サイ・ヤングにMVPも?シュリットラーが磐石の好投

September 13th, 2026

メッツ0-2ヤンキース】ニューヨーク/ヤンキースタジアム、9月13日(日本時間14日)

ア・リーグのサイ・ヤング賞の話をキャム・シュリットラーに振っても、たいてい会話は長続きしない。ヤンキースの右腕は、チームがポストシーズン進出決定に近づく中、5日ごとに自分がすべきことへ集中していたいと考えている。

この日も見事な6回を投げ、MLBの防御率トップに浮上。圧倒的な投球が続く中、球団内では、今オフに複数のトロフィーを置く場所を空けておく必要があるのではないか、との声も上がり始めた。

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「“価値がある”という言葉は、まさにふさわしいと思う。MVPの可能性もあり得る。本当に素晴らしい。ものすごいシーズンを送っているし、まだ余力がたっぷり残っていることを願っている」とアーロン・ブーン監督は話した。

投手がMVPに輝いたのは、2014年のドジャース、クレイトン・カーショウが最後だ。今年はアストロズのヨーダン・アルバレスとレイズのジュニオール・カミネロが有力候補として挙げられているが、シュリットラーも候補になり得る。

「前例はあるんだよね?」と、ロサンゼルスでカーショウとチームメートだったコディ・ベリンジャーは語った。

「あの年のカーショウは本当にずば抜けていたし、シュリットラーも驚くような仕事を続けている。もし実現すれば、とても盛り上がるだろうね」

ア・リーグMVPを3度受賞しているアーロン・ジャッジは、少し異なる見方を示した。

「間違いなくMVP級の投球をしている。ただ、サイ・ヤング賞が設けられているのには理由がある。球界最高の投手に贈られる賞だからね。だから、サイ・ヤング賞なら間違いなく彼に投票する」

ベン・ライスのチーム最多となる今季38号ソロと、オースティン・ウェルズの三回のソロ本塁打に援護されたシュリットラーは、五回に二塁打を許すまで、メッツ打線を無安打に抑えた。

右腕は、前日のサブウェイシリーズで球場に響いたメッツ寄りの声援も、モチベーションの一つになったという。

「昨日はメッツへの声援ばかり聞こえてきて、少しいら立った。今日はここに来て、それを確実に黙らせたかった」と語る。

一方、各賞を巡る議論には、相変わらずほとんど関心を示さなかった。

「そのことは何も分からない」と、MVP候補との声についてシュリットラーは話した。「そう言ってもらえるのは非常にありがたい」

これで無失点の先発登板は今季8度目。MLB全体で上回るのは、フィリーズのクリストファー・サンチェス(10度)だけだ。防御率は1.949となり、ブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキーの1.952を下回った。

「最高の姿はまだこれからだと思う。今も成長している。メジャーでさらに登板を重ねれば、自分に何ができるのかをもっと理解し、その限界さえ超えていくと思う」とウェルズは太鼓判を押す。

少し不安の残る締めくくりにはなった。六回、ボー・ビシェットが打ち返した111.5マイル(約179.4キロ)のライナーが、シュリットラーの右脚後部を直撃。跳ね返った打球をウェルズが処理し、一塁へ送球してビシェットをアウトにした。

シュリットラーはその後、そのままクラブハウスへ向かった。ただし、すでに94球を投げており、いずれにしても登板を終える可能性が高かった。

「状態はいい。回復するまでの数日はなかなか大変だろうけど、問題ないと思う」と本人は説明した。

31先発終了時点での防御率1.95は、ヤンキースでは1978年にロン・ギドリーが記録した1.71に次いで低い。同年、“ルイジアナ・ライトニング”ことギドリーはサイ・ヤング賞を受賞し、MVP投票ではレッドソックスのジム・ライスに次ぐ2位だった。

この日の登板は、今季のシュリットラーを凝縮したような内容だった。

1失点以下に抑えたのは今季21度目で、球団新記録。過去110年間で、25歳以下の投手が同じかそれ以上を記録した例は、ディーン・チャンス(1964年、22度)、ブレイク・スネル(2018年、21度)、ベーブ・ルース(1916年、21度)の3人しかいない。

さらに8三振を奪い、今季の奪三振数を228に伸ばした。

「5日ごとに彼が投げる日は、『相手投手を粘って攻略し、1点を取って、あとはキャムに任せよう』という気持ちになる。チームが連敗中でも、絶好調でも関係ない。彼は毎日変わらず、投げる準備を整えて球場に来る」とジャッジは語る。

ブレント・ヘッドリック、ポール・ブラックバーン、デービッド・ベッドナーが無失点リレーを完成させた。過去10年間で9度目のプレーオフ進出を目指すヤンキースは、進出決定へのマジックナンバーを1とした。

シュリットラーが集中したいのは、今もその争いだけだ。

「プレーオフに進出すること、そして優勝することが期待されている。今のような戦いを続けられれば、いい位置にいられると思う」