フィリーズ、アルバラードが薬物規定違反

80試合出場停止、No.3リリーバーの穴をどう埋めるか

May 18th, 2025

フィラデルフィア・フィリーズは5月18日、リリーフ投手のホセ・アルバラードが禁止薬物(PED)の陽性反応により80試合の出場停止処分を受けたことを発表した。給与の支払いはなしで、今季のポストシーズン出場資格も失う。ワールドシリーズ制覇を目指すチームにとっては大きな痛手となった。

「もちろん非常に残念だ」とデーブ・ドンブロウスキ編成本部長は日曜日の試合前にコメントした。「過去にもさまざまな問題が起きてきたが、こういったケースは負傷と同じように捉えている。(アルバラードがいない)80試合を他の選手で埋めなければならないし、その先にポストシーズンへの進出があると信じている」。

MLBの発表によれば、アルバラードは外因性テストステロンに陽性反応を示した。本人は既にフィラデルフィアを離れており、コメントはなし。代理人も取材に応じなかった。

「残念なことではあるが、前に進むしかない」とロブ・トムソン監督も語った。「良いピースはそろっている。みんなで補っていく」。

とはいえ簡単に埋められる穴ではないことも事実だ。アルバラードは今季20試合で4勝1敗、防御率2.70、7セーブを記録。ファングラフスのWAR:(Wins Above Average: どれだけチームを勝たせたか)ではリリーフ投手で3位タイと抜群の安定感を誇っており、最も代えの効かない選手の一人だ。

この状況に対して、右腕ホセ・ルイスを15日間の負傷者リスト(IL)から復帰させ、アルバラードの26人枠を埋めた。また、日曜のパイレーツ戦終了後にはMLBデビューを果たしたプロスペクト、ミック・エイベル(チーム内8位)を3Aへ送る予定である。

短期的には、ブルペン運用をジョーダン・ロマノ(右)、オリオン・カーケリング(右)、マット・ストラム(左)、タナー・バンクス(左)の4枚で回していくことになる。

当初から左腕が不足していた中でリリーフエースの離脱は大きな痛手。7月31日のトレード期限までの補強はさらに必要性を増してきているが、「とはいえ、それはまだ先の話だ」とドンブロウスキは述べた。

ブライス・ハーパーも補強の難しさに言及。「主力が抜けたことで、他球団から『補強が必要だ』と思われる。だから交渉は簡単じゃない。相手はこちらの弱みを分かっているからね」。

現時点では、レンジャー・スアレスをリリーフに回すことや、アンドリュー・ペインターの救援起用も選択肢に入っていないとされている。しかしポストシーズンに入れば、そのスアレスや左腕クリストファー・サンチェス、あるいはエイベルを含めたスターターのリリーフ起用も視野に入る。

「先発をリリーフに使えるからポストシーズンのほうが柔軟に対応できる。先発が多いのは良いことだ」とドンブロウスキは語った。

アルバラドの陽性反応はしばらく前に検出されたもので、その後の2回の検査では陰性だったとされている。1週間以上前(レイズ遠征中)に出場停止処分の可能性を耳にし、本人が異議申し立てをせず受け入れると決めたのは日曜の朝だった。

試合前にはクラブハウスでチームミーティングを実施。

ドンブロウスキ編成本部長は「本人は故意ではなかったと説明した。体重を気にしていて減量用のサプリメントを摂取した結果だったようだ」と述べた。

現在は3年34億円(2,200万ドル)契約の最終年にあり、2026年には14億円(900万ドル)の球団オプションが設定されている。

「この制度は非常に厳格だ。最終的には自己責任だし、体内に入れるものには最大限注意しなくてはならない。全くもって良いニュースではないが、過去にもチームは困難を乗り越えてきた。ワールドシリーズを制するチームは、必ず何かを乗り越えているものだ」

フィリーズが選ぶ道はただ一つ。前を向き、乗り越えることである。