ここ2日間の夕方、ボブ・ケーラーは、1986年からブルワーズが本拠地で試合をするたびに続けてきた日課をいつも通りこなした。
歩いた。
ワールドシリーズ第1戦前には、MLB Networkもケーラーと一緒に歩いた。
ケーラーは1986年にミルウォーキーのストーリーヒル地区へ引っ越して以来、ブルワーズの本拠地で行われる全試合に歩いて通ってきた。当時は、現在の屋根付き本拠地アメリカンファミリーフィールドではなく、カウンティスタジアムが目と鼻の先にあった。
ただ、ファン歴はさらに長い。球団がミルウォーキーへ移転した1970年までさかのぼる。ブルワーズが球団初のワールドシリーズ出場を果たした1982年、そのシーズン終了後からシーズンチケットを購入し続けている。
ケーラーは、ワールドシリーズにまた何度も出場する機会が訪れると思っていた。
44年を要したが、今、ブルワーズにはワールドシリーズ制覇のチャンスがある。
「実現したら最高だよ。毎日、そのことを考えている」とケーラーは期待を膨らませた。
ケーラーは午後7時開始の試合では、午後6時25分きっかりに自宅を出る。紙のチケットには追加料金を払い、自分で炭酸飲料のボトルを持参する。球場では飲み物を買い足さない。席を離れてトイレに行かずに済むようにするためだ。
毎回決まった時間に歩くため、近所の人たちや警察官、球場の案内係もケーラーのスケジュールを把握しており、道中で声をかける。元選手のカルロス・ゴメス(40)、ジェフ・ジェンキンス(52)、ベン・シーツ(48)とも少し顔なじみになった。最近ではジャクソン・チューリオ(22)もケーラーに会うと軽くうなずく。
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愛するブルワーズの近くで暮らそうとこの地区へ引っ越した当時、ケーラーはここまでの日々を想像していなかった。
「これから分かると思うけど、自宅から自分の席まで歩いて12分なんだ」と、ワールドシリーズ第1戦へ向かって歩き始めた際、ケーラーはMLB Networkのロバート・フローレス氏(56)に説明した。
「渋滞に巻き込まれたくなかったし、球場へ来るまでに余計な面倒も抱えたくなかった。駐車料金も節約できる。一石二鳥だよ」
雨なら?
「レインコートもレインハットも持っている」とケーラー。
「ウィスコンシンの人間なら、天気なんて気にならないよ」
12月に脚をひどく骨折した時でさえ、ケーラーを止められなかった。開幕戦の2日前まで階段を1段も下りていなかったが、杖をつき、顔なじみとなった大勢の案内係の1人に助けてもらいながら自分の席までたどり着いた。2人はブルワーズのダッグアウト横にある席まで22段の階段を下りた。
ただ、この週末は特別だ。ワールドシリーズだからだ。
「街に活気をもたらしてくれたし、応援や祝福の声も増えた。1982年の話ばかりだった空気も、少しずつ変わってきた」とケーラー。
球団初のワールドシリーズに進出した1982年のチームを愛する一方、新たな歴史が生まれる期待も抱いている。
「若い世代は、僕が1982年のチームにそうだったように、これから40年、このブルワーズに思い入れを持てる。みんな野球を好きになるだろうし、新しいファンもどんどん育っていくよ」
ケーラーは、その意味でも今回の対戦カードはうってつけだと考えている。
「タンパベイと俺たちなら、本当に面白いシリーズになるかもしれない。これぞ野球だよ。バントがあり、盗塁があり、ヒットエンドランもある。今はもう見られないと言えば、投手が9イニングを投げ切るくらいだ」
野球は変わっても、ケーラーの日課は変わらない。2027年のシーズンチケット代もすでに支払い済みで、体が動く限り球場へ通い続けるという。
ワールドシリーズ第1戦へ歩いて向かったこの日は、これまでの特別な日の中で何番目か。
「今日が1位だよ。これが一番だ。まあ、生まれた日を除けばね」
