;
野球の神様は、ときに厳しい試練を与える。
サイモンは二回、タイラー・ウェイドのゴロをグラブで弾いた上に本塁への送球が逸れ、2点を許した。さらに四回には2度の送球ミスが失点につながり、リズムが狂ったのか打球処理でも精彩を欠いた。
試合中盤、守備でのミスが続いたサイモンは明らかに動揺し、四回にはクレイトン・マッカロー監督が自らマウンドへ歩み寄ってサイモンを励ますと、内野手たちも周囲に集まって声をかけたものの、サイモンは涙をぬぐいながらベンチへと戻った。
「『わざとじゃないのは分かってる。顔を上げてくれ』って言ったんだ。チームメイトは互いに支え合うものだ。彼を責めたりしないよ」と、先発投手のマックス・マイヤーは語る。
試合後、指揮官は「少しずつ状況が悪化していった。あのタイミングで交代するのが、彼にとってもチームにとっても妥当だった」と語った。一方、3失策を受けても、チーム内でサイモンへの批判の声はなかった。
パドレスのスター、フェルナンド・タティスJr.は「誰にでもある。ゴールドグラブを獲った選手でも同じ経験はしている。彼は素晴らしい選手だ」と温かい言葉を送った。
試合に敗れはしたが、マーリンズの結束力を改めて感じられる出来事だった。「誰も彼を責めたりしない。われわれは互いを支え合っている。次に向けて進むだけだ」とマッカロー監督は締めくくった。
野球は時に残酷で、サイモンにとっては忘れられない夜となったが、チームメイトの手はしっかりと差し伸べられていた。失敗は成長の一歩。次戦での挽回に期待したい。