ミジオロウスキーは本来の投球と空振りを取り戻せるか?

October 20th, 2026

ジェイコブ・ミジオロウスキー(24)は、球界屈指の圧倒的な投球を期待される投手だ。しかし、今ポストシーズンではまだ本来の支配力を発揮し切れていない。「ミズ」の投球は悪くない。それでも、圧巻と呼べる内容には届いていない。ブルワーズはそれでも快進撃を続け、ナ・リーグ優勝を決めた。ただ、球団初のワールドシリーズ制覇を成し遂げるためには、大舞台でミジオロウスキーの圧倒的な投球が求められる。

ワールドシリーズ第1戦を迎える時点でブルワーズは、ミジオロウスキーが先発したポストシーズン2試合にいずれも勝利している。それでも、まだ「ミズ」らしい圧巻の登板は生まれていない。最初の2先発はいずれも五回を投げ切れずに降板。パドレスとドジャースはいずれも粘り強く打席を重ね、普段なら攻略困難な球威に食らいつき、球数を増やして早期降板へ追い込んだ。

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ミジオロウスキーは今ポストシーズンで182球を投げ、相手打者は94球にスイング。そのうち51球がファウルになっている。ファウルの割合は全投球の4分の1を超え、相手打者のスイングに対しても半数を超える。

要するに「ミズ」は、このポストシーズンで最も高い頻度でファウルにされている投手だ。本来ならバットに当てるだけでも難しい球を、打者に何度もカットされ、粘られている。

では、何が起きているのか。なぜミジオロウスキーは、レギュラーシーズンのようにポストシーズンで打者を仕留められていないのか。ワールドシリーズで再び空振りを奪えるのか。詳しく見ていこう。

最大の要因は明確だ。ミジオロウスキーの速球による空振りが大幅に減っている。

ここでは速球に焦点を当てる。ミジオロウスキーの投球は、すべてがここから始まると言っていい。昔ながらの剛速球こそ、彼の持ち球の中で圧倒的に重要かつ特別な1球だ。

ブルワーズ先発陣の流れをつくるミジオロウスキーは、速球で打者を圧倒してきた。速球の投球割合は60%を大きく超え、先発投手では最も高い。それだけ多く速球を投げても、打者は攻略できずにいる。レギュラーシーズンではフォーシームの空振り率が40%。驚異的な数字で、メイソン・ミラー(28)やキャム・シュリトラー(25)らをも大きく上回っていた。

しかし、ポストシーズンでは空振り率がわずか16%まで低下している。並外れた速球を持つミジオロウスキーにとって、16%は平凡な数字だ。実際、今ポストシーズンでは速球の空振り率が低い投手の一人に入る。レギュラーシーズンの40%から16%まで落ち込み、その低下幅は非常に大きい。

しかも、速球から威力が失われたわけではない。ポストシーズンの平均球速は101マイル(約163キロ)。地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズの先発では、ともに最速104マイル(約167キロ)超を計測した。速球122球のうち96球が100マイル(約161キロ)以上。それでも、シーズン中のように力で打者をねじ伏せられていない。

ミジオロウスキーの速球が本来の爆発力を発揮する時、打者のスイングはボールの下を通り、振り遅れも目立つ。だが、10月に入ると、そうした崩されたスイングが姿を消した。代わりに、打者はよりしっかり対応できるスイングを続けている。

特に目立つ変化は、右打者と左打者のスイングに表れている。ミジオロウスキーと対戦した右打者は、速球の下を振るケースが減少。左打者も振り遅れが大幅に減っている。

  • 右打者がミジオロウスキーのフォーシームの下を振った割合は、レギュラーシーズンの47%からポストシーズンでは36%に低下。
  • 左打者がミジオロウスキーのフォーシームに振り遅れた割合は、レギュラーシーズンの34%からポストシーズンでは14%まで低下している。

ここまでの数字は「なぜ起きているか」という原因より、「何が起きているか」を示すものだ。そこで、ミジオロウスキーの速球に対して打者がレギュラーシーズンより対応できている理由として、考えられる要因を一つ挙げたい。打者を確実に仕留められるコースへ、速球を十分に投げ切れていない可能性だ。

まず、レギュラーシーズンにおけるフォーシームの投球位置をヒートマップで見てみよう。

And here are those same heatmaps but for the postseason:

ミジオロウスキーは速球を高めの外角へ強く投げ込みたい。しかし、ポストシーズンでは右打者に対して、その速球が真ん中から内角寄りへ流れている。左打者には低め、あるいはストライクゾーン中央へ入る球が増えている。

速球のコースが甘くなれば、相手打者のスイング内容も良くなり、たとえ100マイル(約161キロ)を超えていても、ミジオロウスキーにとって厳しい勝負が増える。100マイル超の速球は、コースを問わず強打が難しい。それでも、このコースならタイミングを合わせやすくなる。通常なら空振りする球をファウルにされれば、球数が増え、結果としてイニングも短くなる。

見逃す球が増えている点も同様だ。相手打者はポストシーズンでミジオロウスキーの速球に対して、特に高めのストライクゾーン外へ外れた球を以前より我慢できている。レギュラーシーズンのフォーシームによるチェース率(ボール球に手を出させた割合)は34%。ポストシーズンでは27%まで低下し、高めの速球に限ると41%から32%まで落ちている。

さらに、今ポストシーズンでは打者がミジオロウスキーの速球を追いかけても、なおファウルにできている。レギュラーシーズン、打者がミジオロウスキーのフォーシームをチェースした際の空振り率は56%だった。ポストシーズンでは、同じ状況で空振り率がわずか7%まで低下している。

正直、驚くべき数字だ。ミジオロウスキーがストライクゾーン外に投じたフォーシームに対する15スイングのうち、空振りを奪えた球はわずか1球。その15球の平均球速は101.1マイル(約163キロ)だった。100マイル(約161キロ)を超える速球がボールゾーンへ外れ、打者が手を出せば、通常は空振りが期待される。それでも相手打者は、ミジオロウスキーの球を驚くほど何度もファウルにしている。

相手打者は、ミジオロウスキーの圧倒的な球速に何とか食らいつく意識を強く持っているようだ。ポストシーズンではミジオロウスキーに対するスイングが短くなり、特に2ストライク後で顕著だ。2ストライク後のスイングは今ポストシーズンで対戦したどの投手相手よりも短い。

ミジオロウスキー相手のスイングの長さ レギュラーシーズン→ポストシーズン

  • 全体:7.0フィート(約2.13メートル)→6.8フィート(約2.07メートル)
  • 2ストライク後:6.9フィート(約2.10メートル)→6.7フィート(約2.04メートル)

ワールドシリーズで対戦するレイズも、決して楽な相手ではない。レイズはMLBで最も高いスイング時のコンタクト率を誇り、サンプル数は少ないものの、100マイル(約161キロ)以上の球に対しても高いコンタクト率を残している。さらに今ポストシーズンでは、シュリトラーのような爆発的な速球を持つ投手も攻略してきた。

それでも、ミジオロウスキーが狙ったコースへ再び投げ切れれば、コンタクト能力に優れるレイズが相手でも投手側に分がある。それほど球威は突出している。打者がこれまでと同じ頻度でファウルを続けるのも簡単ではない。100マイル超の速球も、いずれバットをかすめる球より空振りを奪う球が増えてくると考えられる。

ミジオロウスキーがワールドシリーズで空振り率を少しでも取り戻せば、ブルワーズのエンジンも再び回り始める。速球を思い切り投げ込み、打者には「幸運を祈るよ」と告げるだけ。そんな哲学を貫く、最高潮時の圧倒的なミジオロウスキーが戻れば理想的だ。

もっとも、レイズもドジャースやパドレスと同様、簡単には引き下がらないだろう。ワールドシリーズ制覇が簡単であるはずもない。これまでに例を見ない球速を誇る先発投手ミジオロウスキーにとっても、それは同じだ。