ドジャースは当初、右手の骨挫傷で負傷者リスト入りしたウィル・スミスが最短日数で復帰できることを期待していた。しかし、現在、オールスター捕手を欠いた状態でレギュラーシーズンの残り試合、場合によってはそれ以降も戦わなければならない現実に直面している。
20日(日本時間21日)の試合前、デーブ・ロバーツ監督はスミスが右手の精密検査を受けた結果、亀裂骨折が判明したことを明らかにした。スミスがレギュラーシーズンの最終週で復帰する可能性は低く、ポストシーズンに間に合うかどうかも不透明な状況だ。
「いつかは復帰してくれると楽観視しているよ」とロバーツ監督。「レギュラーシーズン中かどうかは微妙だが、ポストシーズンには出場できるだろうと期待している」と語ったが、具体的な復帰時期については言及を避けた。
これにより、スミス欠場中に正捕手を務めていたベン・ロートベットが引き続き正捕手を担うことになる。新人のドルトン・ラッシングも控え捕手として出場機会を得る。
スミスはピッツバーグのパイレーツ戦で右手にファウルチップを受けてから10日後、13日(同14日)に負傷者リスト(IL)入りした。X線、CTスキャン、MRIなど初期段階での検査では骨に異常は見つからず、ILに登録しなかった。9日(同10日)の試合に捕手としてフル出場したスミスだが、翌日に再び右手が痛み始めた。
ワイルドカード・シリーズが開幕する30日(同10月1日)時点でスミスの出場が不透明な場合、ドジャースはスミスを含め、3人の捕手をロースターに登録する可能性がある。ワイルドカード・シリーズで必要な先発投手は3人だけであることに加え、大谷翔平が二刀流登録であるため、ドジャースは実質的に投手を1人増やせるからだ。
ロバーツ監督は「ワイルドカード・シリーズの開幕が近づき、ウィルの状態をもっと詳しく確認することができれば、(ロースターに入れるかどうかを)判断できるだろう。その可能性は確かにある」と語った。
シーズンを通して、スミスはドジャースで最も安定した打者の1人だった。今季ここまで110試合に出場し、打率.296、OPS.901を記録。しかし、8月は打率.159とスランプに陥り、9月に入って負傷に見舞われた。
過去数年間、スミスの打撃成績は後半戦に下落する傾向があった。そのため、ドジャースは今季、スミスの出場時間の管理に細心の注意を払っており、コンディション維持のためにラッシングを週2試合ほど起用してきた。
そうしたドジャースの努力にもかかわらず、負傷のアクシデントが発生。予期せぬ負傷は、コントロールできる範囲は限られている。
アンドリュー・フリードマン編成本部長は「これが野球だし、そういうこともある。もちろん、様々な負傷が発生するし、だからといって誰かが同情してくれるわけでもない。彼が復帰するまで、全力で(スミスの穴を)カバーしていかないといけないね」と語った。
9月の大部分で正捕手を欠いているドジャースだが、ここ最近は好調を維持しており、直近12試合で9勝3敗。13年連続となるポストシーズン進出も決定した。
うれしいサプライズとなったのはロートベット。7月末のトレード期限にレイズから移籍し、ドジャースでは34打数10安打(打率.294)。より重要なのは、投手陣を巧みに操っているということだ。
新天地デビューからわずか5試合で、ロートベットは九回までノーヒッターを継続する試合を2度経験。しかも、これは3日間で起こったものだ。ロートベットが初めてフル出場した6日(同7日)以降、ドジャースの先発投手陣は13試合で防御率1.73をマークしており、これはリーグ1位の数字だ。
フリードマン編成本部長は「彼が投手陣を率いてくれたことは本当に素晴らしい」と代役捕手を称賛する。「彼は捕手として投手陣を支える『縁の下の力持ち』のようなリーダーシップのメンタリティを持ち、その結果として多くの投手と信頼関係を築いている。もちろん、投手陣の成績は投手自身のピッチングに大きく依存しているが、自信を持ってボールを投げ込むことができているのは、彼が投手陣と信頼関係を築いてくれているからだろう」と先発陣の好調の理由について分析した。
