【レッドソックス1-6ヤンキース】ニューヨーク/ヤンキースタジアム、6月7日(日本時間8日)
アーロン・ジャッジの穴を埋めることはできない。だからこそ、ジャズ・チザムJr.は、次善策を打席へ持ち込んだ。ジャッジのバットだ。
八回、チザムはキャプテンのバットを借りて右中間への3ランを放った。この回の5得点を締めくくる貴重な一打で、レッドソックスとのライバル対決を制した。
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「ジャッジのバットは、全力で振ることができないと分かっている。だから強く振るのではなく、バットの芯をコントロールして、ただボールに当てにいく感覚を持ちやすくなるんだ」とチザムは語った。
チザムが、ジャッジの35インチ・33オンス(約89センチ・935グラム)のバットを手に取ったのは、今回で少なくとも3度目だった。普段使っている34インチ、31オンス(約86センチ・879グラム)のモデルよりも重い。
チザムは2024年7月29日、ヤンキース加入2試合目に、ジャッジのバットを使って本塁打を放ったが、その時は野手登板の投手が相手だった。昨年4月のオリオールズ戦でもそのバットで長打を放ったが、あまりにも強く振ったため、右腹斜筋を痛めてしまった。
この日、左腕スアレスから最初の3打席すべてで三振を喫したため、バットを替えてリセットを図った。
「打てていると思って振っているのに空振りしていた。だから、バットを替えたら変わるか試してみただけだ。時には、少し重さを増やして、スイングを少し抑えた方がいいこともある」とチザムは語った。
チザムはバットに仕事の大半を任せるように、スイングをコンパクトに保った。そしてラソーサのシンカーを芯で捉え、今季8号を放った。
「彼がそういう打撃をするのは好きだ」とアーロン・ブーン監督は語った。
チザムは、バットを借りてもいいかジャッジにわざわざ聞かなかったという。「兄と弟」のような関係だと表現し、「ただバットを選びに行くだけだよ」と話した。
これはチザムらしい行動でもある。今季はトレント・グリシャムやジャンカルロ・スタントンからパンツを借り、さらにコディ・ベリンジャーやホセ・カバイェロらのバットも借りている。唯一避けているのは、ポール・ゴールドシュミットとスタントンのバットだ。チザムにとっては振るのが難しすぎる。
一方、ベリンジャーは、ケージ内でジャッジのバットを振ったことがあると明かし、「感触はいい。正直に言えば重いバットだけど、そこまで重くは感じない」と話した。
ただ、実戦ではベリンジャーは自身の33.5インチ・31.5オンス(約85センチ・893グラム)のモデルを使い続けている。チームメートが自分のバットを借りることにも抵抗はなく、「僕のバットを使いたいならどうぞ、って感じだね」と話した。
実際、そのバットに刻まれた数多くの安打を求めて、誰かが借りるかもしれない。
「彼が打席に入ってバットを振ると、打球に完璧なスピンがかかる。どうやってあんなに完璧にボールを打っているのか、今でも分からない」とチザムJr.は語った。
スレイテン自身が「ひどい球」と表現したカットボールを芯で捉えたベリンジャーの貴重なソロアーチは、この日静かだった打線に火をつけた。スアレスとキャム・シュリットラーの両先発は、ともに1失点に抑え、投手戦となっていた。
「いくつかチャンスを作っていて、八回に本格的に勢いづいた」とブーンは語った。
ベリンジャーの復帰は、オフシーズンに目立った補強のなかったヤンキースにとっては不可欠だった。5年1億6250万ドル(約253億5000万円)でスター外野手との再契約を結べたことを聞いたブーン監督も思わず「よっしゃ」と声を挙げたという。
そう反応するのも無理はない。ベリンジャーは5月1日以降、119打数36安打で打率.303、6本塁打、26打点、OPS.962を記録している。
「毎日、チームに貢献したいだけだ。毎日勝利に貢献したいし、それを目指している。今日はそれができてよかった」とベリンジャーは語った。
