レンジャーズにとって、今オフ最大の補強ポイントは捕手だった。しかし12日(日本時間13日)、その課題をクリアする補強が行われた。
MLB.comが関係者から得た情報によると、レンジャーズはフリーエージェント(FA)の捕手ダニー・ジャンセンと2年1450万ドル(約21億7500万円)の契約を結ぶことで合意したという。
レンジャーズは慌ただしい夜を過ごした。ジャンセンとの契約合意が報じられたのとほぼ同じタイミングで、アレクシス・ディアス、タイラー・アレクサンダーという2人のリリーフ投手とも合意したことが明らかになったのだ。なお、3選手の獲得について、球団からの正式発表はまだ行われていない。
ジャンセンは今季OPS.720を記録。これは直近2シーズンのレンジャーズの全捕手を上回る数字である。
「史上初めて同じ試合で2チームの選手としてプレーしたのは誰か?」というトリビアの答えであることは一旦置いておき、ジャンセンは8年間のメジャー生活の中で、パンチ力のある打撃力と優れたブロッキング技術を誇る守備力を発揮してきた。
今季のジャンセンはレイズとブルワーズで14本塁打を記録。直近5シーズンで2ケタ本塁打を4度マークしている。唯一2ケタ本塁打に届かなかったのは2024年だが、この年も9本塁打を記録。2018年にブルージェイズでメジャーデビューし、2024年途中にレッドソックスへ移籍したことにより、前出の珍記録(1試合2チーム出場)が達成された。
ジャンセンが打席に立ったとき、可能な限り引っ張り方向にフライの打球を打つことを心掛けているのは周知の事実だ。今季の「非ゴロ率」は71.7%を記録し、100打球以上の打者の中でメジャー3位にランクイン。ジャンセンを上回ったのはカル・ローリー(マリナーズ)とスペンサー・トーケルソン(タイガース)だけだった。また、全打球のうち、引っ張り方向の「非ゴロ率」は32.7%に達し、これはメジャー5位の数字である。
ジャンセンのフレーミング技術と盗塁阻止力はそれほど高く評価されていないが、ボールを後ろに逸らさないことに関しては超一流だ。今季はブロッキング指標でメジャー2位となる+14を記録。2019年以降の合計では+72を記録し、堂々のメジャートップだ。
30歳のジャンセンは不動の正捕手というより、ほかの捕手と併用されるケースが多く、メジャー8年間で100試合以上に出場したのは2019年(107試合)の1度だけ。また、2021年以降に7度負傷者リスト入りしていることも出場試合数が増えない一因となっている。しかし、今季は負傷離脱が1度もなく、2020年以降では最多の98試合に出場。打率.215、14本塁打、36打点、OPS.720を記録した。
ジャンセンが捕手のアップグレードに貢献する一方、2人のリリーフ投手の加入はブルペンの底上げに寄与するはずだ。
今季のレンジャーズは、ホビー・ミルナー、ショーン・アームストロング、ジェイコブ・ウェブ、クリス・マーティン、ルーク・ジャクソンらを1年契約で獲得し、ブルペンの陣容を刷新。その結果、レンジャーズのブルペンはメジャー5位の防御率3.62という好成績を残した。
ロス・フェンスターメイカーGMは、ウィンターミーティングの場において「昨年はストライクゾーンを支配するということを重視し、ストライクを投げることができ、ストライクゾーンを攻めることができる投手をターゲットにした。今後も同じ方針が続くだろう。これは我々の投球哲学の根幹を成す事実であり、貫いていきたい考え方だ」と語っていた。
ディアスとアレクサンダーはともに、その方針にフィットする選手と言える。
ディアスは2023年にオールスター選出を果たし、2024年は防御率3.99を記録。今季は3球団に在籍して防御率8.15と苦しんだが、アレクサンダーとともに、レンジャーズがこれまで成功を収めてきたタイプに近いリリーフ投手だ。
アレクサンダーはテキサス州の高校と大学に通っており、両校ともグローブライフフィールドから数マイル程度の距離にある。これまで4球団に在籍し、メジャー7年間で通算防御率4.63を記録している。
レンジャーズはこの2投手をブルペンで起用し、その実力を最大限に活用することを目指している。
フェンスターメイカーGMは「野球ではストライクが重要だ。ボールの質も大切だ。決して安い投手を探しているわけではない。チームにフィットする投手に焦点を当てて、補強を進めている。適切な役割を与え、投手陣の能力を最大限に引き出すという点において、我々のスタッフたちは素晴らしい仕事をしてくれている」と語った。

