「ホッとした」 山本の完投で、負けられない第2戦にドジャースが勝利

October 26th, 2025

第2戦のウイニングボールを捕球した三塁手マックス・マンシーは、そのボールをトスするのではなく、山本由伸のグラブに直接手渡した。山本はトスで受け取ろうとしたが、マンシーは山本が成し遂げたことに敬意を表した。

もしこのワールドシリーズをドジャースが制覇するならば、その理由は山本のパフォーマンスだろう。第1戦に大敗したドジャースは、山本の完投そして、七回にマンシーとウィル・スミスが放った2本塁打によって、第2戦に5-1で勝利。シリーズを1勝1敗のタイに持ち込んだ。

「初戦落としていたのはすごく大きかったですけど、落としただけに当然ですけど、今日は絶対勝たないといけないなとすごく気持ちが入りました」と山本は語った。

この第2戦の完勝は、なぜドジャースが世界一の大本命と言われていたかを思い出させる試合だった。

確かにブルージェイズの層が厚く、粘り強く、強力な打線は、ドジャースのブルペン陣を圧倒する能力がある。しかし、ドジャースの先発投手が食い下がれば、そうはならない。

投手として史上最高額の契約(12年総額3億2500万ドル=約465億円)を結んだ日本の剛腕、山本は、第1戦でドジャースを圧倒したブルージェイズ打線相手に、三回に犠牲フライで1点を失っただけで1失点完投。9回1失点、4安打、8三振、無四球の好投でさらに最後の20打者をパーフェクトで打ち取った。ポストシーズンにおける2試合連続完投は、2001年のダイヤモンドバックスを球団初の世界一に導いた大投手カート・シリング以来の快挙だ。

「休養があったとはいえ、本当に素晴らしかった。山本はわれわれの打線を苦しめていた。ゾーンに投げ込めていたし、スプリットもゾーン内外に出し入れされていた。本当に素晴らしいパフォーマンスだった」と敵将ジョン・シュナイダーも脱帽した。

1993年ワールドシリーズ第6戦で連覇を決めるサヨナラ本塁打を放ったジョー・カーターを始球式に招き、その伝説の瞬間を再現する機運を高めていたブルージェイズ。しかし、ドジャースは、スミスとマンシーが2本のソロで、ブルージェイズのエース右腕ゴーズマンを打ち砕いた。

ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は「すごくホッとした」と勝ち越し劇について吐露。ドジャースにとっては、まさに安堵に次ぐ安堵だった。

アレックス・ベシアの出場が難しくなり、第1戦では崩壊したブルペン陣への信頼がさらに薄れる中、ロバーツ監督は山本の貢献を喜んだ。山本はテンポの速い、昔ながらの投手戦を演じ、見事に勝利した。

「第2戦の先発投手」という肩書きは、先発2番手という印象を与えがちだ。しかし、山本とゴーズマンはどちらとも、その役割には十分すぎるほどの実力を持っていた。

山本は今季、ドジャースの投手陣で誰より多い173回2/3を投げ、ERA+167(リーグ平均より67%優秀)をマーク。ゴーズマンは過去4シーズン、ブルージェイズの先発ローテーションの要として活躍し、その期間でMLB4位の733回2/3、同3位の793三振を記録していた。レギュラーシーズン中はエースとしてチームを牽引した山本と、ア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦でリリーフ登板した影響で第2戦に回されたゴーズマンの投げ合いは、まさにエース同士の投げ合いと呼ぶにふさわしかった。

そして、2投手はまさにエースの投球だった。

山本はブルージェイズ打線に持ち前の豊富なレパートリーで挑み、そのすべてが機能した。強烈なスプリット、ヨーヨーのように動くカーブ、猛烈なフォーシーム、カットボール、スライダー、シンカー。すべてが軽快に、鋭く変化していた。第1戦では先発ブレイク・スネルの制球が乱れる瞬間を狙いすましていたブルージェイズ打線に対し、山本は一切崩れなかった。

「初回にちょっとランナーをためたり、そのあとデッドボールから失点したりあったんですけど。しっかりと冷静にね、投げられたのでよかったと思います」と、山本は振り返る。

一方、ゴーズマンも素晴らしい投球で応じた。ドジャースは初回に先制点を奪ったが、ゴーズマンは初回の3アウト目から17人の打者を連続で打ち取った。

七回にスミスが打席に立つまでは。

シーズン終盤に右手の細骨を骨折し、痛みを抱えながらプレーしていた正捕手にとって、七回の勝ち越し弾はポストシーズン初の長打だった。ゴーズマンに対してフルカウントと粘り、内角の直球をとらえ、レフトスタンド2階席へ運んだ。

ここでゴーズマンの快進撃は終わった。その後、ドジャースのポストシーズン通算本塁打王であるマンシーも、本塁打で続いた。くしくも、カーターが放った有名のサヨナラ本塁打とほぼ同じ地点に着弾した。

「2人の本当に素晴らしい打者に対する、2つの悪くない投球だった。それが違いを生んだ」と、ゴーズマンはスミスとマンシーを称えた。

八回にもドジャースは2点を追加したが、山本には必要ない援護だったかもしれない。追加点をもらった八回は3者連続三振、九回も続投して三者凡退で締めくくった。

「(山本は)負けることは選択肢にないと言っていた。まさに、その言葉通りの投球だった」と、ロバーツ監督は称えた。

これでシリーズの行方は振り出しに戻った。