ブライス・ハーパーが再び「エリート」級の選手に戻るためには、何が必要なのか。
フィリーズにとって重要なこのオフシーズン。多くの課題がある中で、この問いが話題の中心になるとは予想されていなかった。だが、編成本部長デーブ・ドンブロウスキーがシーズン終了会見でハーパーが再び「エリート」に戻れるか言及したことで、一気に注目が集まった。
数日後、ハーパー自身が反応し、代理人のスコット・ボラスもコメントした。
「ハーパーにもっと打てる球を投げさせればいい。そうすれば、彼に求められている結果はすべて数字が示す通りに現れるだろう」とボラスは語った。
もちろん、良い球を見極めることは重要だが、それは今に始まったことではない。
では、ハーパーが再び「エリート」へ戻るために本当に必要なこととは何か。もう少し掘り下げてみよう。
無駄なスイングを減らす
一見シンプルだが、ここには複雑な要素がある。
まず、ハーパーが直面している「打てる球の少なさ」について考えてみよう。昨季、ハーパーの打席でストライクゾーンに入っていたのはわずか43%で、これは200球以上を見送った532選手の中で最も低い割合だった。
これを後続の打者の弱さに原因があると考えるのは自然だ。ハーパーが主に3番を打っていた昨季、フィリーズのクリーンアップの合計OPSは.720で、MLB全体の20位にとどまっていた。
ただし、2025年のゾーン内投球率はフィリーズ移籍後6年間の平均(42.6%)よりもわずかに上昇した。2019〜24年の間で、ハーパーより低かったのは自由に振るタイプのハビアー・バエズだけである。
つまり違いは、昨季のハーパーがこれまでよりも待てなかった点にある。
初球スイング率は54.1%に達し、キャリア平均の42.6%を大きく上回った。250打席以上立った309選手の中で、初球を最も多くスイングしたのはチームメイトのニック・カステヤノス(56.5%)だけ。さらに、ゾーン外の球に手を出した割合(チェイス率)は35.6%で、キャリアワーストの2022年(35.7%)にほぼ並んだ。
2021年にナ・リーグMVPを受賞した際のチェイス率はわずか24.8%。2015年のナショナルズ時代のMVPシーズンでも25.6%にとどまっている。ゾーンに入っていた投球はわずか40.7%だったにもかかわらず、である。
2025年にチェイスが増えたのは、後続打者の不調を受け、自分が決めなければならないという責任感からだったのかもしれない。もし2026年に後ろの打者が強化されれば、再び落ち着いて見極められるかもしれない。
打てる球を仕留める
チェイス率に関わらず、ハーパーは本来、相手の失投を逃さない打者だが、2025年は違った。昨季は、ゾーン内の投球に対して打率.296、予測長打率(xSLG).597を記録。悪くはない数字だが、2021年のMVPシーズン(打率.346、xSLG.765)には遠く及ばなかった。
では次に、本当に「打てる球」に対してのアプローチを見ると、2019〜24年にかけて、ハーパーはストライクゾーンの中央付近の球に対して打率.384、長打率.837を記録。この数字を上回ったのは大谷翔平とアーロン・ジャッジの2人だけだった。
しかし2025年は、同じ球に対して打率.303、長打率.652と下降。依然として優秀ではあるものの、「エリート」とは言いがたい数値となった。
勝負強さを取り戻す
「エリート」という評価には常に印象も含まれる。ハーパーの場合は、大舞台での勝負強さであった。2019〜24年の6年間で、ハーパーは2死からの得点圏でOPS1.197という驚異的な数字を残し、MLB全体で断トツだった。さらにポストシーズンでもOPS1.153を記録し、同期間で最高のクラッチヒッターと評された。
しかし昨季は、同じ場面で打率.172(58打数10安打)、OPS.575と大きく低下。この状況で本塁打がゼロだったのは2014年以来初めてのことだった。さらにポストシーズンでも15打数3安打(打率.200)、OPS.600に終わり、存在感を示すことはできなかった。
ハーパーの打撃が来季、かつてのレベルに戻るかどうかは未知数だが、このオフの補強次第であっても、来季の投手たちが彼に多くのストライクを投げてくるとは考えにくい。鍵となるのは、ゾーン外の球を見極める力を取り戻すこと。そして、失投を確実に仕留めることだ。
