周囲の支えを力に 悲しみを乗り越えべシアが初登板

12:45 AM UTC

ドジャース3-0マリナーズ】アリゾナ州グレンデール/キャメルバック・ランチ、2月23日(日本時間24日)

今春初めてマウンドに上がったアレックス・ベシアは、普段通りの姿に見えた。しかし、妻のケイラは、昨年10月に亡くなった新生児の娘スターリング・ソルの記憶を忘れることはない。

野球界はベシア一家を支えてきた。ワールドシリーズでは、ドジャースとブルージェイズの救援投手たちが、背番号51を帽子に着けた。そして、スプリングトレーニングの練習場ではファンが大きな声援を送っている。23日(日本時間24日)の試合で1イニングを無失点で投げたとき、観客とホームダグアウトのチームメートは立ち上がってベンチに戻るべシアを称えた。

「正直、きついよ。でも良い意味でね」とベシアは語った。

「ファンと交流したい気持ちはあるけど、自分にはやるべき仕事がある。最初の日にフィールドに出たときも、ドアを開けた瞬間にたくさんの歓声と愛を感じた。自分にとっても、ケイにとっても本当に大きな意味がある」

ベシアは、生まれて間もない子どもを失うことがいかに困難であったかについて率直に語ってきた。その中で、新シーズンに向けた準備は、過去にとらわれるのではなく前を向く助けになっているという。オフシーズンにはジムでのトレーニングが「精神的な落ち着き」をもたらす一因だったと述べた。

また、ドジャースのキャンプでのささやかな瞬間から喜びを見いだしているようだ。先週、裏のフィールドで大谷翔平を三振に仕留めた際には、持ち味のエネルギーを発揮し、勢いよく「Yeah!」と叫んだ。

「野球選手は、物事を分けて考えるのがうまい方だと思うけど、それでも確実に難しいことだ。ただ、ウェイトルームに戻り、ブルペンで投げ、シーズンに向けて準備することには、ある種のセラピー効果があると思う」とデーブ・ロバーツ監督は語った。

心の傷を癒していく過程で、文字通りの”セラピー”もべシアを支えてきた。今春の初めには、この喪失について語ることが、困難でありながらも前に進むためのきっかけになっていると語った。その日、メディアに約6分間の声明を出した際には、こみあげる感情を抑えきれない様子で、深く息を吐きながら、平静を保とうとしていた。

マウンドでは大きなガッツポーズを見せるなど、喜びも悲しみも、その感情を隠さずに表に出す。チームメートはべシアのその両面を見ており、そして多くの支えを送ってきた。

「声明でも言ったと思うけど、みんなと一緒にいることが本当に心の支えになっている」とベシアは感謝を語った。

「何度も話をしてきたし、みんなが話を聞いてくれて、自分の気持ちを理解しようとしてくれている。それは本当にありがたいことだ。みんなと話すのは好きだし、遠慮してほしくない。大切な瞬間を共有することは重要だ。みんな自分の兄弟のような存在だし、本当にみんなを愛している」

今季、ベシアは娘の名前と生年月日を刺繍したグラブを使用する予定だと1月15日のTikTokでの投稿ケイラが明かした。

ドジャースは、ベシアが経験していることを理解しようと最善を尽くしており、シーズン前のオープン戦から、シーズンの行方がかかる終盤戦に至るまで、常にサポートの姿勢を示している。そしてキャメルバック・ランチのファンがベシアに示した行動に対して、本人と同じくらい感謝しているはずだ。

「彼は、たとえ最悪の敵であっても、決して同じ目に合わせたくないと思うほどの経験をしてきた」とベシアとバッテリーを組んだ捕手ダルトン・ラッシングは語った。

「彼の人柄、そしてその芯の強さは本当に尊敬する。あのような出来事の後で、立ち上がりやるべきことをやり遂げられる人間なんて、この世にそう多くはないよ」