左腕ルザード、ブレーブス戦でキャリア初の完封、シュワーバーが43号決勝弾

September 7th, 2026

【ブレーブス1−0フィリーズ】フィラデルフィア/シチズンズボールパーク 9月7日(日本時間8日)

八回にフィリーズのカイル・シュワーバーが「待望の」先制ソロを放ち、チームメイトとハイタッチを交わし、ヘルメットをダグアウトのバットラックに戻した。

それからまもなく、誰かが叫んだ。

「さあ、ゼウス!行くぞ」

その声に応えるように、フィリーズの左腕ヘスス・ルザードがマウンドへ向かうと、九回もきっちり無失点で締め、フィリーズが1−0で勝ち、ナ・リーグのワイルドカード第1シード争いでカブスを0.5ゲーム差で上回った。

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「振り返ってゼウスが出てくるのを見た時は、興奮した。チームも盛り上がった。4万人以上のファンもゼウスが最終回のマウンドに上がった時、とても盛り上がった」とシュワーバーは試合後、そう振り返った。

この日の主役は、まさに「ゼウス」ことルザードだった。

8月のナ・リーグ月間最優秀投手に選ばれたばかりのルザードは、2安打1四球、12奪三振で完封。わずか1時間51分で9イニングを投げ切った。

これがキャリア初の完投・完封。

フィリーズの投手が2安打以下で完封するのは、2023年8月9日にマイケル・ロレンゼンがノーヒットノーランを達成して以来。さらに、9イニングの試合時間1時間51分は、ベテランズ・スタジアムで行われた1989年7月4日の1時間44分以来、球団最短となった。

「速く投げるのが好きだし、試合も速いほうが好きなんだ」とルザード。

球速も申し分なかった。1回、11球目に98.1マイル(約158キロ)の速球でオジー・オルビーズを空振り三振に仕留め、初回を終えた。

「初回から、球の感じでいけると思った」

二回には97マイル(約156キロ)の速球でマット・オルソンを三振。さらにマイケル・ハリス二世にはカウント2−2からスイーパーを投じ、バットが大きく空を切った。

「彼は積極的な打者だし、スイーパーを打つのが本当にうまい。だから、あの球を振らせたときは、自分のスイーパーは、リーグの誰にでも通用すると思ったくらい自信がある」

イーパーで奪った三振は6つ。今季、スイーパーによる奪三振は132個となり、2026年のMLBで1つの球種による奪三振数として2位につけている。1位はブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキーで、フォーシームによる147奪三振だ。

ルザードはこの日、23度の空振りを奪った。これは今季のフィリーズ投手最多タイで、そのうちスイーパーで12度、フォーシームで9度を記録した。

「これ以上ないくらい素晴らしかった」とブレーブスのウォルト・ワイス監督も脱帽した。

しかし、打線はなかなかルザードを援護できなかった。フィリーズ打線は七回を終えても無得点。その救世主になったのがシュワーバーだ。

八回に先頭で打席に入ると、ディディエ・フエンテスの甘く入った球を捉え、右翼スタンドへ豪快なソロ本塁打を放った。

「長打を狙っていたわけじゃない。何とか出塁しようと思っていただけ。もちろん、いい速球だったし、ほかの球も良かった。でも、真ん中に来た1球をしっかり捉えることができた」

シュワーバーの一発に、スタンドからはいつもよりも大きな歓声が起こった。

その意味を、誰もが分かっていたからだ。

この1点があれば、ルザードが最後までマウンドに立てる。

九回のマウンドについて、ルザードは、「アドレナリンや感情をコントロールすることを意識した。ある程度はうまくできたと思う。攻めなきゃいけないのは分かっていたし、残っている球数もあまり多くなかった」と振り返る。

先頭打者を打ち取った後、立ちはだかったのはロナルド・アクーニャJr.だった。

アクーニャJr.は5日(日本時間6日)、ザック・ウィーラーから本塁打を放ち、6日(日本時間7日)には8回に同点3ランと2試合連続本塁打と並に乗る。前日の試合ではベースをゆっくりと一周した後、ファンを挑発するようにカーテンコールまで要求。フィリーズファンにとって、すっかり新たな「宿敵」となっていた。

アクーニャJr.への初球は97.9マイル(約158キロ)の速球。真っ向勝負だ。結局、アクーニャJr.には四球を与えたものの、続くドレイク・ボールドウィンを三振。最後はアルビーズを初球のチェンジアップでセンターフライに打ち取り、試合を締めくくった。

ルザードは今季14勝5敗、防御率2.87。サイ・ヤング賞の本命とされるミジオロウスキーを追い、トップ3入りを狙う位置につけている。

5月14日以降の21先発では11勝2敗、防御率1.93と圧倒的な成績を残している。

「ゼウスはしばらくずっと、とんでもない投球をしている」

フィリーズの暫定監督ドン・マッティングリーは、そう称えた。

ルザードの快投で、フィリーズはブレーブスとの4連戦を2勝2敗のタイに持ち込んだ。ブレーブスはナ・リーグ東地区首位を走り、残り18試合でフィリーズに4ゲーム差をつけている。

地区優勝は厳しい状況だ。それでもフィリーズにとって、ポストシーズン進出のためには1勝1勝が欠かせない。

その1勝を、ルザードがもたらした。

「チームから頼られる選手になることは、みんなが夢見ることだと思う。そういう存在になれて、うれしい」