ドジャースの先発ローテーションには(全員がそろえば)球界屈指の変化球が並ぶ。タリク・スクーバルのチェンジアップ、大谷翔平のスイーパー、ブレイク・スネルとタイラー・グラスノーのカーブ。どれも一級品だ。
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ただし、どれほど強力であっても、これらはあくまで第2球種だ。ドジャースの各エースが最も多く投げているのは、今も昔ながらのフォーシームとなっている。
ただ一人、例外がいる。山本由伸だ。山本が最も多く投げている球種はスプリットである。
山本はメジャーキャリアで初めて、わずかな差ながらスプリットをフォーシームよりも多く投げている。ドジャースの5人のエースの中で、変化球が第一球種なのは山本だけだ。
8日(日本時間9日)のダイヤモンドバックス戦を前に、山本は今季531球のスプリットを投げている。フォーシームは517球でわずかに下回り、そのほかはカットボール281球、シンカー251球、カーブ250球、スライダー126球となっている。
打者を圧倒する変化球やオフスピード系の球種が重視され、リーグ全体で速球の使用率が低下を続けているとはいえ、これは特に先発投手としては珍しい。現在も大半の先発投手は、試合を投げ抜くために速球を最も多く使っている。
しかし、山本はリーグ屈指の働きぶりを見せる先発投手でありながら、スプリットを軸に投げ続けている。スタットキャストの「Pitching Run Value」で今季メジャートップ10に入る先発投手のうち、速球系の球種を最も多く投げていないのは山本だけだ。クリス・セールもスライダーの使用率が速球に迫っているが、山本に次いで速球以外を最多球種としている投手は、スイーパーを軸とするヘスス・ルザルドとなっている。
山本にこの傾向が初めて見られたのは、ワールドシリーズMVPに輝いた2025年のポストシーズンだった。当時もスプリットをほかのどの球種より多く投げ、それが2026年も続いている。
これは大幅な変革というより、段階的な進化だ。メジャー最初の2シーズンと比べて、スプリットの使用率が急激に上昇したわけではない。シーズンを追うごとに少しずつ増えてはいるが、今季、スプリットが最多球種となった本当の理由は、すべての球種を以前より均等に織り交ぜるようになったことにある。スプリット自体よりも周囲の球種の使い方が大きく変化し、その結果、スプリットが投球の軸に浮上した。
特に山本は、球種のバランスを整えるためにフォーシームを大幅に減らしている。フォーシームの割合が下がり、スプリットが徐々に増えたことで、使用頻度の順位が入れ替わった。
今季はスプリットの使い方をどのように変えているのかと最近尋ねられた山本は、状況や打者との相性に応じて変えており、今は多くの選択肢を持っているという旨を語っていた。
今季、スプリットがフォーシームを抜いて最多球種となっていることに気づいたとき、最初に考えたのは、三振を奪うために使う場面を増やしたのではないかということだった。山本のスプリットは非常に優れた奪三振球だからだ。しかし、実際にはそうではない。
今季は2ストライクからのスプリット使用率が、むしろ低下している。有利なカウントで投げる割合も減っている。それにもかかわらず、全体の使用率は上昇している。
では、何が起きているのか。山本は以前よりも幅広い状況でスプリットを使うようになった。投げる場面を広げたことが、スプリットを最多球種へ押し上げている。
例えば、山本は打席の初球にスプリットを投げる回数を増やしている。ルーキーだった2024年は初球での使用率が10%だったが、今季は19%まで上昇した。初球に限らず、カウントの早い段階で投じる割合も全体的に増えている。また、不利なカウントから立て直すためにも使っており、これは最初の2シーズンにはほとんど見られなかった。
したがって、山本の考え方は単に「スプリットを増やす」というものではない。あまりに優れた球種だから、ひたすら投げ続けても不思議ではないが、そうではない。実際の狙いは「よりバランス良くスプリットを使う」ことにある。
この考え方が成り立つのは、山本に優れた制球力があるからだ。スプリットは一般的に、低めのワンバウンドになるコース以外へ安定して投げることが難しい。しかし、山本はスプリットを含む各球種を狙ったコースへ投げ分けることができる。
山本はスプリットを無駄球にすることが少ない。主にストライクゾーンの端へ投げ込み、その割合は43%。さらに31%は、打者が思わず手を出すゾーンのすぐ外側へ、空振りを誘う球として投げている。
スプリットを投げ込むコースも、状況に応じて変化する。今季増えている不利なカウントで投げる場合は、48%がストライクゾーン内に入る。一方、2ストライクから決め球として使う場合、ゾーン内に投げる割合は30%未満だ。
山本はスプリットだけでなく、フォーシーム、シンカー、カーブ、カットボール、スライダーを含むすべての球種を操る、非凡な投球感覚を持っている。だからこそ打者は対応できず、山本はイニングを重ねてもアウトを奪い続けられるのだ。
