※成績はすべて18日(日本時間19日)終了時点のもの。
実際、ジャッジの地位は数年前から確立されていた。2017年に52本塁打を放ち新人王となってから、10年連続で歴史的なシーズンを積み上げている。もちろん「衰えが見える晩年の成績がまだ含まれていない」という意見もあるかもしれないが、少なくとも34歳までの時点では、史上最高の右打者と言って差し支えない。
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ただ、今季にはもう一つ注目すべきポイントがある。48試合消化時点で16本塁打ということは、シーズン54本ペースという計算になる。もちろん、5月時点での“〇〇本ペース”は単純すぎる予測だ。例えば、カル・ローリーがシーズン通して打率.161を続けるとも、大谷翔平が防御率0.82を維持するとも誰も思っていない。それでも、ジャッジが50本を超えると考えるのは決しておかしくない。実際、すでに4度のシーズン50本塁打超えを達成しており、過去4年で3度、直近2年は連続で記録している。(2023年も足の負傷で1カ月以上離脱しなければ達成していた可能性が高い)
しかし、「50本塁打を5度達成した選手」はまだ存在しない。
長年ホームラン王だったハンク・アーロンですら、シーズン50本塁打は一度もなかった。通算本塁打記録を更新したバリー・ボンズも、50本超えはわずか1シーズンだけだ。MLB史上、シーズン50本塁打は全部で54度しかなく、達成者は34人。その大半は1回限りで、数人が2回。そして、アレックス・ロドリゲスが3回を達成した唯一の選手である。
現時点で、ジャッジはシーズン50本塁打を4度達成した数少ない選手の1人だ。
シーズン50本塁打最多記録
4回:アーロン・ジャッジ
4回:ベーブ・ルース
4回:サミー・ソーサ
4回:マーク・マグワイア
しかし、“〇〇本ペース”という単純な計算でなくとも、各種予測システムはジャッジがここからさらに31〜40本塁打を打つと見積もっている。つまり、9月中旬までには50本へ到達する可能性が高い。その時には、史上初の5度の50本塁打を達成した選手として歴史に名を刻む。
もちろん、2022年の「シーズン62本塁打」や、「25〜34歳の間にOPS+140以上を10年連続で達成しそうな史上6人目の打者」、あるいは「史上最高の右打者」という実績ほど目立つものではないかもしれない。それでも、「ベーブ・ルース超え」という肩書きは、十分すぎる勲章だ。
右打者歴代通算wRC+(両リーグ)
- 178:ジャッジ
- 170:ロジャース・ホーンスビー
- 165:マイク・トラウト
- 157:マグワイア
- 156:ジミー・フォックス
- 155:ディック・アレン
- 154:ウィリー・メイズ
- 154:フランク・トーマス
- 153:フランク・ロビンソン
- 153:マニー・ラミレス
- 153:ハンク・アーロン
- 153:ハンク・グリーンバーグ
※wRC+(weighted Runs Created)球場補正込みで打者の総合的な得点力を示す指標。100がリーグ平均で、数値が高いほど優秀。
これだけ安定して50本塁打を記録してきたジャッジにとって、今年の注目はもはや「できるか、できないか」ではない。健康体さえ保てれば、達成する可能性の方が高い。むしろ注目なのは、4月に34歳となったことで、衰えの兆しが見えるかどうかだ。
ここまでの成績でそれを判断するのは非常に難しい。確かに打率だけ見れば、過去2年の.331、.322に対して今季は.266。しかし今ここで語っているのは“50本塁打を打つか”であり、単打が少し減ったかどうかではない。(しかも5月の打率は.293)
もちろん、いつかジャッジにも衰えは訪れる。ただ、それが今年訪れるようには思えず、来年もまだかもしれない。つまりジャッジにとっては、「史上初の5度目のシーズン50本塁打を達成できるか」というよりも「それがいつ起きるか」もしくは来年には「“6度目の50本塁打”」について話している可能性の方が高い。
もちろん、何も保証はされていない。時には壁に足をぶつけて1カ月離脱することだってある。それでも野球界で「アーロン・ジャッジは大量に本塁打を打つ」という予測以上に安全なものは、ほとんど存在しない。彼はそれを10年間続けてきた。そして遠くない将来、また新たな歴史の頂点に、ジャッジがただ1人で立つことになるだろう。
