【ドジャース1−2ブルワーズ】ミルウォーキー/アメリカンファミリーフィールド 10月11日(日本時間12日)
ブルワーズのエース、ジェイコブ・ミジオロウスキーは「ベストではなかった」と自身の投球を振り返った。それでも、勝利を手にするには十分だった。
ナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第1戦。昨年の同シリーズでドジャースにスイープされたブルワーズが、雪辱を期して本拠地に2年連続ワールドシリーズ王者を迎えた。先発のミジオロウスキーは、ドジャース打線に粘られながらも4回1/3を1失点でしのいだ。後を受けた救援陣も計14アウトを無失点でつなぎ、接戦を制した。
ミジオロウスキーは初回、11球連続で速球を投じた。ムーキー・ベッツへの初球は102.3マイル(約164.6キロ)。フレディ・フリーマンにはこの日最速の104.0マイル(約167.4キロ)を計測する速球を投じたが、単打を許し、この試合最初の走者を出した。続くウィル・スミスを併殺打に打ち取り、無失点の立ち上がり。
二回に入るとドジャース打線の粘りに苦しんだ。
パドレスとの地区シリーズ第1戦でも、ミジオロウスキーはファウルで粘られて球数がかさみ、4回88球で降板していたが、この試合でも同じような展開となり、2回だけで35球を要した。
大谷翔平を四球で歩かせると、カイル・タッカーにも10球を投じた末に四球。アンディ・パヘスの適時打で先制点を許した。さらに1死満塁とピンチが広がったが、キケ・ヘルナンデスを遊撃への併殺打に仕留め、最少失点で切り抜けた。
三回は無失点に抑えたものの、ドジャース打線はさらに22球を投げさせ、さらに四回にはボークもあり、投球数は85球に到達。そのうちストライクは55球だった。五回もマウンドに上がったミジオロウスキーは、1死からベッツに四球を与えたところで降板。4回1/3を94球、1失点で終えた。
この日、ミジオロウスキーに対する42スイングのうち21回がファウル。半数に当たる打球で粘られ、アウト13個を奪うのに多くの球数を費やした。
パット・マーフィー監督は若き右腕の粘投を評価した。
「ミズについて、105マイル(約169キロ)が出なかったとか、いろいろ言うことはできる。でも、ピンチになるたびに、彼はむしろ良くなった」
指揮官は、今季の投球イニングが190イニング近くに達していることにも触れた。これまでのキャリアを大きく上回る登板量に加え、ポストシーズン特有の重圧もある。疲労があっても不思議ではない。
「それでも、彼はアウトを13個取ってくれた。よく投げたと思う。球の状態が最高だったわけではないが、それでも十分にいい球だった」
ミジオロウスキー自身も、結果を前向きに受け止めた。
「どんな試合でも、目標は勝つこと。それが一番大事で、今夜はそれを達成できた。試合前から三振を17個奪おうと決めてマウンドに上がるわけじゃない。相手が与えてくれるものに対応して、その場その場で乗り切っていくしかないんだ」
エース降板後は、ブルワーズの救援陣が本領を発揮した。
五回1死一塁で登板したDL・ホールは、後続を併殺打に打ち取ってピンチを脱出。その後もアブナー・ウリベ、アーロン・アシュビー、トレバー・メギルがドジャース打線を封じ、4投手で計14アウトを奪い、リードを守り抜いて僅差の勝利をものにした。
「ミズが本来の力を発揮できていないときこそ、僕たちにも火がつくんだ」
最初にマウンドを引き継いだホールは、そう語った。エースが苦しむ展開でも、救援陣が気持ちを切り替え、相手に流れを渡さなかった。
ブルワーズの救援陣は、今ポストシーズンで圧倒的な数字を残している。ホール、アシュビー、ウリベ、メギルの4人は、ここまで計19回2/3を投げて自責点ゼロ。ウリベはチームの5試合すべてに登板し、アシュビーとメギルは4試合、ホールは3試合に登板している。
救援陣全体の防御率も0.38。ポストシーズン最初の5試合で15イニング以上を投げたチームの救援防御率としては、地区シリーズ制度が始まった1969年以降で3位タイの好記録だ。パドレスとドジャースを相手に23回2/3を投げ、被打率も.163に抑えている。
接戦が続くポストシーズンで、こうした救援陣の安定感は大きな武器となる。ミジオロウスキーが本調子でなくても、ブルワーズには試合を締めくくる投手がそろっている。
敗れたドジャースのデーブ・ロバーツ監督も、ブルワーズの救援陣をたたえた。
「相手の攻め方も、その実行力も素晴らしかった。きょうは勝ちパターンを担う4人と対戦したが、得点につなげられなかった。前向きに捉えるとすれば、彼らを実際に見られたことだ。ブルワーズが勝てる展開になれば、あの4人が出てくる。シリーズが長くなれば、対戦を重ねることがこちらにとってプラスになるかもしれない」
ブルワーズにとって、この日の勝利は救援陣の好投だけによるものではない。ミジオロウスキーが苦しい展開でも崩れず、5回途中まで試合をつないだことも大きかった。
アシュビーは、若きエースが経験を積むことで、さらに成長していくと見ている。
「自分自身を理解していく中で、身についていくものだと思う。初球から球場全体が盛り上がっていると、107マイル(約172.2キロ)を投げてやろうという気持ちになる。僕も昨年のポストシーズンで先発したとき、そう感じたことがある。とにかく最高にえげつない球を投げたくなるんだ」
大舞台では、力を示そうとするあまり、必要以上に力が入ることもある。だが、そうした重圧に慣れれば、自分の投球を取り戻せるようになるという。
「プレッシャーをそれほど感じなくなれば、落ち着いて投げられるようになる。ミズは素晴らしい投手だし、勝負にこだわる。これからも、彼が投げる姿をもっと見られるのが楽しみだよ」
本来の剛腕ぶりを見せきれなくても、粘って試合をつくったミジオロウスキー。そして、その後を完璧につないだ救援陣。ブルワーズは投手陣全体の力でドジャースを退け、NLCSの初戦をものにした。
