1976年に現在のFA制度が導入されて以来、ヤンキースと言えば大型補強、というイメージが定着しているだろう。しかし、実は1990年代後半の黄金期は、ジーター、ウィリアムズ、リベラ、ペティット、ポサダといった生え抜きのスターたちが中心だった。
そして今季、同じような流れが生まれつつある。
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もちろん中心にいるのはアーロン・ジャッジだ。しかし、キャム・シュリットラーとベン・ライスという、ジャッジと同じく自前で育成した選手たちが、大きな柱となっている。
2026年ヤンキースWARランキング(FanGraphs版)
1位:キャム・シュリットラー:2.9
2位:アーロン・ジャッジ:2.3
3位タイ:ベン・ライス:2.2
3位タイ:コディ・ベリンジャー:2.2
5位:マックス・フリード:1.9
この傾向は、ヤンキースにとって念願と言える。
近年、生え抜きの選手たちを中心とする育成戦略はなかなか思うように進まなかった。サンチェス、トーレス、セベリーノらは期待通りに成長せず、その後の世代であるボルピー、ウェルズ、ドミンゲスらも、まだスターにはなり切れていない。
そのため、コール、ロドン、フリードといったFA補強や、ソト、ベリンジャー、スタントンらのトレード獲得選手に頼りながら、ジャッジを中心にチームを作ってきた。
しかし今季は違う。補強組がなかなか期待通りの働きをできていない中で、シュリットラーとライスが中心選手として台頭している。
ベリンジャー(2.2WAR)は活躍しているものの、スタントン、チザム、グリシャム、マクマホンの合計WARはわずか2.1。さらにコールとロドンは開幕を負傷者リストで迎え、合計5先発しかしておらず、フリードも左肘の骨挫傷で離脱中だ。
このように、生え抜き3選手がチームを牽引していたのはどれだけ珍しいのだろうか。
1976年以降のシーズンを調べると、3人以上の生え抜き選手がWAR5以上を記録したのは、なんと2003年のわずか1シーズンのみで、ポサダ、ペティット、アルフォンソ・ソリアーノがWAR5超を記録した。前年も非常に近く、ウィリアムズはWAR4.9となっていた。
基準を4以上まで下げても、該当するシーズンは決して多くない。実は4度の世界一を達成した1996〜2000年ですら、この条件は満たしていない。
1976年以降、生え抜き選手3人以上がfWAR4以上を記録したシーズン
2017年:ジャッジ(8.7)、セベリーノ(5.6)、サンチェス(4.1)
2007年:ポサダ(5.6)、ロビンソン・カノ(4.7)、ペティット(4.0)
2003年:ポサダ(6.0)、ソリアーノ(5.1)、ペティット(5.1)、ジーター(4.1)
2002年:ソリアーノ(5.6)、ジーター(5.2)、ウィリアムズ(4.9)
2001年:ペティット(5.8)、ウィリアムズ(4.8)、ジーター(4.2)
1997年:ペティット(7.2)、ウィリアムズ(5.1)、ジーター(4.0)
ヤンキースはギドリー、マンソン、マッティングリーらを輩出してきたが、同じ世代にスター選手が生まれ始めたのは、”ジーター世代”以降。そして、この流れは2000年代半ばまで続いたが、その後はほぼ見られなかった。
だからこそ、今季は特別である。
少なくともジャッジ、シュリットラー、ライスは前述のリストに加わる可能性が高い。さらに現在のペース通り行けば、全員がWAR6超となり、FA導入以降としては前例のない記録となる。
もっとも、ヤンキースでは個人記録はあくまで通過点にすぎない。前回、生え抜きの選手がこれほど充実していた時、ヤンキースは5年間で4度世界一に輝いた。ジャッジ、シュリットラー、ライスが本当の意味でその系譜に連なるためには、球団28度目のワールドシリーズ制覇が不可欠だ。
