MLBが投球単位の賭博「マイクロベット」に対する規制措置を導入

November 10th, 2025

メジャーリーグ機構(MLB)は10日(日本時間11日)、投球単位の賭博(いわゆる「マイクロベット」)を制限するための新たな安全策を導入したと発表した。MLBのスポーツブック提携企業と協議のうえ決定され、即日発効となる。具体的には、「マイクロベット」と呼ばれる投球単位の賭博における1件あたりの賭け金を200ドル(約3万円)に上限設定し、これらをパーリー(複数の賭けを組み合わせたもの)から除外する。これらの対策は、全米の賭け市場の98%以上を占める事業者を通じて導入される。

MLBは声明の中で「この措置は、試合の公正性へのリスクを軽減し、合法的かつ規制されたスポーツ賭博市場がもたらす透明性とデータアクセスの利点を維持することを目的としている」と説明した。

ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは声明で次のように述べた。「最高裁判所の判断によりスポーツ賭博が合法化されて以来、MLBは業界関係者や規制当局と連携し、ファンのために最も重要な価値――試合の公正性――を守るために尽力してきた」

「ここ数カ月にわたり、この問題に対してリーダーシップを発揮されたオハイオ州のマイク・デワイン知事に敬意を表する。また、公正性への懸念が特に大きい、投球単位の賭博に関して、全国的な解決策のためにMLBと協力した業界関係者にも感謝したい。今後も公認スポーツブック事業者、政府関係者、規制当局など、あらゆる関係者と協働し、常に試合の公正性を守る取り組みを継続していく」

9日、ESPNはニューヨーク州ブルックリンの検察当局が、試合中の投球内容を操作して賭けに関与したとして、投手エマヌエル・クラセとルイス・L・オルティスを起訴したと報じた。両者は、特定の投球を意図的にボールにすることで、賭博者がプロップベット(個別要素への賭け)で利益を得られるよう仕組んだ疑いがもたれている。

投球単位の賭博では、ストライク/ボールの判定や投球速度など、一つのプレーが対象となる。このような個々のプレーは一人の選手の意思で結果を左右でき、試合結果に直接影響しない場合も多いため、公正性のリスクが高いとされている。今回の賭け上限設定およびパーリー禁止措置により、この種の賭けの配当や抜け道を抑制し、不正への動機を減らす狙いがある。なお、MLBの規約第21条では、選手、審判、球団またはリーグ関係者が自身の関係する試合に賭けを行った場合、永久追放リストに加えられると定められている。

デワイン知事は、以前からマイクロベットの危険性について強く警鐘を鳴らしていた。

「マイクロベットへの大口な賭けを制限することで、MLBは試合の公正性を守り、不正な賭博スキームへの参加を抑制するための前向きな一歩を踏み出した。他のスポーツリーグもMLBの例にならい、同様の措置を講じるべきだ」とデワイン知事は声明で述べた。

MLB公式スポーツブックパートナーの1つであるファンデュエルの社長クリスチャン・ジェネツキ氏も声明を発表した。

「合法的なスポーツベッティング産業は、リーグや各州との対話と協力を基盤として成り立っている。今回の取り組みは、公正な競争を損ない、われわれが愛するスポーツの公正性を脅かそうとする行為を排除するため、法的かつ健全に規制された市場を構築するという揺るぎない決意を示すものだ」