マリナーズは過去3シーズンにわたりカブスの選手育成部門を率いたジェイソン・カンズラー氏の監督就任を発表した。チームが新監督に選んだのは、球界ではまだ知名度の高くない36歳の新鋭。監督経験はどのカテゴリーでもなく、異例の抜擢となった。
最終候補には、前アストロズ監督のジョー・エスパーダ氏も残っていた。2人は先週、Tモバイル・パークで最終面接に臨み、オーナーグループや球団幹部、メジャーのコーチ陣らが選考に参加。その後、週末にかけて最終的な検討が行われた。
カンズラー氏は球団史上22人目の監督。ジェリー・ディポト編成本部長の下では3人目となる。ダン・ウィルソン前監督は2年以上にわたり指揮を執ったが、2026年に退任した。
36歳のカンズラー氏は、最年少は34歳のブレイク・ブテラ(ナショナルズ)に続くメジャーで2番目に若い監督となる。
ディポト編成本部長は「今回の選考では、チーム全体に成長を促せる監督を求めていた。ジェイソンには、優勝を目指すチームの基準を築くための考え方、専門知識、コミュニケーション能力、そして情熱がある」と期待を寄せた。
カンズラー氏はカブスに移る前、アストロズで5シーズンを過ごした。2022、23年にはメジャーの打撃コーチを務め、2022年のワールドシリーズ制覇にも貢献。ダスティ・ベイカー監督の下で打撃コーチの一人を務めた。
指導者としてはマイナー下部組織の打撃コーチからキャリアをスタート。その後、マイナーの打撃コーディネーターを経て、メジャーのコーチに昇格した。現役時代はツインズ傘下でプレーし、最高で1Aアドバンスまで昇格。2013年ドラフト20巡目で指名され、2014~15年にプレーした。
経歴も異色だ。バッファロー大学では心理学を専攻。選手時代からプロの指導者になるまでの間、ヒューストン郊外の高校で物理と化学を教えていた。ケープコッド・リーグでは2シーズン、アシスタントコーチを務めた経験も持つ。
先進的で柔軟な野球観に加え、選手育成の経験や高いコミュニケーション能力が評価されている。ジャスティン・ホランダーGMも「卓越したリーダーシップと高い専門性を持ち、選手、スタッフ、フロントとの信頼関係を築ける人物。球団を再びポストシーズンに導く適任者だ」と語った。
ディポト編成本部長は、メジャーでの監督経験があれば望ましいものの、必須条件ではないとしていた。実際、2015年に就任したスコット・サービス氏も、2024年に後を継いだウィルソン氏も、監督経験はなかった。
今回の人事で興味深いのは、ディポト編成本部長が人選を全面的にカンズラー氏に委ねる姿勢を示していることだ。2027年シーズンの成績次第では、ディポト氏自身の去就にも影響が及ぶ可能性がある。
昨年の今頃、マリナーズは球団初のワールドシリーズ進出まであと一歩に迫っていた。今季はそこまでの期待を背負っていないものの、チームの主力はそろっている。自前で育てた6人の先発投手に加え、カル・ローリー、フリオ・ロドリゲス、ジョシュ・ネイラーらオールスター級の野手が中核を担う。
球団はカンズラー氏の手腕で、こうした戦力をさらに生かしたい考えだ。前体制では、選手への責任意識の徹底やコミュニケーションが課題だったと、ディポト編成本部長ら球団関係者も認めている。
マリナーズはコーチ陣のうち4人と袂を分かち、打撃コーチにはCJ・ギルマン氏を迎えることで合意したと、MLB.comが報じている。
一方、もう一人の最終候補だったエスパーダ氏は51歳。今月初めにアストロズが監督契約を更新しないと発表したことで、候補に浮上していた。
エスパーダ氏は過去3シーズン、アストロズを率い、2024年と2026年にア・リーグ西地区優勝を達成。それ以前は6シーズン、ベンチコーチを務めた。2018~19年、2021~23年の地区優勝5度に加え、リーグ優勝3度、2022年のワールドシリーズ制覇も経験している。2023年シーズン終了後、ベイカー監督の引退を受けて監督に昇格した。
