【アスレチックス1-0ヤンキース】ニューヨーク/ヤンキースタジアム、4月9日(日本時間10日)
試合後半までノーヒッターを続けている場合、基本的に投手はどこかで意識し始めるものだ。
しかし、この日敵地ヤンキースタジアムで先発したアスレチックスのジェフリー・スプリングスは、6回までヤンキースを無安打に抑えていたことに気付いていなかっただけでなく、自分が何回を投げているのかも分からなくなっていた。
「正直、何回かも分かっていなかった。なぜか1イニング遅れて認識していたし、ノーヒッターのことも気付いていなかった。ただ1球ずつ投げて、目の前のプレーに集中していただけ」とスプリングスは語った。
まさしく、スプリングスは完全に集中していた。七回、コディ・ベリンジャーへの投球後に着地を崩し、トレーナーのジェフ・コリンズがマウンドに来た時に初めてスコアボードを見上げ、実際のイニングとヤンキースの安打欄が「0」であることに気付いた。
「1アウト、2アウト、3アウトと積み重ねて、またリセットして繰り返すことだけ考えていた。効率よくアウトを取り、できるだけ長く投げることを意識していた」とスプリングスは語った。
その言葉通りテンポよくアウトを重ねた。七回一死でベン・ライスに安打を許し、球団史上14度目のノーヒッターは逃したものの、その後も崩れなかった。7回無失点、1安打、2四球、6三振で、強力ヤンキース打線を封じた。
スプリングスの最大の武器はチェンジアップで、この日は6三振のうち3つで決め球として使用し、全14度の空振りのうち5度を同球種で奪った。また25人の打者のうち17人に初球ストライクを投げ、常にカウントを有利に進めた。
しかし、スプリングスの好投の鍵は5つの球種を使い分けた点にあった。ヤンキース打線の1巡目では速球を57%使用。2巡目以降は配球を大きく変え、スライダーの比率を増やした。
「こういう打線相手には、早い段階から球種を変え続ける必要がある。速球と変化球を適度に織り交ぜて、打者のバランスを崩せたと思う」とスプリングスは語った。
スプリングスは今春、大きな期待を背負ってスプリングトレーニングに臨んだ。2025年の春はレイズからトレードで加入したばかりで新チームへの適応が必要だったうえ、トミー・ジョン手術から復帰して初めての”通常の”オフシーズンでもあった。今年は環境にも慣れ、手術からの時間もさらに経過し、健康な状態でのフルシーズンを経験した後のキャンプとなった。
2026シーズンを迎えるにあたり、球威とメカニクスは大きく改善されていた。そしてその成果はすでに表れている。ここまで3先発で2勝0敗、防御率1.47と、ローテーションの中でも最も安定したパフォーマンスを見せている。
「今は非常に自信を持っているように見える。スプリングトレーニングの時からかなり良かった。昨年とは別人のようだった」とマーク・コッツェイ監督は評した。
チーム全体としても、最近は自信を取り戻しつつある。ブルージェイズとブレーブスに開幕シリーズを落としたが、その後アストロズとヤンキースを相手に連続でシリーズ勝利を収めた。
この日の勝利は、アスレチックスにとって1979年4月25日以来となるヤンキース戦での1-0勝利となり、ヤンキースタジアムでのシリーズ勝ち越しは2016年以来となった。要所での一打も光り、この日はマックス・マンシーが七回にメジャー初の三塁打を放ち決勝点を演出。また直近2試合はブルペンも安定している。第3戦はホーガン・ハリスが今季初セーブ、前日の第2戦はジョエル・クーネルが2022年以来のセーブを記録した。
「このチームの特徴についてよく話している。(敵地)ニューヨークに来て初戦を落としながら、その後の2試合で戦い抜いてシリーズ勝利をつかんだ。チームとしてまとまり始めていて、それがフィールドの上でも表れている」とコッツェイ監督は語った。
