デラクルーズ、タティスJr.、アロザレーナらスターがワールドベースボールクラシック出場見込み

December 10th, 2025

ワールドベースボールクラシックの開幕は来年3月だが、すでに12月の時点で始まっていると感じてもおかしくない。9日(日本時間10日)には、大会に出場する20チームの監督、ゼネラルマネジャー(GM)、チーム関係者がフロリダ州オーランドのウインターミーティング会場に集まり、2026年大会のメディアデーに臨んだ。

その場には多くの報道陣が詰めかける中、各チームの代表者は、ワールドベースボールクラシックに合流すると見込むMLBのスター選手十数人への招集意向を明らかにした。ドミニカ共和国代表ではエリー・デラクルーズ、マニー・マチャド、フェルナンド・タティスJr.らスーパースターの名前が挙がり、2023年大会で活躍したメキシコ代表にはランディ・アロザレーナが再び加わる予定だ。さらに、2024年ドラフト全体1位指名のトラビス・バッザーナはオーストラリア代表としてプレーする見込みとなっている。

加えて米国代表は、この日の冒頭にガナー・ヘンダーソン、ウィル・スミス、カイル・シュワーバー、ブライス・トゥランら複数の選手の参加を発表した。

もちろん、ここで一つ注意しておくべき点がある。ここで名前が挙がる選手は全員、出場への関心や出場する意向が確認されているものの、各チームの最終的なロースターが確定するのは2月上旬になる見込みだ。それまでは、何一つ正式には決まっていない。

では、アルファベット順にチームごとに見ていく。

オーストラリア

トラビス・バザーナがまだ大学生で、ケープコッドリーグのスコア欄を派手に埋めていたころ、一つの夢を抱いていた。ワールドベースボールクラシックでオーストラリア代表の1番打者として出場し、二塁を守ることだ。その夢を実現する機会が巡ってきた。オーストラリア代表のデーブ・ニルソン監督は、ガーディアンズのトッププロスペクトであり、2024年ドラフト全体1位指名選手のバザーナが、2026年大会で代表としてプレーする意向を示しているとロブ・ブラッドフォードに語った。バザーナは最近も2024年のプレミア12でオーストラリア代表としてプレーし、チーム最年少クラスの一人として19打数5安打、1打点を記録している。

バザーナに加えて、ニルソン監督はホワイトソックスの内野手カーティス・ミードとクローザーのリアム・ヘンドリクスも代表としてプレーする意向を示していると明かした。

「彼は本当に楽しみにしているよ」とニルソン監督は語った。

「『いまフロリダ州ウエストパームビーチで、大会に向けて調整している』と言っていた」

カナダ

有望株好きにはうれしいニュースだ。カブスのトップ有望株オーウェン・ケイシーが、2026年のワールドベースボールクラシックで再びカナダ代表としてプレーする意向を示している。まだ23歳だが、2023年大会ですでにカナダ代表としてプレーし、13打数3安打、1本塁打、4打点の成績を残している。今季はカブスで短期間ながらメジャーデビューも果たしており、サプライズを起こす存在になりそうだ。

カナダ代表のハミルトンGMは2023年大会がケイシーにとって「自身を示す場」になったと語り、アーニー・ウィット監督も再招集を楽しみにしているという。

遊撃手オットー・ロペスもカナダ代表に戻ってくる予定だ。

「前回大会ですでに実績を残し、チームに大きな影響を与え、野球への姿勢や人柄も素晴らしく、メジャーリーグでも正遊撃手として通用している。そういう選手が遊撃にいてくれるのは、われわれにとって非常に大きい」とハミルトンGMは語っている。2023年大会でロペスは17打数5安打、本塁打1本、三塁打1本、6打点を記録し、チームの主力の1人として活躍した。

コロンビア

コロンビア代表は、2023年大会で期待外れの成績に終わり、3月にアリゾナ州ツーソンで行われた予選に回ることになったことを快く思っていない。ホセ・モスケーラ監督がホセ・キンタナとフリオ・テヘランという投手陣の柱が参加する意向を示していると明かした。キンタナはメジャー通算113勝、テヘランは81勝で、コロンビア出身投手としては歴代1位と2位に位置している。テヘランは2017年大会でコロンビア代表として初のワールドベースボールクラシックでの勝利を挙げ、ツーソン予選のブラジル戦でも好投した。キンタナも2017年大会でコロンビア代表としてマウンドに立ち、アメリカ戦で5回2/3を投げ、1失点に抑えた。

モスケーラ監督は、二遊間コンビについても明かした。パドレス傘下でプレーする25歳の遊撃手フランシスコ・アクーニャが、マリナーズの二塁有望株マイケル・アローヨとともに代表入りする予定だ。アローヨは今春の予選でコロンビア打線をけん引し、10打数3安打、二塁打1本と2盗塁を記録した。

チェコ

2023年大会で多くのファンに愛されたチェコ代表について、パベル・チャディム監督は、チェコにルーツを持つMLB選手が何人かいて、いまも自分のリストに載せていると明かした。アダム・マッコやデービッド・ベドナーらが実際にほとんどがチェコで生まれ育ったアマチュア選手だけで構成されている代表のユニホームに袖を通すかどうかまでは語らなかったものの、2026年大会では新しい主将がチームを率いることになる。

前主将ペトル・ジーマが現役を退き、チャディム監督のコーチングスタッフに加わったことから、一塁手マルティン・ムジークが新たなリーダーに選ばれた。ムジークは2023年大会の中国戦で勝利を大きく手繰り寄せる本塁打を放ち、チェコ代表の2026年大会出場権を確かなものにした選手だ。

「打線の中で本当に重要な存在だ」チェコ野球連盟のペトル・ディトリヒ会長はそう語る。

「いつも何かを起こしてくれるし、試合を左右するような好捕を何度も見せてきた。観客からの人気も抜群だ」

ドミニカ共和国

ドミニカ共和国と対戦しなければならない投手は本当に気の毒だ。2013年のワールドベースボールクラシックで優勝し、2023年に日本が並ぶまで大会史上唯一の全勝優勝を成し遂げた強豪は、前回大会で1次ラウンド敗退に終わった雪辱を期している。新監督アルバート・プホルスの下でも、得点力に悩まされる心配はなさそうだ。

パドレスの2人のスーパースターが、その中心を担う。マニー・マチャドが代表に復帰し、フェルナンド・タティスJr.が初めて出場する予定だ。マチャドがドミニカ共和国代表としてプレーするのはこれで3度目で、通算成績は打率.256、出塁率.304、長打率.535、3本塁打、6打点。2017年大会ではプールCのMVPにも選ばれている。

マチャドは大会史に残る名場面の一つにも深く関わっている。2017年、ペトコ・パークのスタンド行きかと思われたマチャドの飛球をアダム・ジョーンズがフェンス際で跳び上がって捕球し、本塁打を奪ったあのプレーだ。

加えて、レッズの“一瞬目を離すと見逃してしまう”ような驚異的な選手、エリー・デラクルーズも初出場する予定だ。デラクルーズはメジャー3シーズンで通算60本塁打、139盗塁を記録しており、オールスターにも通算2度選出されている。

しかも、遊撃手はデラクルーズ1人だけにはならない可能性がある。ヘラルド・ペルドモは8日の夜に出演した「アブリエンド・スポーツ」で、プホルス監督から電話があり、自身もドミニカ共和国代表のユニホームに袖を通すつもりだと話した。

メキシコ

前回大会では、ランディ・アロザレーナがメキシコ代表を大会史上最高の成績に導き、チームは村上宗隆のサヨナラ二塁打により決勝進出を後一歩のところで逃した。アロザレーナは今回もメキシコ代表として出場する予定だ。前回大会では打率.450、出塁率.607、長打率.900(OPS 1.507)、9打点を記録し、大会オールスターチームに満場一致で選出された。

メキシコ代表で戻ってくる外野手はアロザレーナだけではない。ベンジ・ギル監督は、ジャレン・デュランもメキシコ代表としてプレーする見込みだと明かした。

前回大会当時、デュランはメジャーリーグ2度目の昇格を終えたばかりで、まだ本格的なブレーク前だったため、メキシコ代表での打席はわずか6打席だった。今回は違う役割が期待されている。

プエルトリコ

2013年以来の開催地となるプエルトリコでは、2013年と2017年の連続準優勝を経験した「黄金世代」が今度こそ優勝をつかむのではないかという期待が高まっている。元スターのカルロス・ベルトランとヤディアー・モリーナが、それぞれプエルトリコ代表のGMと監督としてチームを率い、主将フランシスコ・リンドーアの下に集うスター選手たちの名前も次々と明らかにした。

2023年の大会を欠場したあと、ベルトランGMはカルロス・コレアが代表に復帰すると明言した。2017年大会では24打数8安打、3本塁打、9打点をマークし、スター選手としてチームを支えた。今回の大会では三塁を守る見込みだ。

「代表チームはカルロスを頼りにしている」とベルトランGMは話した。

「カルロスがいない姿は想像できない」

救援投手のフェルナンド・クルスも代表に戻ってくる見通しだ。クルスは2023年大会で3試合に登板して防御率2.45をマークしており、ベルトランGMは1次登録にクルスの名前が入っていると話している。

チームには今回初めて出場する選手も2人いる。タイガースの長距離打者ライリー・グリーン外野手と、元ワールドシリーズMVPのジョージ・スプリンガー外野手がプレーする意向を示している。

2017年と2023年にアメリカ代表としてプレーしたノーラン・アレナド、そして2017年大会でアメリカ代表のエースとしてMVPに選ばれ、2023年大会ではプエルトリコ代表の一員として登場したマーカス・ストローマン投手も、プエルトリコ代表として再びユニホームに袖を通す可能性がある。

アメリカ代表

冒頭でも触れた通り、アメリカ代表は9日に打線の戦力となる選手をさらに発表した。DHカイル・シュワーバー、捕手ウィル・スミス、遊撃手ガナー・ヘンダーソン、二塁手ブライス・トゥランが新たに加わる。

ベネズエラ

主将サルバドール・ペレスの参加が既に決まっている。ベネズエラ代表のオマー・ロペス監督は、ロッキーズの遊撃手エセキエル・トバルも代表でプレーする見込みだと認めた。トバルは2024年に二塁打でリーグトップとなり、26本塁打を放つブレークの年になったが、25年は負傷に苦しんだ。

ロペス監督はトバルについて「守備、打撃、勝負強さ。私たちが求めているのはそこだ」と話した。