ワールドシリーズ前哨戦?ドジャースvsヤンキースの見所を番記者が解説

July 16th, 2026

シチズンズバンクパークで行われた今年のオールスター・ゲームでMVPに選ばれたコディ・ベリンジャー。それでも、ヤンキースの強打者の意識は、次の戦いに向かっていた。

「今日は楽しんで、その後はドジャース戦に向けて準備する時間だ」とベリンジャーは語った。

ドジャースとヤンキースが前回ブロンクスで対戦した際に何が起きたかは、誰もが覚えている。ヤンキースタジアムで両者が顔を合わせるのは、2024年のワールドシリーズ最終戦以来。昨年はドジャースタジアムで対戦し、ロサンゼルスが2勝1敗で勝ち越した。

デーブ・ロバーツ監督率いるチームにとって、この週末のシリーズは、後半戦で勢いに乗るきっかけとなる。一方、ベリンジャーとヤンキースにとっては、チームの真価が問われる試金石となる。

「MLB最高の成績を残している最高のチームなので、僕たちも最初から準備を整えて臨まなければならない。相手が万全の状態で来ることは分かっている。そして金曜日(17日、日本時間18日)になれば、すぐにまた戦いが始まる」とベリンジャーは語った。

この一戦の注目ポイントについて、MLB.comの両チームの番記者に聞いた。

後半戦を迎える両チームの現状は?

ドジャース担当ソニア・チェン記者:ドジャースは61勝36敗とMLB最高成績で前半戦を終えたが、オールスターブレイク直前には今季でも特に低調な戦いを見せた。最後の7試合で5敗を喫し、今季初めてスイープされた。特に懸念されるのは簡単なプレーが乱れていることで、直近5試合はいずれも少なくとも1失策を記録している。負傷者は徐々に復帰しており、それに伴ってチーム状態も上向いていくはず。ただし、順位表で早くも余裕のある位置につけていることが、気の緩みにつながらないかは注視する必要がある。

ヤンキース担当ブライアン・ホック記者:ヤンキースは54勝42敗。10日前まで恒例の6月の失速が7月まで続いていたが、状況は改善している。ナショナルズのブルペンを攻略して挙げた3度の逆転勝利を含め、オールスターブレイク前に4連勝し、勢いを取り戻した。ア・リーグ東地区ではレイズを3ゲーム差で追っている。最近は主将のアーロン・ジャッジがチームの集中力不足を厳しく指摘するような戦いも続いたが、それでもプレーオフ圏内を維持している。

現時点における両チーム最大の懸念は?

チェン記者:ドジャースは前半戦に506得点を挙げ、MLB3位に入ったが、実際にはそれ以上の波があった。先発ローテーションをはじめ、投手陣全体が大きな強みとなっている一方、それに頼りすぎていると感じられる時期もあった。前半戦最後の1週間がまさにそうで、状況に応じた打撃ができず、攻撃をつなげる機会を逃した。捕手のウィル・スミスやユーティリティーのキケ・ヘルナンデスらが負傷者リストから復帰すれば、改善はするはず。ただし、彼らが不在でも、本来はより優れた、安定感のある打撃を見せるだけの力がある。

ホック記者:右肋骨を骨折しているジャッジは、オールスターブレイク中に改めて画像検査を受けた。ヤンキースは完治しているとは考えていないが、より現実的な復帰時期を見通せるだけの回復が確認されることを期待している。復帰が8月になるのか、9月になるのかはまだ分からない。一方で、ほかの戦力は戻りつつある。マックス・フリードはマイナーでのリハビリ登板が間近に迫り、カルロス・ロドンも近く復帰する見込みだ。これにより、ライアン・ウェザーズかウィル・ウォーレンをブルペンへ回せる可能性がある。捕手も大きな課題で、同ポジションの打撃成績はリーグ最低水準にある。オースティン・ウェルズは、最近放った2本塁打を今後につなげられると示さなければならない。

両チームのポストシーズン進出への道筋は?

チェン記者:仮に今レギュラーシーズンが終了すれば、ドジャースはポストシーズンでのホームフィールド・アドバンテージと、ワイルドカード・シリーズの免除を手にする。どちらも昨年の連覇時には得られなかった。ナ・リーグ西地区では11.5ゲーム差をつけて首位に立っており、現時点で地区内に大きな脅威となるチームは見当たらない。大失速しない限り、少なくとも1回戦免除を逃す展開は想像しにくい。ただし、レギュラーシーズンはまだ2カ月以上残っており、予想外の出来事が起こる時間は十分にある。

ホック記者:課題を抱えながらも、ヤンキースの勝利数はア・リーグ2位で、得失点差+91は同リーグ最高だ。そのため、FanGraphs(ファングラフス)がオールスターブレイク終了時点でプレーオフ進出確率を97.1%としていることに驚きはない。ア・リーグ東地区王者としてか、ワイルドカードとしてかは分からないが、ヤンキースはポストシーズンに進出するはずだ。ただし、数試合のプレーオフを本拠地で開催するだけでは目標達成とはならない。昨季、”ア・リーグ地区シリーズへの進出”を成功と捉えた者はいなかった。同じ結末を繰り返せば、ジャッジが、そして以前にはデレク・ジーターが表現したように、「失敗」となる。

このシリーズはワールドシリーズの前哨戦となるか?

チェン記者:判断するのは難しい。両チームが優勝を狙える戦力を備えていることは間違いないが、レギュラーシーズンはまだ長く、ポストシーズンはまったく別の戦いになる。今季はナ・リーグの方が強いものの、ドジャースには5試合制や7試合制のシリーズで倒すのが非常に難しいと感じさせるほどの選手層がある。一方、ア・リーグはどのチームにも可能性がある。このシリーズを「ワールドシリーズの前哨戦」とまで表現するかは分からないが、10月に両チームがそれぞれのリーグで最後まで勝ち残っていても、まったく驚かない。

ホック記者:一時はヤンキースがア・リーグ優勝へ向け独走しているように見えたのは確かだ。6月の不振によって状況は変わったが、トレード期限までに空振りを奪えるリリーバーを複数人と、ウェルズと併用できる右打ちの捕手を獲得し、ジャッジらの復帰を待つ間も踏みとどまれれば、10月を迎える時点でア・リーグの本命になり得る。2025年終了後に「もう一度同じメンバーで挑む」方針を取った背景には、同様のメンバーにゲリット・コールを加えれば、頂点に立てるとの期待があった。過去25年間でワールドシリーズ制覇が一度しかないだけに、その判断を正解にしなければならない。ベン・ライスやキャム・シュリトラーといった新たなスターの台頭により、優勝を狙える期間は長くなっているが、現在の主力の一部にとっては、今季が最後のチャンスになるかもしれない。