ナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)でドジャースを破り、44年ぶりのワールドシリーズ進出を決めたブルワーズ。ドジャース戦でスタメンに名を連ねた選手の平均年齢は約27歳。野手では21歳のルイス・ララ、22歳のジャクソン・チョーリオ、投手陣でもジェイコブ・ミジオロウスキーとローガン・ヘンダーソンの先発コンビがともに24歳と、若い選手が多い。
そんなチームを支えているのが、クリスチャン・イェリッチ(34歳)とブランドン・ウッドラフ(33歳)のベテラン2人だ。
2018年のナ・リーグ優勝決定シリーズを経験した数少ない選手である2人は、自らの経験や日々の姿勢を通じて、若い選手たちの成長を支えている。
野手のブライス・トゥラング(25)は、2人がクラブハウスで果たす役割の大きさを語る。
「2人がクラブハウスを動かしている。自分たちの経験を伝え、もっと良くなるための方法や野球そのものを教えてくれる。メジャーリーグに来ても、学ぶことは常にある。何かを質問したいとき、二人はとても頼りになる。野球だけでなく、人間としても本当に素晴らしい」
投手のDL・ホールも、ウッドラフについて、「言葉で教えてくれるだけでなく、毎日どう仕事に取り組むかを見ること自体が勉強になる。ケガから復帰しようとするなかでも、毎日球場に来て、同じ姿勢で取り組んでいる。試合に出られる状態かどうかに関係なく、日々変わらず準備する。その粘り強さは、僕たちやさらに若い選手たちにとって大きな手本です」と負傷からの復帰を目指すベテランの姿から学び、刺激を受けている。
若手から信頼を寄せられるイェリッチだが、「キャプテンという肩書がついたからといって、何かが変わるとは思っていない。チームメートはシーズンを通して素晴らしい姿勢を見せてくれているし、みんな勝ちたいと思っている。チームにとって正しいことをして、全力でプレーしようとしているんだ」と控えめだ。
特別な言葉で仲間を鼓舞するというよりも、チームのために何をすべきかを考え、自ら実践する。イェリッチは、そうした姿勢を大切にしている。
一方、ウッドラフは今季、7月に右肩の関節包を修復するための手術を受けたため、今季の登板はわずか9試合にとどまった。それでも復帰に向けたリハビリを続け、チャンピオンシップシリーズの期間中にはブルペンで30球以上を投げるまでに回復した。
地道な取り組みを重ねる姿そのものが、若手にとって手本となっているが、ウッドラフもイェリッチ同様、特別なことをしているという意識はない。
「うちは皆、仲がいい。クラブハウスの雰囲気を乱すような選手はいないんだ。みんな友達だし、とてもいい関係だ。そういうところが、いいプレーにつながっているのだと思う」
二人は2018年から5回、ナ・リーグ優勝決定シリーズまで勝ち進みながら、ワールドシリーズ進出には届かなかった経験を持つ。あと一歩で届かなかった悔しさを二人は嫌というほど味わってきている。そのため、2人はポストシーズンに入ってから、過去の経験や大舞台での気持ちの整え方などを、さりげなく若手に伝えてきたという。
ドジャースとの第4戦を前に、パット・マーフィ監督は「今日はクラブハウスに顔を出さないつもりだ。選手たちの空間だから、彼ら同士で士気を高めるだろう」と話していた。ベテラン2人が、若い選手たちが大舞台で浮き足立つことのないように諭し、チームをまとめてくれるだろうという信頼からだった。
イェリッチとウッドラフは派手なプレーで目立つことはないけれど、その経験と存在感でチームを支えてきた。若手の多いチームを44年ぶりのワールドシリーズ進出へと導いたベテラン2人の功績は、計り知れない。