ボー・ビシェット、フィリーズ契約寸前からメッツへ リアルミュート残留の舞台裏

January 20th, 2026

ボー・ビシェットの加入が間近だと思っていたフィリーズは、J.T.リアルミュートは他球団へ向かう。そう思っている人もいた。

では、実際どこまで話は進んでいたのか。

「“成立した”とは思っていなかった。ただ、契約合意にかなり近づいている感触はあったし、正直、実現すると思っていた」と、フィリーズ編成本部長のデーブ・ドンブロウスキーはそう振り返る。

しかし、その後、ビシェットがフィリーズのオファーを断り、ライバルのメッツと3年1億2600万ドル(約199億円)で合意したという報が入った。関係者によれば、フィリーズの提示は7年2億ドル(約316億円)だったという。

「正直、かなり堪えたし、その日は本当に落ち込んだ。ただ、いつまでも引きずるわけにはいかない。気持ちを切り替えないといけないからね」とドンブロウスキー。

ほぼ同時に、ドンブロウスキーはこのオフを通じて連絡を取り続けていたリアルミュートの代理人に連絡を入れた。数時間後には、リアルミュートのフィリーズ残留が3年契約で決定。契約総額は4500万ドル(約71億円)で、出来高により年最大500万ドル(約7億9000万円)が上乗せされる可能性がある。

「ずっと、ここに戻りたいと思っていた。最後はちょっと不安になったけれど、またここにいられて本当にうれしい」とリアルミュート。

フィリーズ側も、リアルミュートを引き留めたい思いは一貫していた。実際、オフの早い段階でオファーは提示され、長く机上に残っていた。

3月で35歳になるリアルミュートは、5年1億1550万ドル(約182億5000万円)の大型契約を終えたばかり。ある程度の減額は覚悟していたものの、球団側の評価との差は想定以上だったという。

「捕手というポジションは、契約や金額の面で過小評価されていると感じた。自分自身や、チーム、クラブハウスにもたらす価値を、球団とは少し違う形で捉えていたのが交渉に時間がかかった理由」とリアルミュートは振り返る。

その”時間”が、危うく致命的になるところだった。

ドンブロウスキーは当初から、もし球団が別の方向へ進む場合は、まずリアルミュート陣営に伝えると約束していた。ビシェット獲得が現実味を帯びた段階で、リアルミュートへのオファーはいったん取り下げられた。

「契約がかなり近づいていることは伝えた。その時点では、同時に2人と契約することはできなかった。理想的ではないし、難しい判断でしたが、プロとして必要な対応だったと思っている」とドンブロウスキーは経緯を説明する。

しかしその後、ドジャースがカイル・タッカーと4年2億4000万ドル(約379億2,000万円)で合意。さらに他のFA獲得に失敗していたメッツが、土壇場で短期・高額の衝撃的なオファーを提示し、ビシェットを引き寄せた。

「本当に、成立寸前だと思っていたけれど、“決まりそう”と“決まった”は違う。覚書にサインしない限り、契約は成立していない。そこには至らなかった」とドンブロウスキーは繰り返す。

口頭合意はあったのか。

「詳細を一つひとつ話すつもりはないけれど、成立すると思っていた」

その話が白紙になると、フィリーズはすぐにリアルミュートとの交渉をまとめ上げた。

「このオフで、フィラデルフィアに戻れないかもしれないと思った期間は、本当に短かった。自分の関心は、ここで築いてきたレガシーと、フィリーズでキャリアを終えることだけだった」とリアルミュート。

リアルミュート再契約は、カイル・シュワーバーとの5年1億5000万ドル(約237億円)の再契約に続く、今オフ最後の大きな動きとなる見込みだ。
フィリーズは外野手アドリス・ガルシアを獲得(今後数週間でニック・カステヤノスと別れる予定)、一方でレンジャー・スアレスをFAでレッドソックスに失い、救援陣再編の一環としてマット・ストラムをトレードに出した。

コディ・ベリンジャーやフランバー・バルデスといった残る大物FAに動く可能性は、現時点では低そうだ。

「今の戦力には満足している。このメンバーでスプリングトレーニングに入れることに、大きな手応えを感じているし、十分に勝負できるチームだと思っている」とドンブロウスキーはまとめた。