今オフ序盤、球団の顔だったピート・アロンソ、ブランドン・ニモ、エドウィン・ディアスと次々に別れを告げながらも、メッツ首脳陣は「これは再建でもリセットでもなく、再編だ」と一貫して強調してきた。
あくまでもメッツは、プレーオフ進出を狙えるチームをつくる方針を崩していない。その一歩として、13日(日本時間14日)にはホルヘ・ポランコと2年契約で合意に達した。ポストシーズンでの活躍で知られる両打ちの内野手だ。
まだ正式発表前のため球団は認めていないが、この契約は総額4000万ドル(約62億円)と伝えられている。
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ポランコは二塁、三塁、遊撃で豊富な経験を持つが、メッツが契約した主な理由は、メジャーでは通算でわずか1打者相手に守っただけの一塁を任せるためだ。実質的に短期的なピート・アロンソの代役という位置づけになるが、ポランコのユーティリティ性を生かし、一塁だけでなく内野の各ポジションやDHとしても起用する見込みだ。
多くの試合でメッツの先発内野陣は、一塁ポランコ、二塁マーカス・セミエン、遊撃フランシスコ・リンドーア、三塁ブレット・ベイティという並びになりそうだ。その控えとしてマーク・ビエントス、ロニー・マウリシオ、ルイスアンヘル・アクーニャがロースター(出場選手登録)枠を争い、ジェフ・マクニールは内野の各ポジションを任される見込みだ。この層の厚さを生かし、このオフのどこかで誰かをトレード要員とする可能性もある。
マリナーズ1年目の2024年は低調なスタートだったが、32歳のポランコは2021年以来となる打撃面でのベストシーズンを送り、打率.265、出塁率.326、長打率.495(OPS .821)、26本塁打、78打点という成績を残した。シーズン序盤からバットが火を噴き、4月末までに9本塁打を放ち、5月中旬の時点でもOPS1.000以上を維持していた。その後シーズン中盤にスランプに陥ったが、終盤には再び状態を上げている。
9月には打率.329、OPS1.014と打ちまくり、10月にはマリナーズの主力打者の1人になった。ア・リーグ地区シリーズ第2戦では、タイガースのエース左腕タリク・スクーバルから2本塁打を放ってチームの勝利に貢献し、第5戦ではサヨナラ打を放ってシアトルをア・リーグ優勝決定シリーズ進出に導いた。トロントで行われたア・リーグ優勝決定シリーズ第1戦では2打点を挙げ、第2戦でも勝ち越し3ラン本塁打を放ち、マリナーズがシリーズ2勝0敗とリードを広げる原動力になった。
2025年のポランコは、2023〜24年オフにツインズから獲得した時にマリナーズが思い描いていた選手像に近い成績を残した。シアトル加入1年目は打率.213、OPS.651と低迷し、本拠地ではOPS.606にとどまっていた。守備面でも二塁での守備指標OAA(Outs Above Average=平均と比べてどれだけアウトを取ったか)はマイナス10で、このポジションの規定に達した37人の中で最下位だった。
2025年はマリナーズが主にDHとして起用し、DHで87試合、二塁で34試合(2025年のOAAはマイナス1)、三塁で5試合に先発した。ポランコはどのポジションでも守備の名手というタイプではないが、今回ポジションを引き継ぐアロンソは一塁守備が平均以下と評価されていた。メッツは、新たなポジションに慣れさせるためにポランコへ十分な出場機会を与える考えだ。
ポランコは2014年に20歳でツインズからメジャーデビューし、MLB最初の10シーズンをミネソタで過ごした。12年のキャリア通算では打率.263、出塁率.330、長打率.442で154本塁打を記録している。左打席では通算OPS.787、右打席ではOPS.737としている。
ポランコは、今オフここまでメッツが補強した主力のセミエン、守護神デビン・ウィリアムズに続いて加わる。チームには外野、先発ローテーション、リリーフ投手など依然として埋めるべき穴が多いが、ポランコの加入によって内野陣はほぼ固まってきたと言える。

