が中心となっており、オニール・クルーズ(27)、オースティン・ウェルズ(26)、ジュニオール・カミネロ(22)、ブラディミール・ゲレーロJr.(26)、フアン・ソト(27)、フェルナンド・タティスJr.(27)がそれぞれすでに2本の本塁打を放っている。先発のルイス・セベリーノ(32)は、前回のオランダ戦で3安打1失点、5三振の内容だった。
だが、これはドミニカ共和国にとって今大会最大の試練になる。アメリカは1次ラウンドでイタリアに敗れ、危うく敗退の危機に直面したが、1次ラウンドでは得失点差プラス18を記録。準々決勝ではカナダに5−3で勝利した。スター選手がそろう豪華な選手で現在最も調子が良いのは、打率.385(13打数5安打)で長打3本を放っているピート・クロウ・アームストロング(23)と打率.467(15打数7安打)で4本の二塁打を放っているトゥラングだ。また、スキーンズはメキシコ戦で4イニングを投げ、1安打無失点、1四球に抑えている。
先発:右腕ポール・スキーンズ(23)vs. 右腕ルイス・セベリーノ(32)
展望:この試合の勝者は、17日午後8時(同18日午前9時)にローンデポパークで行われる決勝に進出する。イタリア対プエルトリコの勝者と日本対ベネズエラの勝者が対戦するもう一方の準決勝の勝者と優勝を争う。
ドミニカ共和国が決勝に進出したのは、プエルトリコを倒して優勝し、ロビンソン・カノが大会MVPに選ばれた2013年大会の1度のみ。
アメリカは、マーカス・ストローマンの活躍で初優勝した2017年、決勝で日本と歴史的な激闘を演じて敗れた2023年に続き、過去2大会連続で決勝に進出している。
対戦成績:WBCでの両国の対戦は4度目だが、これほど勝ち進んだ段階での対戦は初めて。
2013年大会では、ドミニカ共和国が1次ラウンドでアメリカに3−1で勝利し、初優勝を飾った。
2017年大会では、ドミニカ共和国が1次ラウンド初戦でアメリカに7−5で勝利。しかし、準々決勝での再戦では、中堅手のアダム・ジョーンズが当時オリオールズのチームメートだったマニー・マチャドのホームラン性の当たりをフェンス際で捕球する大会屈指の名場面が生まれた。アメリカはこの試合に6−3で勝利し、その勢いのまま初優勝を果たした。
アメリカとドミニカ共和国の両チームにとって、頂点への道はこのライバル対戦を避けては通れない。果たして歴史は繰り返されるのか。
