このFA市場で、アストロズは先発ローテーションとブルペンの補強に動く見込みだ。中でも優先は先発陣だろう。球団はフランバー・バルデスにクオリファイング・オファーを提示したが、ベテラン左腕はこれを拒否してFA市場に出る可能性が高く、2026年のローテーションには大きな穴が開くことになる。
ここでは、FA市場に出ている先発投手たちと、彼らがヒューストンにどのようにフィットするかを見ていく。(年齢は2026年7月1日時点のもの)
右投手 ディラン・シース(30歳)
もしアストロズがバルデスに代わる信頼できるイニングイーターを求めるなら、ディラン・シースは理想的だ。過去5シーズン連続で32試合以上に先発しており、耐久性は折り紙付き。今季は安定感に欠け、32試合で8勝12敗、防御率4.55という結果に終わったが、球速、空振り率、奪三振率はいずれもリーグ上位を維持していた。四球の多さとゴロの少なさが課題だが、それでも、5年連続で200奪三振を記録しており、先発投手に困っている複数球団からの関心は確実だ。パドレスからクオリファイング・オファーを受けているため、アストロズが獲得すればドラフト指名権を1つ失う(なお、ハンター・ブラウンがサイ・ヤング賞投票でトップ3入りしたことで、来季のドラフトでは1つ指名権を獲得している)。
右投手 マイケル・キング(31歳)
ブルペンから先発転向して以降、キングは静かに球界屈指の先発投手として評価を高めてきた。パドレスでの先発としての2年間では、防御率3.10と安定した成績を残している。今季は右肩付近の神経障害と左膝の負傷で15試合の先発にとどまったが、1500万ドル(約22億5000万円)の相互オプションを破棄し、パドレスからクオリファイング・オファーを受けている。
左投手 レンジャー・スアレス(30歳)
こちらもクオリファイング・オファーを受けている。左腕スアレスはバルデスの穴を埋める存在として理想的だ。2024年にはオールスターに選出され、2025年前半戦は13先発で7勝3敗、防御率2.15と圧巻の投球を見せた。後半戦はやや苦しみ、5勝5敗、防御率4.40となったものの、先発としてフルに投げた過去4シーズンの通算防御率は3.59と安定しており、堅実な働きが期待できる。
右投手 ザック・エフリン(31歳)
エフリンは今季、防御率5.93と苦戦し、7月に背中の負傷で早々にシーズンを終えた。2024年にはレイズからオリオールズに移籍し、9先発で5勝2敗、防御率2.60という見事な成績を残した。2025年は開幕投手を務めたが、4月7日の3試合目で背筋の張りを訴え、1カ月離脱。71回1/3で18被本塁打、WHIP1.42という結果で、復活を目指すシーズンとなるため、割安での契約が期待できる。
右投手 ザック・ギャレン(30歳)
2020〜24年の間、ギャレンはリーグでも屈指の安定した先発投手であり、128試合で50勝31敗、防御率3.34を記録した。特に2022〜23年の2年間は、平均197イニング・206奪三振・防御率3.04という優れた内容を残した。2024年には右ハムストリングの張りで1カ月離脱し、投球回は148に減ったものの、今季は192回で13勝15敗、防御率4.83と依然としてイニングを稼ぐことができる。なお、クオリファイング・オファー付きのFAとなる。
右投手 ルーカス・ジオリト(31歳)
2024年をトミー・ジョン手術で全休したジオリトは、2025年にレッドソックスのローテーションへ復帰し、26先発で防御率3.41とまずまずの成績を残した。ただし、xERA(予測防御率)は5.06と芳しくなく、さらに右肘の軽い負傷でア・リーグのワイルドカードシリーズを欠場した。アストロズが契約を検討する場合は、健康面のリスクを十分に確認する必要があるだろう。
右投手 メリル・ケリー(37歳)
37歳を迎えるケリーは、いまだにローテーション中盤を支える安定感がある。2022年以降108先発で防御率3.47、2025年はダイヤモンドバックスとレンジャーズで12勝9敗、防御率3.52を記録し、投球回184でメジャー14位に入った。ここ2年で四球率を改善し、両年で上位25%にランクイン。1イニングあたりの奪三振は1未満だったが、追い込んでからのスイング率(32.8%、リーグ上位91%)は高く、打者を翻弄する技術は健在だ。

