レッドソックスは22日(日本時間23日)、カージナルスとのトレードで一塁手兼DHのウィルソン・コントレラスを獲得した際、若手投手を放出した。過去数年間、疑問符ばかりだったポジションの「答え」にコントレラスがなることを期待してのことだ。
1月に26歳になるトリストン・カサスは、レギュラーの一塁手として2023年に素晴らしいルーキーシーズンを送り、OPS .856(OPS+ 129)、24本塁打を記録した。だが、それ以降はケガに苦しみ、過去2シーズンは計92試合の出場にとどまっている。
2年前のカサス以前に、平均以上のOPS+(平均が100なので100以上)を記録したボストンの規定打席到達一塁手は、2016年のハンリー・ラミレス(126)までさかのぼる。昨年5月にシーズン絶望となる左膝蓋腱(しつがいけん)断裂を負い、復帰を目指しているカサス。その間、コントレラスはチームの「答え」となるだろうか?
コントレラスがボストンに何をもたらすのか、そしてレッドソックス一塁手の近い将来にどのような影響を与えるのかを分析する。
打撃面で好調を弊族
2016年にカブスでメジャーデビューして以来、コントレラスは打席で安定した成績を残している。
2018年を除くすべてのシーズンでOPS+は106から138の範囲にあり、攻撃面で平均を大きく上回っている。通算172本塁打も放っている。その大半は、ケガによりカージナルスが一塁へ転向させる前に務めていた捕手としてのものだが、2016年のデビュー以降の一塁手の中では12位にランクされる数字だ。
今季、コントレラスは135試合に出場し、打率.257、出塁率.344、長打率.447、20本塁打でシーズンを終えた。打球の質を示す指標を見ると、実際には従来の成績が示すよりも良いシーズンを送っていたことが示唆される。期待打率(.260)、期待長打率(.481)などはいずれも、実際の結果を上回っていた。
コントレラスのハードヒット率(打球初速95マイル以上=153キロ以上の割合、49%)とバレル率(長打になる可能性が高い打球角度と打球初速の組み合わせ13.9%)はいずれも優秀だった。バットスピードも球界のエリートの一人だ。平均76マイル(約122キロ)のバットスピードは、2025年の規定打席到達者の中で上位5%にランクされた。
打者にとって厳しい球場から、最高の球場へ
コントレラスが過去3シーズン本拠地としたブッシュスタジアムは、スタットキャストを導入している28球場(サクラメントのサッター・ヘルス・パークとタンパのジョージ・M・スタインブレナー・フィールドは含まない)の中で、パークファクター(球場がいかに打者有利かを示す指標)が18位となっている。
ブッシュスタジアムの総合的なパークファクターは100で、打撃においては中立的な環境であることを意味する。参考までに、最も高いパークファクター(113)を記録しているのは、予想通りデンバーのクアーズフィールドだ。では、2番目に高い球場はどこか? それこそがボストンのフェンウェイ・パーク(104)だ。ブッシュからフェンウェイへの移籍は、打席に立つコントレラスにとって大きな恩恵となるはずだ。
引っ張った打球が増加――ようこそ、グリーンモンスター
フェンウェイパークの左翼線、本塁からわずか310フィート(約94.5メートル)の場所にそびえ立つ「グリーンモンスター」は、右打者にとって大きく魅力的だ。コントレラスはパワーのある右打者であり、2025年はプルサイド(引っ張り方向)へ上がった打球の割合が大幅に上昇した。
2024年、コントレラスがインプレーにした打球のうち、プル方向へ上がったのは15.1%だった。25年は、その数字が自己最高の19.8%になった。
25年に放った20本塁打のうち、15本は引っ張った打球。フェンウェイパークの球場図に重ね合わせると、レッドソックスファンにとっては実に美しいスプレーチャート(打球分布図)になる。
守備でも貢献
コントレラスは決して、打つだけの選手ではない。カージナルスでは、捕手から一塁手への転向を驚くほどスムーズにこなした。2025年は広い守備範囲を見せ、OAAはプラス6(上位10%)でシーズンを終えた。肩の強さも、送球は88.2マイル(約142キロ)で上位24%と高く評価されている。
伝統ある球場の重圧も経験済み
過去3シーズンはカージナルスで過ごしたコントレラスはメジャーキャリアの最初の7シーズンをカブスで過ごした。108年間ワールドシリーズ優勝がなかった球団でプレーし、2016年にルーキーとして、シカゴの歴史的な「世界一なし」の記録に終止符を打つ戦いに貢献した。
本拠地は、伝説と伝統が息づくリグレーフィールドだった。本拠地のあるシカゴは、控えめに言ってもスポーツに熱狂的な街だ。中規模市場のセントルイスから、大規模市場のボストン、そしてMLB最古の球場への移籍も、コントレラスにとってはそれほど難しいことではないはずだ。つまり、移籍直後からスムーズに活躍できる可能性がある。
これと無関係ではないが、ポストシーズン通算30試合出場という実績も、10月の大舞台でスポットライトを浴びた経験として、フィールドでの能力をさらに後押しするだろう。
