出場20カ国の「要注目選手」を一挙紹介

3:59 AM UTC
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世界最高の野球チームを決める戦いが、あと2週間に迫った。3月4日(米国時間)から20カ国のチームが一斉に試合を開始する。三度の優勝を誇る日本を倒し、ワールドベースボールクラシック(WBC)トロフィーを手にするチームはどこか。

大谷翔平の能力は周知の通りで説明の必要もない。ここでは名前を覚えておくべき選手、チームの成否を左右する可能性のある注目選手にスポットを当てていく。

プールA:プエルトリコ、サンフアン

カナダ:オーウェン・ケイシー
今冬、マーリンズがカブスから獲得した若手外野手ケイシーは、大会でのブレイクが期待される存在だ。将来的にはマーリンズで右翼を任される見込みで、カナダ代表のオットー・ロペスともマイアミで共演する予定だ。

2023年大会では、当時21歳ながら13打数3安打、1本塁打、4打点と好成績を記録。メジャー経験を積みつつ、パワーも徐々に発揮し始めている。史上最も層の厚いロースターを揃えるカナダ代表でケイシーが実力を発揮できれば、チームの躍進も十分に期待できる。

コロンビア:マイケル・アロヨ
マリナーズ有望株5位のアロヨは、昨年のWBC予選でいきなり先頭打者を任されるなど、大きな責任を背負った。プレッシャーはあったかもしれないが、それを全く感じさせない落ち着きぶりで、10打数3安打、3四球、2盗塁、2打点と、高い選球眼とスピードを発揮し、コロンビアをWBC本戦出場へ導いた。プールAの試合でも先頭打者として出塁し、中軸打者たちのチャンスメイクに期待したい。

キューバ :アレクセイ・ラミレス
元ホワイトソックスの遊撃手で、メジャーでは2016年を最後にプレーしていないが、ラミレスは2006年の第1回WBCにも出場し、16打数6安打、2二塁打、2打点の活躍でキューバを唯一の決勝進出に導いた立役者。

20年の時を経て、今大会で復帰するラミレスは、今回は一塁手として出場予定。大会最年長の44歳ながら、昨年のキューバ国内リーグではOPS1.041、14本塁打をマークするなど好調を維持している。リバン・モイネロ(日本・パリーグMVP)を軸とした先発陣、そしてヤリエル・ロドリゲスやライデル・マルティネスらのリリーフ陣とともに、ベテラン中心の打線がチームを準決勝に導けるかが注目だ。

パナマホセ・カバイェロ
メジャーで最速の選手というわけではない。Baseball Savantによると、2025年のスプリントスピードは143位タイ。しかし、最も巧みな走塁を見せる選手の一人だ。昨年は126試合で49盗塁でメジャー最多、走塁価値も20位タイに入った。先発のローガン・アレンやラインナップのエドムンド・ソサとともに、カバイェロの走塁でのチャンスメイク能力が、将来の予選回避に向けたパナマの鍵となるだろう。

プエルトリコ:エドウィン・アローヨ
レッズの有望株8位のアローヨは、ケガで不出場のキャプテンのフランシスコ・リンドーアに代わって地元ファンの前で先発遊撃手としてチームを支えるという重要な役割を担う。守備面では非常に安定しており、MLB Pipelineは彼の守備力を60と評価。「体のコントロールが抜群で、あらゆる角度からの送球やプレーをこなせるスムーズな守備で、メジャーでも即戦力として遊撃を守れる」と評価は高い。

昨年はダブルAで打率.284、出塁率.345をマークし、安定した成績を残したものの、長打力はやや課題が残った。攻撃面ではノーラン・アレナドやヘリオット・ラモスが中心となる見込みだが、アローヨが本大会で活躍すれば、チームの決勝進出に大きく貢献できるだろう。

プールB:米国ヒューストン

ブラジル:チアゴ・ダ・シルバ
サンパウロ出身のダ・シルバは、世界各国でプレーしてきた経験豊富な40歳のベテラン投手。チャイニーズタイペイ、イタリア、ブルージェイズ傘下マイナー、メキシコ、ベネズエラ、ドミニカ共和国を経て、昨シーズンはニカラグア冬季リーグでMVPに輝いた。ブラジルのエースとは言えないかもしれない(その座は西武の高橋勇やレンジャーズ傘下ダニエル・ミサキが担う可能性が高い)が、チームにとって最も重要な存在であることは間違いない。ツーソン予選では1試合先発し、2試合でリリーフ登板するなど、イニング数トップを記録した。

ブラジルの目標は少なくとも1勝を挙げ、次回予選回避のチャンスをつかむことだ。2009年と2013年のWBCでイタリア代表としても投げた経験を持つダ・シルバの存在は、チームにとって大きな力となるだろう。

英国:マット・コペルニアック
今回は才能ある選手の招集に成功。ナショナルズの有望株ハリー・フォードと二塁手ジャズ・チズムJr.がキャプテンを分担し、トリスタンとブレンダン・ベック兄弟が投手陣に加わった。2023年大会でコロンビアに大金星を挙げ、本大会出場を決めた時の成績を超えるのが目標。カージナルス傘下の外野有望株コペルニアックの活躍がチームにとって重要となる。

昨季はトリプルAでやや不振に終わったものの、ロンドン生まれの彼は2024年にメンフィスで打率.309、20本塁打を記録。大会で復調すれば、ナショナルチームへの貢献だけでなく、メジャーリーグ関係者の目にも留まる可能性がある。

イタリア:ジャック・カグリオーン
投手陣が強化され、2023年大会の準々決勝以上の成績を狙える。アーロン・ノラを軸に、サム・アルデゲリやパイレーツの有望株アレサンドロ・エルコラーニがローテーションを支える。攻撃の中心はビニー・パスカンティーノが担うが、若いカグリオーンの働きが大きな鍵となる。昨季はマイナーで66試合に出場し、打率.1.025、20本塁打と圧倒的な成績を残したが、メジャー昇格後は打率.157と苦戦。しかしパワーは健在で、マイク・トラウトなど多くの打者も初めてのメジャー投手には苦戦しており、3月の大会での活躍次第でイタリア、そしてロイヤルズファンの期待を大きく押し上げる可能性がある。

メキシコ:アンドレス・ムニョス
2023年大会では、侍ジャパンの村上宗隆のサヨナラ打で決勝進出を逃したメキシコ。今大会、38セーブ・ERA1.73を記録したムニョスの出場で、その差を埋められるかもしれない。打線はアレハンドロ・カーク、ジョナサン・アランダ、ランディ・アロザレーナが牽引し、投手陣はハビエル・アサドとタイワン・ウォーカーがローテを支えるなど層が厚い。そんな中でムニョスはブルペンの要として大きな役割を担う。特にグループステージ最終戦のイタリア戦が勝負を分ける大一番になる可能性が。過去2013年と2017年大会でイタリアがメキシコに九回逆転勝利した記録があるだけに、その重要性はさらに増す。

米国:ボビー・ウィットJr.
前回大会、23歳のウィットは出場機会も限られ、たった2打席しか立てなかった。しかし、3年の時を経て、連続オールスター選出、シルバースラッガー、ゴールドグラブ賞を手にした今、ウィットは文字通り層の厚い「チームUSA」で最も重要な存在となり得る。
昨季は+20のフィールディングランバリューを記録し、内野手としてはトップ。守備力の高さは、今回新顔が揃った米国投手陣にとっても大きな武器となる。また、パワー、打率、走力のバランスも良く、アーロン・ジャッジやカイル・シュワーバーといった主砲たちの前で塁を作る役割も期待される。

プールC:東京開催

オーストラリア – ラックラン・ウェルズ
注目は、全体1位指名のトラビス・バッザナがWBCデビューを果たすが、チームの成績を左右するのは投手陣かもしれない。前回大会でデーブ・ニルソン監督は、投手に対してラインアップ全員への投球を1巡に制限しており、大会終了後、ミッチ・ニュンボーンはマイナー契約を結んだ。

今回、ウェルズは2017年大会以来の代表復帰。昨季はキウム・ヒーローズで4試合に先発し、20イニングで防御率3.15と好成績を残した後、KBO・LGツインズと契約。韓国打者への経験が今回の国際戦に活きるか注目だ。また、メリル・ケリーやコディ・ポンスのように、韓国での経験で新たな球種や変化を身につけてメジャーに戻った投手もおり、ウェルズも何か新しい武器を披露する可能性がある。

チャイニーズタイペイ: 徐若熙
CPBL(中華職業棒球リーグ)時代から屈指の速球を誇る 徐若熙は、昨春の台北予選で98マイル級の速球と鋭く落ちるスライダーを披露し、3回2/3で5奪三振をマーク。メジャー球団からも注目を集めたが、福岡ソフトバンクホークスとの契約を選んだ。
現在、2024年プレミア12王者として挑む今回のWBCでは、史上2度目の予選突破を目指す。投手陣は、プレミア12優勝時の勝利投手のダイヤモンドバックス有望株・林昱珉を中心に、MLBプロスペクトの林維恩や陳柏毓も加わるが、 徐若熙がチームの鍵を握るだろう。

チェコ:ヤン・ノバーク
2023年にWBC初出場を果たしたチェコ代表はほぼフルメンバーだったが、オリオールズの元プロスペクトのノバークは万全の状態ではなく、大会での登板はわずか1イニングにとどまった。しかし、2012年の予選から代表を務め、2025年欧州選手権では7回1/3を無失点に抑え、9三振・被安打3でチェコ初のメダル獲得に貢献するなど、その重要性は証明済みだ。

パベル・ハジム監督は、2023年に豪州のデーブ・ニルソン監督が投手陣を運用した手法から多くの示唆を受けたと語っており、今回もノバーク、ダニエル・パディサク、消防士のマルティン・シュナイダー、前回大谷翔平から三振を奪ったオンドレイ・サトリアらが、先発とリリーフを柔軟にこなす場面が見られそうだ。
投手としての活躍に加え、ノバークはチェコの近年のユニフォームデザインにも関わっている。春季キャンプでの米国遠征や、昨11月の韓国Kベースボールシリーズで着用されたスペシャルユニフォームは、彼のデザインによるものだ。

日本:近藤健介
大谷翔平や山本由伸のような世界的な知名度やワールドシリーズリングもなく、村上宗隆や岡本和真のようにメジャー契約を結んでいるわけでもない。しかし2023年大会での近藤の活躍は日本代表に不可欠だった。

前回大会では、チーム内で最多の本塁打こそ大谷に及ばなかったものの、9安打(チーム2位タイ)、8四球(同2位)、二塁打4本(大谷と並んでチーム最多)を記録し、ほぼすべての面で大谷に迫る活躍。身長173cm、体重86kgとMLB基準では小柄ながら、NPB通算で打率.307、出塁率.417、長打率.456を誇り、状況を問わず安定した打席を提供。日本代表の打線をより厚くする存在だ。

韓国:**安賢民(アン ヒョンミン)**
韓国代表では、MLBで活躍する李政厚(イ・ジョンフ)、金慧成(キム・ヘソン)、元メジャーリーガーで二度のサイ・ヤング賞候補に挙がった柳賢振(リュ・ヒョンジン)らが注目を集めるが、チーム内で最も存在感があるのは安賢民だ。ここでいう「存在感」とは、圧倒的な体格に由来するもので、マイク・トラウトと比較され「マッスルマン」の愛称もある。わずか22歳ながら、昨季KBOで打率.334、出塁率.448、長打率.570、22本塁打と好成績を残し、右翼のレギュラーを確保した。

プールD:マイアミ

ドミニカ共和国:ブライアン・ベヨ
ドミニカ共和国の打線は、米国代表同様、1927年のヤンキース「マーダーズ・ロウ」を思わせる強力さを誇る。投手陣も、先発にクリストファー・サンチェスとサンディ・アルカンタラと強力布陣だ。そんな中、鍵を握るのは昨季、キャリア最多166回2/3を投げ、自己最高の防御率3.35を記録したベヨだろう。
課題は奪三振力で、昨年のK/9は6.7で52人中45位。だが、9月に低迷したものの、6~8月は毎月防御率3.00未満を記録しており、大会での好投に期待がかかる。

イスラエル:コール・キャリッグ
イスラエル代表は、先発のディーン・クレマーやセンターのハリソン・ベイダーなどMLB選手が顔を揃えるが、注目すべきはロッキーズ傘下で3番目の有望株、コール・キャリッグだ。万能型の選手で、遊撃から外野まで幅広く守り、パワーとスピードを兼ね備える。昨季、2Aハートフォードでは15本塁打、46盗塁を記録し、さらにスイッチヒッターとして相手の継投策にも対応できる。2017年のシンデレラストーリーの再現を狙うイスラエルにとって、キャリッグの活躍は欠かせない存在だ。

オランダ:アントワン・ケリー
オランダ代表はベテラン勢が中心で、2006年大会経験者の先発シャイロン・マルティス、クローザーのケンリー・ジャンセン、2025年欧州選手権MVPの遊撃手ディディ・グレゴリウスらがチームを支える。その中で新顔となるのが、22歳のアラバ出身、アントワン・ケリーだ。昨季は四球を減らし、奪三振を増やして防御率3.02で2A昇格を果たした。球速は100マイル超も可能で、先発でもリリーフでもチームに欠かせない戦力となるだろう。

ニカラグア:ロナルド・メドラノ
昨年のカリビアンシリーズではケガで退場したメドラノだが、WBCの出場意向を示している。その存在はニカラグアにとって極めて重要だ。かつてカージナルス傘下の有望株であったメドラノは、マイナーリーグで経験を積み、着実に成長している。
打線はイシュマエル・ムングイアやマーク・ビエントスの加入で強化されたが、依然として勝敗の鍵は投手陣にかかっている。メドラノの変化球は昨年3月の予選で大きな力を発揮し、5イニングで8奪三振を記録した。この大会でも彼の投球が勝敗を左右する可能性は高い。

ベネズエラ:レンジャー・スアレス
ツインズの先発パブロ・ロペスがUCL断裂でトミー・ジョン手術を受けたため欠場。スアレスの役割はさらに重要とになる。打線はキャプテンのサルバドール・ペレス、ロナルド・アクーニャ・Jr.、ジャクソン・チュリオらが中心となり、リーグ屈指の強力な中軸を形成。ベネズエラを2009年以来となる準決勝進出に導く鍵は投手陣にかかっている。

スアレスは過去4シーズンのうち3シーズンで防御率4.00未満を記録し、昨季はチェンジアップ、カーブ、スライダーに対して打者が打率.203以下に抑えられるなど、高い投球技術を誇る。