【日本13―0チャイニーズ・タイペイ】日本/東京ドーム、3月6日
球数は“まだ”53球だった。ワールドベースボールクラシック(WBC)日本代表侍ジャパンの開幕戦となったチャイニーズ・タイペイ戦。エース、山本由伸(27)は13―0と大量リードしていた三回途中で2番手・藤平尚真(27)に交代した。日本の投手陣の大黒柱となるべき存在。通常、このケースで交代させることはない。ピンチだからといって、交代させるような格の投手ではないからだ。
では、なぜ降板しなければいけなかったのか。
1次ラウンドでは、ルール上の球数制限が65球に設定されている。山本は2回2/3で53球。制限まで打者1人は十分に投げ切れる余裕があった(なお、球数上限に達しても対戦打者の途中なら続投可能)。山本も続投を志願するようなしぐさもなかった。投球内容、走者を残して交代する悔しさはあっただろうが、山本も交代にはある程度、納得していたのではないだろうか。
ドジャースの一員としてジャイアンツとのオープン戦に登板した2月27日。地元メディアから「WBCで球団からどれくらい球数を制限されているか?」と聞かれると「いろんな話し合いをしながら、いろんなことが決まっています」と詳細は伏せた。
井端監督は、メジャー各球団幹部と所属選手の出場交渉をしていた昨年から、ルールでの球数制限を下回る投手起用に努める考えだった。昨年12月、フロリダ州オーランドで開催されたウインターミーティングでは「MLB(各球団)側から提示されるイニング制限よりも短いくらいのイニング数をこちらで設定しておきたい。あとは登板間隔をどれくらい開けるか、球団の要望に合わせて柔軟に対応するつもりです」と負傷のリスクを極力軽減するための“安全第一”で起用するプランを明かしている。
米国時間5日(日本時間6日)、ドジャースのロバーツ監督はオープン戦前の定例会見で山本の登板予定を問われ「3イニングを想定している」と発言。あらかじめ、ドジャースの編成本部長やGMらの球団首脳と侍ジャパンの首脳陣、山本らと交代する目安の球数を定めていたはずだ。だからこそ、エースの交代として“ふさわしくない”場面だったが、ドジャース、井端監督、山本の三者合意の上で降板したのだろう。
通常、この時期はオープン戦で段階的に球数を増やす。一般的に登板毎に15球ずつ。山本は2月21日のエンゼルス戦で30球、同27日のジャイアンツ戦では52球を投げていた。長距離移動、時差などを含む体への負担を考慮し、この日は55球前後を交代メドに設定していたのかもしれない。あるいは、ロバーツ監督が「3イニング」と想定したように、1イニング15球を3回=45〜50球程度が目安だった可能性もある。あるいは、1イニングあたりの球数に上限があったのかもしれない。山本は一回に10球、二回は22球、三回は21球を投げていた。メジャーでは、1イニングに35球以上を投げた場合(シーズン中)、負傷リスクが高まるといわれている。
先発投手は、登板間隔的にWBCで2登板が限度。山本はマイアミでの準々決勝(現地時間3月13、14日)での先発が予想される。
