オールスターゲームで、導入された『自動ボール・ストライク判定(ABS)チャレンジシステム』が、試合開始早々に使用された。
対象となったのは、一回1死の場面で先発のタリク・スクーバルがマニー・マチャドにカウント0-2で投じたチェンジアップ。球審のボール判定に対して、捕手のカル・ローリーがチャレンジを宣告した。
ヘルメットや帽子をタップすることでチャレンジを要求するABSシステム。ローリーとほぼ同じタイミングでスクーバルも同様の動作を見せ、両者の間に確信があったことを示した。
この時、FOXの中継で実況とのやりとりをするためにマイクをつけていた2人の会話は中継に拾われていた。
スクーバル:「What do you think, Cal, how’d you do?」(カル、どう思う?)
ローリー:「I think it’s a strike」(ストライクだったと思う)
二人のやり取り通り、判定は覆りストライクに。マチャドは見逃し三振となった。
「Hey, you take them any way you can get them, boys!」
(アウトを取れるなら、どんな形でも取っておかないとな!)とスクーバルは笑った。
前日にチャレンジを使う予定はないと語っていたスクーバル。実際にチャレンジしたのはローリーだったが、その準備をしていたようだ。
「正直、使うつもりはなかったけど、あれは完全にストライクに見えた。0-2のカウントであの球は絶対取りたい場面だったし、あの回はボールがやたらとヒットゾーンに落ちていたからね。選手がどう思おうと、ABSは間違いなく導入されるから、慣れておいたほうがいい」
試合前に、チャレンジについて特別な決め事をしていたわけではなかったが「最初のボール判定で2回を使い切る」という企みも考えていたと、サイ・ヤング賞左腕は笑った。
結果的に、それを実行しなくてよかったとア・リーグは胸をなで下ろしているだろう。五回、打席に入ったジェイコブ・ウィルソンがマッケンジー・ゴアの2球目の直球に対してチャレンジ。判定の結果、ストライクゾーンよりも約3センチ下だったことが判明し、ウィルソンのチャレンジは成功したからだ。
常に新たな技術が生まれ、試合に影響を与えていくのが現代スポーツ。このオールスターゲームでその可能性が垣間見えた。
