ポール・スキーンズvs山本由伸。
25日(金)、ドジャースタジアムのパイレーツ対ドジャース戦でメジャー屈指の投手が対戦する。
スキーンズは今季も圧倒的だが、山本由伸も負けてはいない。山本もサイ・ヤング賞の最有力候補のような投球を見せている。
山本は(4月24日時点で)防御率0.93でナ・リーグ首位に立つほか、29イニングで38奪三振と、さすがサイ・ヤング賞の日本版、沢村賞を3年連続で受賞したエース投手の活躍を見せる。
1)最大の武器「スプリット」の精度
スプリットは今シーズンさらに磨きがかかった。現状、リーグで最も価値のあるスプリットで(山本に)ダメージを与えるのはほぼ不可能と証明されている。
山本のスプリットに対する空振り率は50%以上で、これは先発投手の単一球種に対する空振り率としては最も高い部類に入る。
2025年に単一球種で空振り率50%以上を奪っている先発投手
- ランデン・ロウプ、カーブボール:57%
- マックス・マイヤー、スライダー:54%
- クリストファー・サンチェス、チェンジアップ:53%
- ジャック・フラハティ、ナックルカーブ:52%
- 山本由伸、スプリッター:51%
- ハンター・グリーン、スライダー:51%
- ローガン・ギルバート、スプリッター:50%
- リース・オルソン、チェンジアップ:50%
※その球種に対して最低50スイング
山本のスプリットを当てても、19球のうち18球がゴロで終わる。
ゴロ率は驚異の95%だ。
山本のスプリットに対する平均打球角度を見ると、ゴロになる理由が明白だ。
2025年に単一の球種に対して最も低い打ち出し角度を持つ先発投手
- 山本由伸のスプリッター:-19度
- JTギンのシンカー:-12度
- ブライアン・ウーのシンカー:-11度
- スペンサー・シュウェレンバックのシンカー:-9度
- タイファン・ウォーカーのスプリッター:-8度
※その球種に対して最低15打球
今季、スプリットが効果的で投球数は2024年の25%弱から2025年には30%強まで上昇しているが、スプリット以外の精度も上がっている。
2)全球種でわずかに精度が向上
山本は右打者、左打者両方に対してフォーシーム(速球)、スプリット、カーブ、そしてカットの4球種を投げるが、いずれも球速の向上と球筋の鋭さのいずれか、もしくは両方が加わった。
フォーシーム(速球):速球の跳ね上がり(Rise)が、2024年の16インチ(約40cm)から2025年には17インチ(約42cm)に上昇した。「上昇」とはボールを回転させることで打席に届くまでの速球の落下距離がどれだけ短くなるかを表す。フォーシームにとってこの上昇は利点だ。
スプリット:2024年のポストシーズンでより強く、より低い位置から投げることで、より水平方向に振れるようにスプリットにいくつかの変更を加えたが、今季も継続している。山本のスプリットは平均時速91.4マイル(約145.4キロ)で、昨年のレギュラーシーズンより1マイル(約2.4キロ)以上上がったが、落下は変わっていない。
また腕の角度は昨年より数度低い41度に設定されているため、腕の横方向への動きが約7.6センチ増加。平均で水平方向への動きは約30センチとなっている。
カーブ:山本のカーブは上下に大きく揺れ、虹のようなアーチを生み出す。昨年よりも落下が約2.5センチ増加(グラブサイドのカーブも約1.2センチ増加)し、手元から打者までも合計約150センチも落ちる。これは同様の球速とリリースポイントでカーブを投げる他のMLB投手よりも約20センチ以上も大きい。これは、チームメイトのタイラー・グラスノウを上回り、右投手用カーブの中で最高の落差をマークする。
カット:カットは速球、スプリット、カーブに次ぐ4球目で、左右の打者を攻略する際には最終的に使う球種だ(シンカーとスライダーは実際には右打者にしか投げない)。このカットは時速91マイル(時速96マイルの速球と時速86マイルのスライダーのちょうど中間)で今季はさらに約7.6センチもカットが伸びた。昨季はカットの横方向への動きは平均わずか約5.8センチだったが、今年は最大約14.8センチに伸び、同等のカットよりも約7.6センチの伸びを示す。
3)圧倒的な制球力
山本がサイ・ヤング賞レベルになった最終要素はやはり制球力だ。全投球、圧倒的な制球力をみせる。
例えばフォーシームはストライクゾーンの両端を鋭く捉える。山本速球はプレートの左右の端に届く確率が37%だが、これは100球以上速球を投げた119人の投手の中で最も高い。打者は手も足も出ないし、スプリットを予想している打者にはより効果的だ。またフォーシームで奪った9三振のうち、6回は打者はスプリットを狙って振ったものだ。
スプリットも同様で、山本はスプリットを落とすことも、コーナー(左打者には外角低め、右打者には内角低め)に投げることもできる。通常はチェイスさせる球種として使っているが、ゾーンに投げ込むことも十分に可能。また速球との判断がつきにくく、打者が予想するのは難しい。結果、山本のスプリットは今季20奪三振以上を奪っている。
2025年に同じ球種で最多三振数
- マックス・マイヤーのスライダー:33
- カルロス・ロドンのスライダー:26
- クリス・セールのスライダー:21
- ローガン・ギルバートのスプリッター:21
- 山本由伸のスプリッター:-20
- ランデン・ロウプのカーブボール:20
速球とスプリットの組み合わせを山本は得意とするが、カーブ、スライダー、シンカー、カットなどを併用でさらに完璧になる。
山本は右打者に対しては6球種(外角のフォーシーム、内角低めのシンカー、外角低めのカッターとスライダー、カーブとスプリット)を、左打者には外角の速球とスプリットで仕留める。ゾーン高めのフォーシームと、真下に落ちるスプリットを組み合わせた、圧倒的な2球種のセットだ。同時に同じ場所にカーブを投げたり、内角に食い込むカットも投げ込む。
今季、山本はより精度の高い投球と制球力、メジャー屈指の球種を武器に、日本の沢村賞に続き、MLBでサイ・ヤング賞も獲得できる可能性を秘めてマウンドに上る。
