ガーディアンズ大逆転劇の秘密 先発6人ローテが原動力

ポストシーズンでは6人ローテは採用しない方針

September 29th, 2025

昨季、ガーディアンズを地区優勝に導いたのはブルペン陣の歴史的活躍だった。そして今季、歴史に残る大逆転劇で地区連覇を成し遂げた原動力は、6人の先発ローテーションだ。ただ、面白いことにガーディアンズは考え込まれた計画や狙いで6人ローテを導入したわけではなかったという。

「一度だけトライしてみて、ブルペンにどんな効果があり、どう進むのかを見てみようと考えた。非常にうまくいったので、そのまま進めていった」

14年間、ガーディアンズで投手コーチを務めてきたカール・ウィリスは語った。

ガーディアンズの史上最大の逆転優勝は、先発投手陣の躍進なくしては語れない。19試合で17勝と快進撃を繰り広げた9月5日から24日までの期間では、先発投手陣が120回で防御率1.35(ともにメジャートップ)、19試合連続で2失点以下を記録した。

先発投手が19試合連続で2失点以下の快挙は、メジャー記録にあと1試合及ばなかっただけ。そのメジャー記録も極めて投手有利とされた「デッドボール時代(飛びにくいボールを使用していた時代)」の真っ只中にあった1917年のホワイトソックスが記録したものだ(当時はチームの平均年間本塁打数が21本、今季は187本)。

8月下旬、29日から始まる24連戦を控えていたガーディアンズは、若い投手の多い先発ローテの投球回数と負担の増加に対処する方法を思案していた。ウィリス投手コーチ、スティーブン・ボート監督、そしてクリス・アントネッティ球団社長は6人ローテ構想を協議していた。

その時の先発ローテには、タナー・バイビーギャビン・ウィリアムズスレイド・セッコーニローガン・アレン、そして8月20日にデビューしたばかりのパーカー・メシックがいた。

全員がプロ入り後のキャリアハイの投球回数を記録するペースであることを考慮し、ガーディアンズは9月3日に先発左腕ジョーイ・キャンティロをマイナー3Aから昇格させた。

6人体制に切り替わったガーディアンズの先発ローテは、その1周目で38回2/3を投げ、防御率1.86を記録した(ともにメジャートップ)。

「回復期間が1日増えたことは、フィジカル面で本当にプラスになったと思う。1日増えたおかげで(登板間の)ブルペン投球で必要なトレーニングをある程度の強度でこなすことができた。その前後に1日ずつ回復のための余裕があるという安心感があるからね」と、ウィリスは好成績の要因について語る。

ガーディアンズの先発投手たちは、登板間の余裕が生じたおかげで、1日増えた調整日を疲労回復だけでなく、パフォーマンス向上のためのトレーニングに費やすことができるようになった。その好例が今季キャリアハイの投球回数を投げたセッコーニだ。ダイヤモンドバックスからオフに加入したセッコーニは、今季マイナーも含めてキャリアハイの132回を投げ、7勝7敗、防御率4.30を記録した。

セッコーニは疲労が重くのしかかるシーズン終盤ながら、9月に球速が上昇。7月は93.8マイル(約150.9キロ)、8月は94.3マイル(約151.7キロ)だったのが、9月は94.6マイル(約152.2キロ)と右肩上がりに平均球速が増した。

セッコーニはこの球速アップの要因を6人ローテのおかげと考えており、「9月に1日でも余裕が持てるなら、それは悪いことではない。このレベルの仕事量で9月まで先発として投げるのは初めてだ」と語る。

初めて6人ローテを導入したボート監督は、日程とロースター(出場選手登録枠)の観点から理に適っているのであれば、素晴らしいアイデアになり得ると実感したようだ。

ガーディアンズが6人ローテを導入した9月は、ロースターが2人増えて28人に拡大される期間だ。通常、9月のロースター拡大(セプテンバー・コールアップ)では、負担がかさむリリーフ投手陣を増員することが多い。しかし、先発ローテを6人に増やした効果で、先発投手が長い投球回数を投げられるようになり、中継ぎ投手陣の負担が制限された。事実、9月3日から26日までガーディアンズのブルペン陣が投じた66回はMLBで2番目に少ない。

問題はガーディアンズがポストシーズンでどのような戦略を採用するか。ワイルドカードシリーズでは最大でも3人、それ以降も先発投手は基本的に4人で足りる。

仮にポストシーズンでも6人ローテで挑むならば、短い登板間隔で先発を起用する必要がなくなる一方で、信頼の置ける先発投手(ウィリアムズとバイビー)にできるだけ多くの先発を託すことができなくなる。

百戦錬磨のウィリス投手コーチもそれは承知だ。

「10月は試合の激しさや、一つ一つのアウトの重要性など、全く別物だ。ブルペンをどう構築するのか?先発投手をどう選び、スケジュールや休養日をどう考えるのか?スケジュールの組み方からして、ポストシーズンで6人ローテにする理由はないと思う」

そうは言っても、調子の良い6人の先発投手がいるという事実は、ガーディアンズに大きな自信を与えている。

「これまで通りのやり方で戦える能力のある選手が6人いるというのは、確かに安心できる」とウィリスは語った。