フィリーズ痛恨の走塁ミス サヨナラ機を逃した“悪夢の併殺劇”の真相

2:54 AM UTC

ドジャース2−1フィリーズ】フィラデルフィア/シチズンズバンクパーク 7月21日(日本時間22日)

誰もが目を疑った。

ドジャースとのシリーズ第2戦。フィリーズは1点を追う九回1死二、三塁。一打サヨナラの好機で打席に入ったのは、オールスターに選出されたブランドン・マーシュだった。

ドジャース3番手の左腕タナー・スコットが投じた2球目、内角96.7マイル(約155.6キロ)の直球をマーシュは引っかけ、打球は三塁へのボテボテのゴロに。三塁手マックス・マンシーが捕球すると、すぐに捕手ダルトン・ラッシングへ送球した。

三本間に挟まれた三塁走者ジャスティン・クロフォードは、ラッシングに追われながら三塁へ引き返したが、送球を受けた遊撃手ムーキー・ベッツにタッチされ、まずは2アウトとなった。

問題はその直後だった。

三塁へ戻ろうとするクロフォードを見た二塁走者J.T.リアルミュートが、突如として二塁方向へ逆走。挟殺プレーの間に別の走者が進塁を狙う場面は珍しくない。しかし、すでに進塁した走者が自ら逆走して時間を稼ごうとするケースは極めて珍しい。

この奇策は裏目に出た。

リアルミュートは二塁へ戻る途中でタッチアウトされ、併殺が成立。サヨナラの好機は一瞬にして消え去り、試合終了となった。

MLBの最新ニュースを見逃さない!

試合後、そのプレーの舞台裏が明らかになった。

フィリーズのドン・マッティングリー暫定監督によると、この場面では「コンタクトプレー」がかかっており、本来は打球と同時に三塁走者クロフォードが本塁へスタートする約束だったという。

一方、クロフォード本人は「三塁への打球だけは止まることになっていた」と一度スタートをためらった理由を明かした。それでも「打球があまりにも弱かったので行けると思った」と判断し、本塁を狙った。

一方、三塁マンシーは一打同点の場面でも冷静だった。

「あれだけスタートが遅れたので慌てる必要はないと思った。雨でボールが濡れ、芝の上で変な回転をしていたから、まずは確実に捕球することだけを考えた」

マッティングリー監督は「コンタクトプレーだったから、クロフォードができるだけ粘って、その間にマーシュが二塁まで進めれば、結果的には同じ状況になると考えていた」と説明する。

ところが、三塁へ戻ろうとするクロフォードを見たリアルミュートが、不可解にも二塁へ向かって走り始めた。

「J.T.が戻っていくのを見た瞬間、たぶん初めて試合中に叫んだよ」

スコットは笑いながら振り返った。

「『ムーキー! 二塁だ!』ってね。」

ベッツはすぐに二塁のトミー・エドマンへ送球。リアルミュートはタッチアウトされ、その瞬間、試合終了となった。

「走塁ミスだ」とリアルミュートは自ら認めた。

「クロフォードが挟まれた時点で、自分は三塁にいなければいけなかった。二塁へ戻る理由なんてなかった。完全に判断ミスだ。あの場面で一つのプレーで二つアウトを取られてはいけない。得点圏に残っていなければいけなかった。クロフォードが挟殺プレーを抜けられると思ってしまった。でも、そんな可能性は本当に小さい。あそこでそのリスクを取るべきじゃなかった」と反省を口にした。

スコットも、そのプレーに「『うわ、マジか』って感じだったよ。本当にクレージーだった。素晴らしいプレーが二つ続いたね」と驚きの表情を見せた。

ドジャースは終盤の劇的な勝利。フィリーズにとっては、またしても痛恨の敗戦となった。

デーブ・ロバーツ監督は「結局は基本プレーなんだ」と振り返った上で、ドジャース側も完璧ではなかったことを認めた。

「マンシーはまず確実に捕球し、同点走者が本塁へ向かっていることを理解して、しっかり三塁方向へ追い込んだ。正直に言えば、ラッシングはもう少し走者を追い込むべきだった。でも幸運にもJ.T.が珍しい走塁ミスをしてくれたし、ムーキーが二塁へ素晴らしい送球を決めてくれた。アドレナリン全開の大きな勝利だった」

昨年の地区シリーズでも終盤の細かなプレーで明暗が分かれた両チーム。この日も勝敗を分けたのは一瞬の判断と基本プレーの差だった。