「ビッグ・アーミッシュ」が球界を席巻している。すでに「Big Amish」とプリントされたTシャツまで作られており、28日(日本時間29日)にはアスレチックスのクラブハウスで複数の選手に配布されたほどだ。
「ビッグ・アーミッシュ」とはもちろん、25日のアストロズ戦で6打数6安打4本塁打という前人未到の活躍を見せ、一躍野球史に名を刻んだアスレチックスの新人ニック・カーツのことだ。
記事やニュースを通してこのニックネームを目にした人は多いだろう。では、そもそもこのニックネームはどのようにして生まれたのだろうか?
あだ名の生みの親は同僚のマックス・シューマン。28歳のユーティリティプレーヤーによれば、2月の春季キャンプでの自己紹介がきっかけだったという。初めてメジャーのキャンプに参加する選手たちが順番に話していく中で、自身の番でカーツは中学生の時に地元ペンシルバニアの農場で参加したアーミッシュのツアーについて話した。
そして、このエピソードを聞いたシューマンがそのままあだ名として採用した。要するにカーツが
- デカい(身長196センチ・体重109キロ)
- アーミッシュの話をしていた
からということのようだ。
当初、チームメイトたちは「アーミッシュ」(Ah-mish)ではなく、「アイミッシュ」(Aye-mish)と誤って発音していたという。
「俺の幼なじみの1人が『アイミッシュ』って言うんだ。理由は分からないけど、頭文字のAが目立つからかな。それでなんとなく『ビッグ・アイミッシュ』って言ったら、みんなにも広がっちゃったんだ。本当は『アーミッシュ』が正しい発音なのは知ってるけど、最初はそんな感じだったよ」
なお、シューマンによると、当初カーツ本人はこのニックネームにそれほど乗り気ではなかったという。
「最初はちょっと嫌そうだったよ。以前にもアーミッシュ絡みのあだ名を付けられたことがあるらしくて、完全に初めてだったわけではないみたい」
しかし時間が経つにつれて、本人もこのニックネームを受け入れ、今ではアスレチックスのチームメイトは全員「ビッグ・アーミッシュ」とカーツを呼んでいる。
「マックス・シューマンが考案して、ローレンス・バトラーがすっかり定着させちゃったよ。正直面白いと思ってるし、今では乗っかってる。誇りに思ってるよ」とカーツは笑顔で語った。
カーツが塁上で見せるセレブレーションも、この愛称に由来している。メジャー昇格直後の4月にツーベースを打った際、リリーフ投手のT.J.マクファーランドが腕をかき混ぜるポーズで祝福していたのを見たという。これは、アーミッシュの伝統であるバターを混ぜる仕草をモチーフにしているもので、それ以来、カーツも長打を放った際には「バター混ぜパフォーマンス」を披露するようになった。
「それがあだ名を受け入れたきっかけだったかな。ニックネームをもらって、最初は好きかどうか分からなくても、どうせなら全力で乗っかって、チームのムードも盛り上げられたらいいよね」とカーツは語る。
かつてのレジェンドたちが成し遂げたような偉業を、22歳の若さで成し遂げているカーツ。そんな特別な選手には、ニックネームがふさわしいとシューマンは語る。
「彼自身のブランドを作り上げつつあるね。見ていて本当に楽しいよ。とにかくすごい選手だから、打線にいるとすごくワクワクするんだ。俺の仕事は、彼のために出塁すること。もちろん、ブレント・ルーカーやバトラーみたいにリーグでもトップ10に入る打者もいるけど、そこに『ビッグ・アーミッシュ』が加わるなんて、本当に特別なことさ」
